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「駅前のドトールにいる」とラインが来たので迎えにいくことにした。覗いてみると彼女は奥の喫煙室にいた。まあいいだろう。あと半年もすれば成人だ。今はやりの膝のあたりがぱっくり割れたジーンズ(寒くないか?)を履いて、私の顔を見てにっと笑った彼女は、どう見ても最後に会った15歳のときと同じ彼女だった。

店に迎え入れてお茶をいれる。そう、私は自分の店を持っている占い師だ。もっといえば、小さな商店街に占いの店を構える心理占星術師なのだ。

今日のお客はわけあって少女のころから知っている薫だ。
薫は獅子座新月の生まれで、なかなか肚の据わったいい娘である。
2時間ほど占っただろうか、いよいよ帰るというときに薫はまた新たな話題を出した。

「ね、もずくのあとをずっとくっついて歩いてるのいるよ。」
え。なんの話ですか?・・・何の話ですかね!

動揺しているあいだにそれは動いたらしく、
「うああああ!こんなのはじめて!こんなの見るのはじめてだよ!」
と叫び声を上げ丸い瞳をキラキラさせて薫は、私の50センチほど斜め手前を見つめている。それはテーブルの上の中空である。

さっきから彼女の表情や視線が微妙だったのはそういうわけだったのか。私が席を立ったとき私ではなくて私の軌跡を追うように目を動かしていたのは。

そう、彼女は、「視える」人なのである。
「もともとこの家にいたみたいだよ。」
「ふ、ふるい建物だからねー」
私は努めて平静を装った。

そこから、どんな会話をしたか慌ててしまって忘れたが、薫は(昔からそういったものを視てはいたが)高校生になってからは、そこらで見かけるそういったものに対して、または憑かれている人に対して、何らかの処置ができるようになったんだ、とかいっていた気がする。

「座敷童みたいなもんだね」と言い残して薫は帰っていった。

さすがに気になって、あとからラインで尋ねた。
「ねえ、私がショックを受けない程度に、どんな姿形か教えてくれない?」

「・・・ちょっとそれはムリ」

彼女は近々またやってくる。新たな情報を与えてくれるのだろうか。それが怖くもあり楽しみでもある。

(つづく)

この記事を書いたひと

まるおかよしこ
乙女座新月生まれ AB型
山梨県甲府市出身
山梨大学教育学部卒

神奈川県川崎市で中学校教員を30年間勤めたあと
相談業に転身。
現在は川崎市でレンタル/セッションスペース
灯台屋を運営。

西洋占星術師
NLP堀口メソッド エグゼクティブコーチ
NLPマスタープラクティショナー
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乙女座新月生まれ AB型 山梨県甲府市出身 山梨大学教育学部卒 神奈川県川崎市で中学校教員を30年間勤めたあと 相談業に転身。 現在は川崎市でレンタル/セッションスペース 灯台屋を運営。 西洋占星術師 NLP堀口メソッド エグゼクティブコーチ NLPマスタープラクティショナー