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シューマンは1800年代に活躍したドイツのロマン派の作曲家。
代表作は、「トロイメライ」(子供の情景より)。

図1

繊細という言葉がぴったりと合う、シューマンの音楽。
触れたら壊れてしまいそうな危うさもあり、そしてトロイメライの曲名のごとく、
夢心地にさせてくれる力があります。

それは明るさに満ちた「子供の情景」のような世界だけではなく、たとえば、短調の物悲しい「交響的練習曲」の中にも時おり垣間見え、突然思い起こされる夢の断片のような儚さにも似ています。

シューマン自身もきっと繊細で感じやすい心を持っていたのではないか、と窺わせます。
ではホロスコープは、どんなものだったのでしょうか。

シューマンの太陽は双子座。

シューマンは、ピアノ曲、歌曲、協奏曲、交響曲、オペラ、宗教音楽、多種多様な音楽を作り上げ、
子供のための多くのピアノ曲も残しました。
文学にも親しんでおり、ハイネ、リュッケルト、ゲーテなどの詩による歌曲も多数書いています。
そして作曲家以外にも指揮者、音楽批評家として活動し、自らが創刊した音楽雑誌では才気あふれる若きショパンやブラームスを世に紹介する橋渡しの役も務めました。
また双子のカストルとポルックスのような、ピアニストの妻クララとの仲睦まじい関係は、西洋音楽の歴史においてもよく知られています。

作曲分野、表現の手法は様々。多岐にわたる活動。
あるときは音符を通して、あるときは言葉を通して。
自分の持つどんな能力も、太陽の活動に結びつける、自己表現のバリエーションの豊かさ。
シューマンの双子座らしさが太陽に滲み出ています。

また双子座やその支配性の水星は、腕、神経、肺といった部位と関連付けられますが、シューマンはまだ30代の若いうちから神経衰弱・憂鬱・恐怖症などの様々な精神疾患に悩まされていました。

シューマンは元々ピアニスト志望でしたが、弱い薬指を鍛えようと無理な練習をして手を壊したそうで(テクニック向上のための自作した機械による指の故障ともいわれる)、それは実験好きな双子座の一面を連想させるエピソードの一つとなっています 。
そんな彼の譜面は メロディと伴奏のどこまでが右手、左手かはっきりしないものが多く、弾き難いというのもその逸話に関連しているのかもしれません。

双子座の作曲家たち
バレエ音楽「春の祭典」のストラヴィンスキー、オペラ「ニーベルングの指輪」のワーグナーもまた双子座です。
双子座の作曲家たちの音楽は、若々しく、追い風に吹かれているときのような、威風堂々としたさま。
そして心にそっと触れる微かな風。
それが共通しているように見受けられます。
表現の幅は広いですが後味は軽く、そんなところに私は風のエレメントらしさを感じます。

水星のパートナーシップ
またクララとの出会いは作品作りにおいても影響を与え、結婚をした年には心情豊かな歌曲を数多く書き上げました。
クララは乙女座の太陽を持ち、月は蟹座にあり、水星金星の合も乙女座です。
二人とも水星が強調されていますが、それはこんなエピソードにもあらわれています。

シューマンとクララは幼いころから日記をつける習慣があり、結婚を機にそれぞれの日記帳を一つに合わせ、互いに日々の出来事を報告しあっていたのです。
仲睦まじい夫婦と知られている二人ですが、お互いが水星の知性を刺激しあっていたようです。

しかし、 細やかな感性で多くの表現することに機能した双子座の敏感さ、水星の過敏さが、シューマンの神経に負荷を与えはじめました。

才能を駆使して作り上げた音楽が予想に反して当時の音楽界に受け入れられず、もともと躁鬱の傾向があったシューマンは、心身ともに疲弊し、過労などが重なり、幻覚、幻聴の症状とともに精神状態も悪化。1854年ライン川に飛び込み、自殺を図りました。偶然船員に助け出されましたが、それから2年後精神病院で亡くなります。

あの儚げな音楽は、このような人生をもとに作り出されたのです。
狂気と平穏が混じりあう人生だからこそ、壊れそうなほどに純粋な音楽が誕生したとも思えるのです。

そしてシューマンの月は乙女座に位置しています。
その月のアスペクトは水星とのセクスタイルのみ。
独自の感情言語のようなものが、互いを結びつけているイメージです。
この月と水星の結びつきを、彼は音の響きに変えていったのかも知れません。

シューマンは、
『子供の情景』はそれらの作品とは異なる「子供心を描いた、大人のための作品」である、
という言葉を残しています。

大人のためとありますが、何より自分自身のために、子ども時代の清らかさや、純粋な気持ちに戻れるよう願いを込めて曲を作ったのだと思います。
「子供の情景」に収録された「見知らぬ国」「トロイメライ」を弾いたとき、その左右の手が鍵盤を突き抜けて、心の奥底に深く入り込もうとしているような感覚になりました。
それはまるで子供時代の懐かしい記憶の中に入りたい、入ろうという強い思いが両手から伝わってくるかのようでした。
目の前の現実生活を避けて、夢心地の世界に飛び込むように。

チャートは自分の感性を何よりも大切にする北半球が強調され、そして居心地の良い世界を作り上げることで自分を守る水星金星の合。
実際に弾いた時の印象と、チャートのイメージも重なります。

幼少期である月の時代、水星の時代はシューマンにとって、宝箱のように大切な、かけがえのない思い出であり、大人になった彼の月と水星が人生の重みに耐えきれず、辛さを感じたときにこもるお城のようなものだったのかもしれません。

永遠に回り続ける回転木馬の中に留まり、まわりから自分を守ろうとしている、大人に成り切れなかった子供。
繰り返し繰り返し響き渡るシンプルなメロディから、そんなシューマンの幼い姿をイメージせずにはいられませんでした。

「子供の情景」

ローベルト・アレクサンダー・シューマン(Robert Alexander Schumann)

1810年6月8日ドイツ・ツヴィッカウに生まれる。
幼少のころから出版業を営む父の影響で多くの文学に親しむ。
ライプツィヒ大学で法律を学ぶもピアニストを目指し、後に妻となるクララの父ヴィークに師事する。指の故障によりピアニストの道を断念するが、作曲家に転身する。文学への造詣も深くハイネ、リュッケルトの詩による多くの歌曲も作り上げる。1834年に「新音楽時報」創刊、10年にわたり音楽評論の記事を寄稿する。このころから精神障害の症状に悩み始める。父ヴィークの反対を押し切り、1840年クララと結婚。1844年にライプツィヒからドレスデン、デュッセルドルフへと移住して指揮者としても活動する。この間、子供向けのピアノ曲も残す。1853年にヨハネス・ブラームスと出会い、「新しい道」と題する論文で若き天才として紹介。1854年精神状態が悪化し、ライン川で飛び込み自殺を図る。航海中の船に救助されるが療養所に収容され、2年後の1856年に46歳で亡くなる。

 

この記事を書いたひと

鈴木麻美
鈴木麻美
1982年東京生まれ。
小さい頃から目に見えない神秘的な事柄や、宇宙といったものに心を惹かれ、心理占星術を通して、人との繋がりについて観察する日々を過ごす。趣味は手を使ってのもの作り、オイリュトミー。
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1982年東京生まれ。 小さい頃から目に見えない神秘的な事柄や、宇宙といったものに心を惹かれ、心理占星術を通して、人との繋がりについて観察する日々を過ごす。趣味は手を使ってのもの作り、オイリュトミー。