nicoの星宙予報2019 蠍座

 占星術の12サインの分類の一つに、活動サイン、不動サイン、柔軟サインと12サインを3つに分割するモダリティ=行動様式というものがある。どのようなエネルギーを用いて世界を体験していくかというのを考える際に扱う分類法のひとつだ。
 これから1ヶ月間、太陽は3番目の不動サインである蠍座の季節を運行する。 

 最初の不動サインである牡牛座では、国/企業/個人の持っている価値を実感する。それを2番目の不動サイン・獅子座でさらに強みの意識へと育て、まず「私」の存在の価値を強固にしていく。これが不動サインの土台づくりの工程となる。
 そこから今度は、一国/一企業/一個人を超えた価値を身につけ、個人の価値をより大きく育てていく領域へと入っていく。
 では、3番目の不動サインである蠍座の段階では、どのような価値を実感していけばいいのだろうか。

 蠍座の価値の一つに、占星術の教科書にも登場する「遺産」というのがある。一代では築くことのできない価値、無形であれ、有形であれ、脈々と継承される価値だ。
 皆さんの記憶にも新しい10/22に行われた即位礼正殿で改めて日本の、天皇家の持っている価値を目の当たりにした人も多いかもしれない。皇居に虹がかかった! 富士山に雪が降った! と騒がれていたそうだが、こういったのも蠍座=8ハウス的価値、神道の長である天皇家の神話的価値の実感であるだろう。
 こうした価値が作られるためには、長い歴史が必要となる。だから、多くの人はこういった神話にあやかり、「日本人でよかった!」と自分もその価値の一部であることを実感する。  
 これが水エレメント・不動サインの価値の実感の仕方でもある。

 

 このような価値の実感は、いろいろなシーンで体験できる。
 たとえば、先日行われていたラグビーワールドカップの日本人選手の活躍と、それにともなう全国の盛り上がり「感動をありがとう!」などもそうだ。
 マスコミなどがこぞって、そのプレースタイルやマナー等を「日本人としての誇り」として挙げていたが、それを読む私たちもそれにあやかり日本人としての価値を実感することになった。

 私はどちらもニュースでチラ見した程度にしか知らないが、それでも「そんなに言うなら、日本人って素晴らしいのかもしれないね」と思う。
「日本人が立ち去った後は、ごみ一つ落ちていない」とか聞くと、「私がやったことではないけれど、同国人として気分がいいぞ」となる。
 
 実は、ここが蠍座のトリックである。
 これは自分が作り上げた価値ではない。
 歴史が作り上げた神話的価値であり、天皇家、皇室の方々が日々の御公務をこなしコツコツ積み上げてきた価値でもあり、また選手たちが苦しい練習をし続けてきた価値である。
 つまり、私の価値そのものではないわけだ。
 同胞ではあるけれど、「私」ではない。
 ここを勘違いすると誰かの価値にあやかった人々 — 親の遺産を食いつぶすバカ息子や、大企業の名のもとに横柄な態度をとるサラリーマン、旦那の稼いだ金で人を見下す主婦や、カリスマ的人物に心酔しガッツリ金を搾取される人が出来上がったりする。
 
 だからこそ、牡牛座→獅子座と、まずは個人の価値づくりをしていく必要があるのだ。それがないと、「誰かの価値」にあやかり続け、自分自身を見失い続けてしまうことになる。
 
 ここで天秤座期でも触れた秋分図をもう一度見てみよう。

 

 ここでは、5ハウスのルーラーである月、そして8ハウスのルーラーである金星、そして11ハウスのルーラーである土星と、不動サイン的ハウス、サクシーデントハウスの象徴が刺激しあう配置になっている。月、金星、土星ともにエッセンシャルディグニティが高いことから、秋分の期間、つまりこの3ヶ月間は「価値づくり」が環境を生き延びるために必要な材料となるというのがうかがえる。

 特に幸運の象徴でもあるドラゴンヘッドが5ハウスにいることから、5ハウスの力を身につけることが何かしら人生の発展につながりそうだと考えることができるかもしれない。

 5ハウス的価値とは「ライオンのたてがみ」。つまり、自分の持っている価値の中でもとりわけ「自分自身であることの誇りを感じられる」もの、「強みとして押し出していく価値のあるもの」ということになる。

 そこで、今回の蠍座太陽のイングレスチャートを見てみよう。

 このチャートを見てみると、再び5ハウスが強調されているように見えるだろう。5ハウスのルーラーは山羊座土星。非常に力のある状態になっている。

 そこでもう一度、2ハウス、5ハウス、8ハウスといったサクシーデントハウス(不動のハウス)を見てみよう。

 2ハウスのルーラーは蠍座・金星、そして8ハウスのルーラーは火星or冥王星。そこで火星のほうを見てみると天秤座の火星となっている。金星、火星ともにエッセンシャルディグニティがデトリメントというマイナス点に見えるが、実はそうではない。この二つの天体は、ミューチュアルレセプション(支配星の交換)が行われている。古典では、ミューチュアルレセプションはドミサイルしている天体と同じ高得点をもらえる、または2ハウス、8ハウスの価値の交換が行われているということから、むしろこの1ヶ月の物語としては、相手の価値と交流がお互いの成長の機会となることがうかがえる。

 そこでちょっと難しい話になるのだけれど、5ハウスを支配する山羊座・土星との関係をみてみると、天秤座・火星と山羊座・土星との間でイグザルテーションのレセプション関係ができているのがわかる。

 ということで、不動サイン蠍座の季節は、自分自身の価値を実感し(2ハウス)、その価値の中でも特に今、自己存在を一番誇らしく感じられる価値を育て(5ハウス)、それを手に自分が素晴らしいと思う価値を持つ人、もの、活動にコミットし、より大きな価値=力を自分の中で実感していくこと(8ハウス)、こうった価値を自分の中に育てていくことを目標としてみるのはどうだろうか。

 蠍座的価値は、基本的に自分ではコントロールできない。

 蠍座のホリエモンが心酔し、出資しているロケットも失敗するときは失敗する。

 日本の象徴の天皇だって、負の歴史、負の遺産をたくさん抱えている。

 水エレメントである蠍座の価値は、時代や人によって、いつも揺さぶりをかけられる。よっぽどコミットしていないと、その価値を信じ続けるのは難しい。

 だから余程、月=思い、そして太陽=目的意識がないと、蠍座=8ハウスの体験は、たとえ良い体験であっても「誰かの」「何かの」せいでエネルギーを吸い取られることになる。

 しかし、もし相手との価値の交流が行われなければ、水瓶座に向けての価値の個性化は行われない。ここで他人の価値に乗ってみるか、それとも自分だけが満足する「古びた価値」「時代遅れの価値」にしがみつくか。

 まずは2ハウス=牡牛座、そして5ハウス=獅子座、そのあと、自分が思い切り心酔できるもの、これならば自分の心を預けても、自分の持てる価値をすべて投入してもいい! そう思えるものに心を寄せていく。

 しかし、これで終わりじゃないのが蠍座=8ハウス体験の難しいところだ。

 ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)が延長となった、イギリスのトピックがいい例だ。

 誰もが自分の心酔している価値を押したい。離脱したい派と離脱に価値を見出せない派の終わりのない攻防。両者譲らず。これが続けば、この先、恨み辛みにだってなりかねない。

 こういった力争いは、蠍座的体験の常である。

 その時、客観的であり、未来志向的である水瓶座=11ハウス的価値観が重要となる。

 タロットカードでは11番目のJusticeのカードがそれにあたる。

 

 自分の中で、または誰かとの、何かとの関係の中で、価値観の衝突が起こったとき、自分の未来を天秤の片方に乗せてみよう。そして、それに見合う価値以外のものは、切り捨ててみよう。それが自分にとってどんなに大切に見えていても、もしかしたら、それはこれからの未来にとって何の価値もないものかもしれない。

 もちろん、忘れないでほしい。
 価値は、自分で見出すものだ。決して、人や社会の価値基準ではない。誰かが良いと言っているもの、必要だと言っているものではなく、自分がそう信じているもの、その正義を天秤と剣で測る。
 ブレない価値観。
 社会の価値観が刻々と変わっていく中、持続可能な生き方を貫くことは思っている以上に大変である。

 ブレない自分でいるために自分自身の価値観と素直に向き合うこと。その上で、その価値観が誰かに共感してもらえるよう修正する。そうやって人との共存、価値のコラボレーションを築き上げていく。

 それこそが不動サインの持つエネルギーの循環なのだ。

 

 天秤座期から蠍座期の間は、閉じゆく季節のムードを感じやすい。力の及ばなさ、気力の減退なども感じやすい時期だからこそ、これからの1ヶ月は、自分の人生を価値あるものとして感じられるよう、自分の存在を大切に扱えるよう大事に過ごしてみてほしい。