2018 山羊座の言葉 樹木希林

心理占星術家・nicoが選んだ今月の言葉は….



こんなはずでは……というのは、自分が目指していたもの、思い描いていた幸せとは違うから生まれる感情ですよね。でも、その目標が、自分が本当に望んでいるものなのか。他の人の価値観だったり、誰かの人生と比べてただうらやんでいるだけなのではないか。一度、自分を見つめ直してみるといいかもしれませんね。お金や地位や名声もなくて、傍からは地味でつまらない人生に見えたとしても、本人が本当に好きなことができていて「ああ、幸せだなあ」と思っていれば、その人の人生はキラキラ輝いていますよ。

— 雑誌・PHPスペシャル インタビュー「『こんなはずじゃなかった』それでこそ人生」

 

今月の言葉

樹木希林

1943年1月15日、東京都生まれ。

女優。2008年に紫綬褒章、14年には旭日小授章を受章。2005年1月、乳癌が判明して摘出手術を受けた。2013年3月8日の第36回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。そのスピーチにおいて、全身がんであることを告白した。2018年9月15日2時45分、東京都渋谷区の自宅で家族に看取られ、死去。

 

 

 10番目のサイン山羊座は最後の活動サインであり、また最後の地のエレメントである。

 牡羊座から始まった活動サインは、ホロスコープの頂点MCに対応した山羊座の段階で「自己像=どのような人間なのか」を明らかにすることになり、または牡牛座、乙女座を経た最後の地エレメント山羊座の段階で、個人の感覚に一番正直な生き方、最終的な「型」をつくり出し、「私」を完成させることになる。

 これが樹木希林の言う「自分が本当に望んでいるもの」ということである。

 外側から作られた幸せではなく、自分で選び取り、育て上げ、身についた幸せの価値基準ということである。

 

 樹木希林は、別のインタビューでこうも言っている。

 

「必要なのは、正しいものを選び取る自分の目。だってそうでしょう。衣装さんがたくさん用意してくれた服の中から、「これだ」って決めるのは自分だもの。選び取れるかどうかはその人自身にかかっている。

用意されたものを着ても芝居はできるんだろうけど、それじゃもったいないと思っちゃう。意識を巡らせて、時間をかけてやらないとね。最適な選び取りができるかどうかは結局、自分の衣装を普段から決めていないとできないんですよ。」と。

 

 ここまで読んで、疑問に思った人もいるかもしれない。

 山羊座というサインは、社会的地位や名誉にこだわるサインなのではないか? 社会の頂点を目指すサインなのではないか? と。

 もちろん、そうではない。

 人生を賭け、自己存在の力で様々な活動———情熱を賭ける活動(牡羊座)、思いを込め心からコミットする活動(蟹座)、自分の魅力を存分に披露する活動(天秤座)———を経てきた人であれば、樹木希林のように生も死も、老いも若きもすべてをさらけ出し、自分の生き様=個性をさらす場として、山羊座=MC(個人の目指すべき姿)を獲得することになるはずであり、また最後の地エレメントとして、誰からどう思われようが、自分が納得できる生き方を最終的に選択できるようになるはずなのだ。

 こうした山羊座的な感性を獲得するまでには、様々な試練の中で個人を成熟させる必要があるかもしれない。あるがままの自分を受け入れられるようになるためには、外にある基準を少しずつ手放し、シンプルに自分を生きるしかない。

 そうすれば、いよいよ「個性」の完成へと近づくのだろう。