蠍座の季節「言葉に頼りすぎると、退屈な女になっていく」

久しぶりに新宿を歩いていると、巨大な文字が目に飛び込んできた。

言葉に頼りすぎると、退屈な女になっていく

ルミネのポスターは、いつもグッとくるコピーで心を掴まれる。

大切なのは言葉じゃない…
1日に1分ぐらいずつ昼が短くなり、日に日に肌寒くなっていくこの季節、大切なのは…?
温もりだわ!
なんて考えながら電車に乗ると、前に座った女の子の深いローズ色のリップに目が引き寄せられた。
そっか、蠍座の季節なんだね。

ここのところ人と話していると、言葉にされていない部分がふと気になり、語られていない奥の方へと意識が向かう。
そこには、言葉として生み出されていることよりも、もっともっと大切なものが詰まっていたり、私が認知しているのとは違う事実や、想像すらしていない世界があるような気がする。
こうした、人の心の奥底に沈殿している言葉にされないものを意識してしまうのも、この蠍座の時期ならではかもしれない。

今の時期、空は16時を過ぎると店じまいを始め、17時を過ぎると辺りは真っ暗に。
この夕暮れどき、視界は悪くなり、距離感覚やスピード感覚は曖昧になる。
私たちは、曖昧な世界に飲み込まれないよう、見えにくい視界に目を凝らし、耳をそばだてる。
こんなあやふやな時間帯がある季節、秋の深まりとともにひんやりとした夜の闇に月が照らしだされる時間が長くなるこの時期は、自分が聞いた言葉や、見えている世界が全てではないと、今まで認識していなかった部分に意識が向かっていく。

もしかしたら、自分が気にしている何かに触れたから意識しているだけで、向かっているのは人の心の中ではなく、わたし自身の心の奥かもしれないけどね。
はっきりと聞いたわけでも、見たわけでもないもの、人の心の本当のところなんて事実かどうかはわからない。

そう、考えすぎかもしれない。
でも、あいまいだからおもしろい。

この季節、いつも以上に言葉にならないものが訴えかけてくるような気がする。

この秋いちばん寒い朝、久しぶりにケンカをした。
夫との何気ない会話の中に、今まで言葉にされていなかった思いがふいに浮かび上がって、私の心に刺さった。

そんな風にずっと思われていたんだ…

腹が立つでもなく、悲しくもなく、ただ小さな棘がジクジク痛んで抜けない。
そんな気持ちを、なぜだかいつものように言葉にできなくて、そういう意味じゃないと謝られても、もやもやが消えなかった。

その夜、家族の揃わない食卓で、ご飯を食べながら、息子が悲しげにぽつりとつぶやいた。

「やなきもち…」

そうだね、ケンカはやだね、ごめんね。
息子の頬をそっと撫でた。

言葉は大事。
大切なことは、言葉にしなければ伝わらない。
でも、言葉にされない思いにも、大切なものがたくさん詰まっている。

さてと、蠍座の季節だもの、仲直りに言葉だけじゃセンスがないわね、男子たちに美味しいチョコでも買ってこよっと!

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