nicoの星宙予報 牡牛座

お知らせ:これまで毎月の「赤ペン12サイン占い」に掲載していた全体の流れを「nico の星宙予報」として掲載しています。

 

 ここ最近、東京は風の強い日が続いた。

何かが起こるのではないか。そんな予感すら感じさせる天気だった。

 

実際、米英仏のシリア攻撃、財務次官のセクハラ問題、新潟県知事の女性問題、日米首脳会談、CIA長官訪朝と様々なニュースが次から次へと飛び込んできて、私たちにゆさぶりをかけた。

 

 風が吹くと心がざわつく。「風にのってきたメアリー・ポピンズ」ではないけれど、何かあっと驚くようなことが目の前で起こって、退屈だった日常に新しい風を運んできてくれるのではないか、そんな予感を私たちに与えるのかもしれない。

 私のもとに届くメールにも、期待のような不安のような、そんな未来に対する揺れる思いをつづったものが多かった。

 

 おそらく占星術を学ぶ人たちは、こういった動きを山羊座土星、蠍座木星の逆行とともに、5月16日から牡牛座入りする天王星の影響だとみているかもしれない。

 

新しい時代が来ますよ。

お金や仕組みや、いろいろな現実的な価値観が変わりますよ。

うかうかしてられませんよ。

このバスに乗り遅れないようにしてくださいね。

 

そんな記事が巷に出回り始め、そしてそれを読んだ人たちが何かしらの心の準備を始めることになるのだろう。

果たして本当にそうなのか?

今やるべきことは、新しい時代に乗り遅れないようにすることなのか?

 

何はともあれ、春分を迎え、私たちは新しい太陽のサイクルのスタートを切った。

望むと望まざると、牡羊座期でスタートした“私”を1年かけて育てていくことになるわけだけど、何せ今期は牡羊座にとって目の上のタンコブである山羊座土星が君臨しているので、いつもとちょっと勝手が違った。

いかさまをすると叩きにくる。

ごまかそうとするとしっぺ返しに合う。

うやむやにしていたことは表面化し、向き合わざるを得ない状況になっている。

やりたいことをやろうとしても、もう自分自身にごまかしがきかなくなっていることに気づく。そろそろ、本気で“私”で勝負しなければならなくなってきたのだなと。

 

もしそうなら、その覚悟が決まったのなら、牡牛座期にやるべきことは一つだ。

新しいサイクルに見合う、自分の中の譲れない基準値、判断材料をしっかり設けることだ。

 

シリア攻撃、TPP、拉致問題の協議内容は、私たちの日本の美意識に適っているのか、その基準で私たちは安全を確保できるのか。自分たちが心地よくいられるのか。

その内閣で、その国会の運営の仕方で、私たちの国を任せられるのか。

 

 その働き方は、その対人関係は、そのライフスタイルは、私の大事な人生、大事な価値を賭けるに値するのか。

 それを持つべきか捨てるべきか、付き合うべきか続けるべきか。

 

こういった大事な決断を他人にゆだねるわけにいかないのだが、そこをごまかし、決断を先送りにすれば、有限なもの――時間、身体、才能、労力はどんどん消耗していき、成すべきことも成せなくなる。

 

人は、人それぞれの判断基準を持っている。何をものさしにして「自分に適う」を図るのか。それがそれぞれの国の、企業の、個人の個性となる。それは人から見て、どんなに歪んで見えたって、偏って見えたっていい。

 そのゆるぎない基準を育て、それに適う人生をちゃんと生きれば、風が吹いてもブレることはない。揺れすぎて消耗することもない。重要な決断を先送りすることもない。乗り遅れることよりも、自分自身で勝負することを楽しめる、そんな自分がやがて育つ。

天王星が牡牛座に入るというのなら、まずは太陽でその意識を育てておくのが早いのではないか?

 

風エレメントの水瓶座の支配星である天王星とは、「新しい時代意識」を育て、刺激する天体である。

牡羊座天王星が「何か、誰かに依存しない、“個”が生き抜くための意識を育てる」「新しい時代を生き抜くためのチャレンジ精神を刺激する」という意味となるなら、牡牛座天王星は「“個”の価値基準とは何かという意識を育てる」「“個”の存在価値を刺激することで、新しい時代意識が育つ」ということになる。

 個人事業主や副業する人が増えたりしたのは、もちろん牡羊座・天王星意識だといえるだろうし、安保理、自衛隊の問題が大きく取りざたされたのもそうだ。

 まず、天王星が多くの人の意識を刺激する。それが土星や木星に降りて、法改正やシステム化へと進んでいく。

 それならば5月16日に牡牛座入りし、また逆行し牡羊座に戻り、再び3月6日に牡牛座入りする天王星の動きを前に、今、私たちは何をすべきなのだろうか。

 

 まずは、とにかく太陽牡牛座期を大切に生きていくしかない。自分にすでに備わっている能力でどのように生きていくかを真剣に考えてみる。

 

牡牛座の反対側にある蠍座木星は、私たちの心の背景の「私は何も持っていないI have nothing」という気分を強く煽ってきている。そのエネルギーは、貪欲に自分が求めるものを追いかけ続ける力になるし、人や出来事との出会いを豊富にはしてくれるけれど、その欲望は尽きることはない。

なぜなら、人も出来事も、本当に自分のほしいものを与えてはくれることはないからだ。

どんな素晴らしい出会いであったとしても、自分の「ほしい」を満たしてくれるものなどない。自分の存在以外、それができる人はいないのだ。

 

素晴らしい出会いがあれば…

素晴らしい体験ができれば…

素晴らしい出来事が起これば…

一生終わりのない「たられば」の欲求の中で渇望し続けることこそ悲しいことはない。

 

ならば、安全の感覚も欲求も、まずは自分で満たせるよう努力してみるのはどうだろう。

「I have」自分には何があるか、どんなものが自分に備わっているのか。

そこで勝負ができないと、能力や資質でどれだけ勝っていたとしても。「自分は何もない」という理由で、いつまでも権力への幻想――アメリカといった大きな力のように見えるものにしがみつくことになりかねない。

自分の価値は自分で感じるしかないのだ。

そうでないと、まだ見ぬ人、まだ来ぬ体験へと見果てぬ夢を見続けることになり、ただ期待の中で時間や能力を無駄にする人生を送ることになるだろう。

 

蠍座木星によって揺さぶられないためにも、山羊座の土星の体験を健やかに積み重ねるためにも、まずは2番目のサイン牡牛座のテーマを太陽のサイクルを使って、その意識を育てること。

 

それができた先に、豊かな関係性や自分にふさわしいシステムが出来上がるのだ。