nicoの星宙予報2020 蟹座

 日々、鑑定をさせてもらっていると、クライアントの意識や心の中に共通したテーマが横たわっているのがわかる。今、ひしひしと感じるテーマは、「このままの私ではダメなのかもしれない」「自分なりに変わっていかなければならないのだ」という意識。

 卵が先か鶏が先か、コロナが先か、それとも元々人々の中にその火種があったのかどうか、それは何とも言えない。けれど、「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)」も中国とインドの緊張関係も、また河井夫妻逮捕に見る安倍政権の脆弱性もそう、もうずいぶん長いことそこにあった危機、見て見ぬふりをしてきた問題がいよいよ、ようやくいよいよ意識下から浮上してきたように見えるのは私だけではないだろう。

 夏至の日に日食が起こるのは1648年以来、372年ぶりのことだそう。日本でも部分食が見えるということなので、この影響は見逃せない。

 太陽に力が増すと言われるのが夏至ということだが、今回はどうだろう。日食は太陽が月に食べられるという現象であるから、太陽よりも月の力のほうに軍配が上がる。トランプ政権、安倍政権、プーチン政権、ブラジルのボルソナロ大統領などもひどい例の一つか。太陽=王政=リーダーが力を失い、その在り方が問われ、揺らぎを見せている。中心よりも温度の高い太陽の外側に広がる「コロナ」という言葉に象徴されるように、太陽の影響力そのものが「有害なもの」という印象になっているのも面白い。

 このように太陽の力が揺らいでいる今、優勢になるのはもちろん月=民衆であるべきなのだが、今回の日食は、どこまで社会的影響として浸透していくだろうか。

 こうしたことを踏まえて考えてみても、今期の蟹座期はこの「月」の影響を知ることが個人/企業/国にとって、今後の流れを知るうえで非常に重要になってくることがわかるだろう。それはどのようなことなのだろうか。

 ここで、タロットカードの「月」の画像を見てもらいたい。

 月が太陽を隠している日食を示した絵柄になっている。そこに向かって狼が吠え、池の奥からザリガニが上がってきているのがわかるだろう。

 このカードの意味の一つに「胸騒ぎ」というのがある。

 この変なモヤモヤはなんだろう、自分の身に何が起こっているのかわからない、けれど、なぜか心が騒がしい、期待と不安が入り混じったような何とも言えない心持ち、これは一体何なのだろう。

 「なんか、心がモヤモヤするんです。」

 こんなセリフを鑑定の現場ではよく耳にする。このような場合、人は大抵、答えを知っている。心がざわついたとき、それが意味していることの真意を多くの人はわかっている。ただ、わかってしまったら、それを受け入れてしまったら、これまでのやり方を信じてきたものを大きく変えなければならないこともわかっている。自分がそれを受け入れるまでは、覚悟するまでは、心のざわつきは収まらないし、それを放っておいたら、もしかしたら、さらなる難しい事態がやってくることもわかっているかもしれない。

 けれど、人はそうそうに変わることができない。自分が変わるくらいなら、できればじっと動かず、胸騒ぎが過ぎるのを待つほうがいい。けれど、胸騒ぎは一向に収まることはない。

 それはなぜか?

 自分の理想を生きることほど、怖いものはないからだ。

 自分のこころをごまかせなくなったら、どんな言い訳が自分を守ってくれるというのだろう。誰がそんな自分を理解してくれるのだろうか。

 このカードの狼やザリガニは、つまりそんな頑なで小心者のこころに対し、牙やハサミを向けているのだ。

 ここで、以下の二つのチャートを見てもらいたい。

2020春分図
2020夏至図

 最初のチャートは、2020/3/20の春分図、そして下が2020/6/21の夏至図となっている。

 1ハウスの始まり、蟹座のASCの度数は双方ともに28度。やはり蟹座=月のテーマが強調されている。そろそろ個人/企業/国を本気で顧みたほうがいい、そんな合図として受け取れるかもしれない。

 しかし、状況が不安定に働くときほど、人は現状維持や保守にとどまろうと頑なになる。

 それでは狼の叫び声は大きくなる一方で、この先、問題が自然に解決することはないし、大事な決定を誰かに任せたところで、自分の中の違和感がなくなることはない。放置しておけば、自分をごまかし生きていく辛さをより強く感じるだけになる。

 では、心の中の狼やザリガニは、何を叫んでいるのだろう。どんな警鐘を鳴らし、どんな欲求を持っていることを教えてくれているのだろう。

 生き方はどうなのか。

 働き方はどうなのか。

 人との付き合い方はどうなのか。

 改めて、解決しておかなければならない問題点は何だろうか。

 いろいろな人がいろいろなことを言っているけれど、私のこころは何をしたがっているのか。

 もしかしたら、これまで避けてきたことは、ただ自分と向き合うのが怖いからなのではないか。

 もっとシンプルになってみたら、居場所をつくるのは難しくないのではないか。

 春分図のテーマとして、12ハウスの強調は新しい誕生への準備と読むことができるだろう。6/28には、火星が牡羊座に入り、また新しいサイクルを始めることになる。

 今一度、心を柔軟に、または新しい流れを受け入れる余地を作っておかないと、これからやってくるであろうコロナ禍の第二波、第三波に備えることはできない。時代の流れは、誰にでも平等に起こる。けれど、狼の、ザリガニの動きに素早く対応できる人は少ない。

 そして、また新しいリーダーは、月=民衆のこういった月のざわめきに敏感でなければならない。7/5は、東京都知事選の開票日となっている。月=都民は何を思うのだろうか。自分の生活を守るのか、それとも少しだけ自分の器を広げて、私/私たちの生活を守ろうとするのだろうか。

 最後に二つの新月図を見てもらいたい。

 二つのチャートはともに、水のエレメントである蠍座が支配している8ハウスが強調されているのがわかる。もしも、自分の心のざわめきの声を聞いて、自分の心の調整ができたら、蟹座期はもう一つのテーマ、人とのかかわり方をテーマにしていきたい。できれば、人ともに成長できる機会、コラボレーションやタイアップなどの機会を持ち、人と結びつき、相乗効果を得られるような関係を育ててみてほしい。

 勇気を持って新しい関係に飛び込んでみるのもよし、人のユニークな価値を取り入れるのもよし、また行政や組織の力を借りるのもよし、自分の領域を広げ、苦手意識ではなく他者の魅力を理解していくことをもう一つの目標にしてみてほしい。もしかしたら、今まで意識しなかった人の声を聞くことで、自分の欲求や未来のテーマに出会うこともあるかもしれない。

 それができれば、個人/企業/国も生き残りのための新しい可能性を広げることができるだろう。

 蟹座期は、心の余地を広げることがテーマになる。コロナ以前に戻ることはもうないし、まだこれからもあらゆる分野の様式は変わり続けるだろう。そのような時代を前に、どんな型を前にしても柔らかく馴染むような、そんな柔軟なこころを持てるように、一つの覚悟をもって過ごしてもらえたら、この三か月は、今以上に生きやすくなる可能性もある。

 6/28から火星サイクルは新しいサイクルを迎える。いつでも私たちは新しい自分を始めることができる、ここから原点に返り、本来の自分を生き直すことだってできるのだ。

 新しい服の袖に腕を通すときのような新鮮な気持ち、思った以上に着心地のいい服を着て自分を楽しむ期間になることを願って。