星宙百景 2025 魚座 ~来る外交、交渉への準備、目の前にふさわしい条件が来た時に手を伸ばすために

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

出来事の当たる・当たらないではなく、占星術で時期をよむことの面白さ―――人、国、時代に起こった出来事を私事にするための道具―――をお伝えした一遍です。

 このイングレスチャートを見たとき、「ほうほう、なるほどね」と合点がいった。「やっぱり占星術って面白いなー」と小さく感動もした。

2025年太陽・魚座のイングレスチャート

 

 この感動が何に端を発しているのか、こちらのチャートを見てもらいたい。

2025年春分(太陽・牡羊座)のイングレスチャート

 このチャートは、次の太陽イングレスチャート、2025年の春分図。
 ここで注目したいのは、ASCのサインは天秤座、そして天秤座に由来する7ハウス付近に天体が密集しているのがわかる。端的に言えば、「外交問題にどう対処するかがテーマになるとき」となるだろう。

 (春分図は、2025年の世相を読むための重要なチャートであるから、次回じっくり詳述するが)つまりだ、そういう時期が一ヶ月後に迫る中でのトランプ大統領就任――関税を利用したディール、イスラエル・パレスチナ問題、ウクライナ・ロシア問題等――によって動きが活発化している、この過渡期をどう考えればよいだろうか。

 トランプ大統領の動きだけではない。習近平は、「外部環境の不確実性があるが努力によって克服できる」という主旨の強気な発言をし、アメリカとの貿易摩擦激化に向けてファイティングポーズを取っている。

 この一年、先の見えない国家間の駆け引きの間に立ち、日本はどう生き残っていくのか。それを考えるためにも、2025年魚座期は重要な期間になる。そのヒントを教えてくれるのが魚座期のイングレスチャートとなるわけだ。

 ここで、もう一度、冒頭のチャートに戻ってみよう。

2025年太陽・魚座イングレスチャート

 このチャートでは、ASCが天秤座の一つ前のサイン乙女座に戻っているのがわかる。つまり、次の季節に進むためには、一つ前のサインの振る舞い、乙女座的な力を身につける必要があることが理解できる。それはどんな力なのだろうか。

 また、ASC乙女座の支配星である水星が在中しているのは6ハウス。これもまた乙女座に由来している部屋であり、天秤座に由来している7ハウスの手前の部屋になる。ということは、何はともあれ、天秤座へと、つまり外交、交渉、条件闘争へと前進するためには、そのための準備としてやっておくことがある。それが何かを教えてくれているのだ。

 その「6ハウスから7ハウスへの移行」を考えるために、もう一つ見てもらいたいものがある。 タロットカードの6から7へのテーマの変化である。

 この二枚のカードはどんなことを教えてくれているのだろう。

 6番目のカードである「LOVERS=恋人たち」の絵柄の中で重要なのは、男女が裸であること。 

 裸とは、飾らない、嘘のない、ありのままの姿で折り合いをつけること。
 自分は何者で、何を持っていて、何をしたいのか。偽りのない自分を理解していれば、自分にとって必要なものがやってきたとき、パッとその手を伸ばせることだ。目の前にふさわしい条件を備えた人やもの、状況がやってきたとき、自分を知らないと、その手を伸ばすのに躊躇してしまう。果たして、これは、今のわたしにふさわしいのだろうか。それとももっといい条件のもの/人/状況がやってくるのではないだろうか。そのように迷いが生じ、立ちすくんでしまう。そして、次のカードに進めず、戦車は動かずじまいということになるわけだ。

 そして、6の天使が大きく手を広げているのは、裸の男女はある意味完全に受動的な状態であると考えられる。ということは、今、目の前に示されたもの――条件でも人でも――は、たとえ今のわたしにとって受け入れがたいものであっても、今の自分にとって引き受けるべきテーマがやってきたと考えるべきなのではないか。

 なぜなら大天使ミカエルが「あなたにとってふさわしいもの/人/状況を用意したにもかかわらず、あなたは何を迷っているのだ。さあ、受け取りなさい」と言っているのだから。

 これについて、6番目のサイン乙女座の象徴を交えながら、もう少し詳しく説明しておきたい。

 乙女座は牡牛座の次の地エレメントである。地エレメントとは、自分に備わっている能力を存分に利用し、自分の置かれた状況で役立てていく力を持っている。自分自身を深く理解していれば、今、何が求められているのか、自分はそれができるのかできないのか、できるならどうできるのか、できないなら何が足りないのか、そういったことを瞬時に判断し、状況に素早くアジャストできるようになる。
 
 しかし、乙女座は柔軟サインなので、年を取ればとるほど、このような柔軟な振る舞いが難しくなることもあるだろう。

 

 「星宙百景・水瓶座期おさらい編」では、ホンダと日産の統合協議白紙撤廃について書いたが、その後、ロイター通信によると、『ホンダは、日産の内田誠社長が退任すれば両社の経営統合交渉を再開する意向』を、英紙フィナンシャル・タイムズに伝えたと報じた。

 ホンダは日産内の反対勢力に、より上手く対処できる新社長の下で交渉を再開する意向だと言う。内田氏は2026年まで留任する意向を示しているが、上記の話を考えると、そういった条件を提示されたということは、もしかすると内田社長は裸の自分をわかっていないのか、柔軟に対応できてないのか。とにかく天使の声=現場の声が聞こえていないことになるかもしれない。

 こうしたニュースを一つとっても、今の時期に必要な振る舞いがわかるかもしれない。

 7番目の「戦車」のカードに進むためには、手前の6=裸の「恋人たち」のように、自分のありのままの状況を深く理解し、外野の声をしっかり聞き、素早くアジャストしていく、そういった柔軟性が何はともあれ必要だが、変わっていく勇気がないと、なかなか難しいテーマである。

 この状況に合わせて自分を変えられるかどうか。

 それを判断できるのが、このチャートの別のところにも出ている2ハウスー5ハウスの月ー冥王星のコンタクトである。

 実はこのアスペクトは、2024年の春分図から繰り返し示されたテーマでもあった。

2024年春分図、月と冥王星のオポジション


 相手のニーズばかりに従い、自分を変える必要はない。
 けれど、いま自分がしがみついている価値観は、この状況において、果たして全体の利益につながるのだろうか。そういった客観的認識はどうしても必要である。

 頑なであることと、自分を貫くことは違うのだ。
 全体の利益の理解と明るい未来への展望、そういったものが確信できれば、冥王星的変容=変わろうが変わるまいがどちらでもいい。

 とにかくわたしたちは、今、前に進んでいくこと、出発することが必要なのだ。



 今期の魚座イングレスチャートからは、他にも様々な問題点が見え隠れしている。トランプ大統領就任以降の世界は、政治的現場でも経済的議論が持ち込まれている。トランプ大統領だけではない。日本も物価上昇、103万円の壁、高額医療費、米国の自動車関税問題等、経済にまつわる不安が日本全体を覆っている。

 木星双子座時代が終わり、経済の転換が始まる。日本では、ようやく金利の世界が現実味を帯びてきた。銀行は顧客獲得競争で優位に立つため、普通預金や定期預金の金利を引き上げているという。長期金利は15年ぶりの高さとなる。

 そのような時代、わたしたちは経済に対し、どのように向き合えばいいのだろう。

 経済の話は、また別の機会に。よければ次回の月イチ勉強会で話ができたらと思う。

 

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さまざまな話題を心理占星術的視点で取り上げながら、象徴の考え方やリーディング力の向上はもちろん、心理カウンセリングへの理解を深めています。

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