みんなの冥王星体験ー自分の暗いところを、まずは受け入れるところからスタートする

今、必要な意識を掴み、感じるための月イチ勉強会

nico の心理占星術講座は、一ヶ月の間、概ね14クラスほどの講座や勉強会/研究会が開催されています。特に、第4週目の週末は「勉強会ウィーク」と称し、朝から晩までテーマを変えながら心理占星術談義が続くため、聴いているだけでもヘトヘトになるほど。

しかし、そのように続けて参加していると、どのクラスに出ていても「とある象徴」が繰り返し出現し、同じようなテーマが通底していることを感じます。これについて、月イチ勉強会では、こんな解説がありました。

時代も変わり、テーマも変わり、または私が様々なクラスでいろいろと象徴の話をしていると、何か感じ入ることがある。

例えば、「生き方働き方研究会」で取り上げた兵庫県の斎藤知事。彼について、悪いやつだとか、本当にあいつはどうしようもない、情けないとか、いろんな感想が出てくるかもしれない。もちろん彼にも問題があるとは思うんですけど、心理占星術を勉強するときに必要なのは、「それが今、必要な意識なんだな」ということ。

この時代の中で、その時代の象徴的な人物(注目を浴びる人物)っていうのが、必ずポツポツと出てきたりする。その時、一個人に対して善悪を考えることはせず、どうして今こういう人が出てくるのか。それが心理占星術的な視点だと思うんです。

「2024年8月 月イチ勉強会、とことん冥王星」講座より

最近、月イチ勉強会では、毎月のテーマに入る前に太陽のイングレスチャートをリーディングすることで、「今」という意識を参加者と共有することから始めていますが、その理由はこんなところにあったんですね。

その問題には、どんな心理占星術的視点があるのか

では、この兵庫県の斎藤知事が、今、人々の意識に挙がっているのはなぜなのか。
ここで、単純に「パワハラ体質が社会的に問題だから」と片付けるのではなく、先ほどの心理占星術的視点から考えてみましょう。

nico が注目したのは、この問題が話題となった時期、そして県知事の持っている5天体でした。

獅子座期に彼がすごく話題になったのは、彼が持っている不動サイン的なテーマがすごく刺激を受けていると考えられる。

(心理占星術的には)彼の人間性というよりも、彼自身が抱えている不動サインの扱い難さ、未解決な問題がこういう形で出てきてしまった。

そうした斎藤知事が失敗しているやり方を鏡のように見て、私たちはそれを学ばせてもらう。それが、心理占星術的な学びになっていく。

結局、私たちは同じものを共有してしまってるんですよね。誰かの天体の使い方を通して見たとき、確実に、どこか自分の中の12サインや10天体のテーマに繋がるはず。講座や勉強会/研究会は、そういうところをしっかり理解できる機会にしてもらえたらと思っています。

「2024年8月 月イチ勉強会、とことん冥王星」講座より

さて、自分でイングレスチャートを読みたい、ちょっと自分で時期を考えたいと言った場合に、重要になってくるのはハウスの読み方です。

nico の心理占星術講座では、ネイタルチャート(出生ホロスコープ)においては、あまりハウスを重視しませんが、イングレスチャートをはじめ時期を読む場合、時間のわかるチャートを扱う際には、ハウスの意味をしっかり考えていきます。

ハウスには、とにかく世相や今の時代性がすごく出てくる。ただし、ハウスは「囚われた魂」とも言われるように、環境の中で生きることの難しさを提示してくる感じがある。つまり、ハウスに現わされていることを自分の中で解消していかない限り、環境と自分が調和する感覚が持てずに、生きづらさとして出てくるということ。

だから、チャートをぱっと見たときに、アンギュラー(活動)、ケーデント(不動)、サクシーデント(柔軟)といった構造的なテーマを取り出していくことが大事。

その視点を踏まえて、獅子座と乙女座のチャートを見ていくと、双方に浮上してくるのは、不動サイン(2ハウス-5ハウス-8ハウス-11ハウス)と蠍座的な冥王星のテーマであることが分かります。

特に、乙女座のイングレスチャートを確認すると、10ハウス土星&冥王星山羊座ということもあり、かならず10H、山羊座、土星っぽいことが冥王星を通して実感されるはずだということ。

乙女座のイングレスチャートの詳細は、こちらの記事をご覧ください。

トランスサタニアンは、天体の副支配星であるテーマを持っており、海王星には木星が、天王星は土星的な性質を内包していますが、冥王星は火星の性質を同時に持っています。

冥王星が面白いのは(海王星や天王星と違って)、その背景に、個人的な天体である火星が結びついているところ。海王星や天王星が、木星や土星的な社会感覚を育てていこうとするのとは訳が違う。

火星は個人を個人たらしめる一番、初原の天体ですけど、その火星をこじらせたものが冥王星ですから、そのこじらせ感覚から出発し、最終的にどう解消できたのかが、冥王星の成長のプロセスであり物語になるのです。

そこで、先ほどの斎藤知事を反面教師にし、この機会にもう一度自分の中の蠍座や8ハウス、冥王星を見直してみることに。

自分に冥王星のアスペクトがある/ないという話ではなく、火星的なテーマにおいて、自分はいま成長プロセスのどの段階にいるのか。どういう体験をして、何か解消できているのか、まだまだなのか、何が難しいのか。

今回は、参加者の皆さんが語ってくれた冥王星体験を共有します。自分の中の冥王星がどのような成長の段階にいるのかを感じてみてください。

みんなの冥王星体験

自分にとっての冥王星、いきなり深いなぁ、と今すごい考えちゃったんですけど。

幼少期から、自分というもの、火星を出しにくい状態だったのが、私にとっての最初の冥王星の感覚。昭和の親父、父の圧力が強く、家族みんなが委縮している家庭だったので、家で好き勝手なことを言ったり、自分をアピールすることもなく、出したときには喧嘩や暴力になってしまって。

だから冥王星や8H、蠍座を学んで、「相手の中に、自分の求めるものを見つける」という象徴を頭では理解していても、自分の中に怖さが残ってしまっているのが、私にとっての課題。

未だに目の前の人と話すにも言葉が詰まってしまう、ちょっと強い人を前にすると主張できないというのを理解はしているので、それを変えていく努力というか、少しずつ人に心を開いていくというのは、ずっとやってきたかな。
Aさん

nico: 素晴らしいですね、冥王星は、自分の個人的な体験に結び付かないといけないので、なかなかこうした開示が難しいかもしれません。ですが、先ほどお伝えした「初原の体験」と結びつく、とても大事な成長のお話で、ちょっと感動しました。ありがとうございました。

私にとって冥王星は、何か自分の力のなさを知っていくことで、もう1回、自分の力を取り戻していくっていう展開かな。避けて生きられるかなと思ったけど、避けて通れないプロセスを象徴してる気がするから、そこをやらないと自分の存在として、自分が立ち上がっていかないっていうことを突きつけてくるものっていうイメージです。
Bさん
私はまさに今、このテーマが自分のテーマだと思っていて、今までの価値をどのように変容していくか。

元々母親がすごく強い人で、逃げたくて逃げたくてしょうがなかったけど、一緒に仕事をしないといけない環境の中で、どうやって彼女と上手くやっていくかを十何年間ずっと自分の中で葛藤してきて、今は、ちょうどいい活用の仕方が見つかってきたのが一つ。

それと、人とどのような価値の循環をしていけばいいのか。自分を立てるために相手の欲求に応えていくっていうプロセスがあると思うんだけど、相手に依存しすぎてもだんだん面白くなくなっていくし、自分っていうものが芽生えてくると、その関係は成り立たなくなる。0か100ではなく、関わりながら自分も相手も共存共栄していく、そのポジションを見つけていくってなかなか難しい。

距離感も含めて、どこまで自立して、どこまで関わっていくか、自分にとってプラスになる関わり度合いみたいなものを見つけていくことが、今大事だなというところです。
Cさん
私は冥王星のアスペクトはないけど、元々冥王星的、蠍座がたくさんあるので、この夏は激動の日々でした。

義理の母が、軽い脳梗塞の後遺症から認知症も出てきて、てんやわんやでした。これまで彼女の夫と息子(私の夫)は、かなり彼女に依存していたから、家事をどうするのか、などゴタゴタが続いている状況です。

義理の母なので、まだ第三者的に、冷静にいろいろ対応できてるところもあるし、世代交代も含め、私的にはいよいよ来た、ついに来たか、みたいな感じで受け止めてます。ただ、義理の父も夫も、何か心構えや準備をしてたら、きっとそこまでのショックにはならなかったかもしれない。

80歳後半で、一切家事をしてこなかった人が急に放り出され、頑張ってはいるけれど、これまでもっと普通に家事やいろいろをしてたら、今みたいな感じにはならなかったんじゃないか。放置してたら冥王星怖いな、というのを今、現在進行形で感じているところです。
Dさん
私は元々、太陽と冥王星がコンジャンクションで、その反対に月がオポジションなので、冥王星の存在を子供のときからヒシヒシと感じていて、ここまでのお話に全部当てはまると思いながら聞いていました。

普通のサラリーマンの父に専業主婦の母親だったんですけど、母がずいぶん年下だったのもあり、とにかく我が家では父が絶対的に一番。父親の言うことに、何も言わずに従っている母親を見ていて、彼女の力の無さがすごく嫌だなっていうのを子供ながらに感じていました。

私自身は子供のときから、ずっと自分がこうなりたいなと思っていても「やっぱりできない」という無力感がとにかく強くて、自分自身が大嫌いだったし、コンプレックスもいっぱいあった。もう力の無さから逃げてばっかりで、もう戦うこともなければ諦めてる人生でした。

だけど、心の中には、ずっとそんな自分から変わりたい思いがある。でも、自分に向き合って戦ったり、力を取り戻すことはやってこなかった。

去年、母が亡くなり、私を必要としていた人がいなくなってしまった。これからは自分で生きていかなきゃいけない時に、自分がちゃんとその力を取り戻さなきゃいけないところに、やっと立っている感じです。今までは、もう本当に力がなくて駄目だ駄目だ駄目だみたいな自分から、何とか自分の力で歩き出す、という体験のところにいる気がします。
Eさん
冥王星は何か、自分の凝り固まったものを壊してくれるっていう感覚があります。
どうしても自分だけでは、自分の価値だけでは、世界は広がっていかないところがあるけれども、人の思いだったり人の価値が加わることによって、自分では無意識にやっていたこととか、自分では気づいていないことに気づかされる。ちょっと受け取るには時間が必要だったりするけれども、それをしっかり受け入れたりできていけば、世界が広がっていくような感じがあります。
Fさん
自分には10天体に不動サインがないのと、冥王星が蠍座世代で自分の太陽と水星が水エレメントなので、自分の価値観を知っていくプロセスの中には、水エレメントのもつ違和感や防御の感覚が自分にはあった、と皆さんのお話を聞いていて感じました。

他者の価値感が自分の中にすごく侵入してくる感覚があって、それを跳ね退けるには自分の価値観がないと、長く冥王星に怯え続けてしまうのをすごく感じています。
Gさん
今年の夏、実家に法事で帰省して、今までだったら考えられないんですけど、従姉妹とか親戚が集まる食事会があったんです。

父方の親族は、兄弟同士に物凄い確執があって仲が悪く、問題があるのに手をつけないでずっとやってきて、でも彼らが70~80歳になり、兄弟が亡くなったり痴呆になったりして、ようやくその問題に手をつけ始めた。お互いに物凄い確執があった中では、人が死んだり、痴呆や病気になったりしないと何か問題に向き合えなかったとか、こういう何十年もの時間が必要だったのかもしれない、というのは冥王星な感じがする。

自分が育ってきた環境――小さい頃からずっと親戚のゴタゴタがあって「なんでこんな」「ふざけんなよ」と思うところもあったけど、私も今だから受け入れられるところがあるし、次の世代は自分達になるので、今は、そういう感情抜きで何か自分がやれることはやっていきたい。なかなか接点もないけど、従姉妹とも連絡先を交換して何かあったときは一緒に協力していこうとか。

時間なのか、これまでの何かわだかまりが少しずつ解けるというか、収まるところに収まってきてる感じがあって、それがこの夏の自分の中での冥王星っぽい体験だったと思います。
Hさん
私にとっての冥王星は追い求めても叶わないものだけれども、一つでも叶えたいって思うものかなって思います。亡くなった父、知人との約束、自分の子への叶わない思い。
でも努力して、一つでも克服に努めようっていう、やればやるほどきついんですけど。それでもやっぱり一つでも何か一歩ずつ、あの頑張って踏ん張って、行かないといけないみたいな感じが、自分の冥王星かなと思っています。
Iさん
今年の春、急死した母は、家族の中でも大きな存在であり、私も父も急に放り出されてしまった感じが大きくて、初めてそれぞれに暮らしを立て直しているような状況です。

父が独居になった場合でも自立できるように、もっと早くからやっていれば、多分今のような状態にはならなかったんだろうな、っていうのを日々感じているので、Dさんのお話に共感をもって聞いていました。

自分と父の関係も、母親に護られていた部分があったからこそ、ずっと無関心のままでいられたのかもしれない。自分は独立して自立していたつもりでいたけれど、いろいろな意味で自分は母親に護られていて、知らず知らずのうちにすごく依存していたんだっていうことを、最近本当に切実に感じています。
Jさん
水星・月・冥王星のスクエアをもっています。占星術に出会って、とてもしっくり来て、初めて向き合っている感じです。火星も蟹で逆行ノーアスだし、私は火のエレメントもないので、もう火星からできないし、だから冥王星もできない。最初のスタートはそこからです。

子供の頃の体験として、お母さんと同じ意見、同じ感覚じゃないと排除される。お母さんも無意識だから攻撃性はないけど、結果的に機嫌を損ねるし、この人に嫌われたら終わる、みたいな感覚があったけど、その当時は全然嫌じゃなかった。

大人になっていくにあたって社会をステージにしたときは、親密な身内やお付き合いしてる人をもう囲いたがる。それこそコントロールしたがる、自分が全部把握したい。私も把握されるのは構わないけど、あなたのことも把握したいっていう、こじらせ激重になるんです。社会の顔とプライベートの顔のギャップに自分自身とてもずっと戸惑ってたっていうのはあります。
Kさん

nico:  皆さん素晴らしい、ありがとうございました。一つ一つそれぞれの冥王星体験として本当に大事な貴重な話をしていただいた感じがありました。やっぱり生きることの弱さや不安、そういうものを語り始めれば、基本的に全て冥王星のテーマだと思います。この困難さや暗さからスタートできる力というのは、何もない状態から、もう一回自分が物語を作り直していく力でもあり、本当に冥王星的なテーマとしては重要だなというところです。

自分の暗いところを、まずは受け入れるところからスタートする

ここまでの体験談から、冥王星は、今、心の中で起きている暗さの部分とどう向き合っていくか。が課題であることが提示されました。その一方で、こうした冥王星体験を暗さとして引き受けずに、ポジティブに転換してしまった例として、斎藤県知事のエピソードが引用されました。

Wikipediaを見ると、彼は経営者であったおじいちゃんに可愛がられて育ったというエピソードがあり、子供の頃、何でも欲しいものは買い与えられていたそうです。ただ、チャートを見てみると、金星と火星が90度で何となく自己愛が傷ついてるように見える。(月のアスペクトがわからないので何とも言えない部分もあるけれど)何でも与えられたことで満たされているようには見えない。

おじいちゃんに可愛がられて何でも買ってもらった。でも、実はずっと自分は愛されてない感じがあった、物はたくさんあるけど何かほかに欠落している感覚があった、というように、何かそういう暗い部分からスタートしないと、冥王星の解決にはならない。

もしかすると、彼は暗い物語を作れないのかもしれません。無意識に欲しがる「おねだりさん」になってしまうのは、かつて物で満たされていることに対して、何かポジティブなイメージで自己愛を満たしている、そんな感じかもしれません。



何かとポジティブシンキングが良しとされやすい現代ですが、やはり人の心というものは、そう単純でもない。心の葛藤や暗さを避け続けた状態では成熟にほど遠く、こじらせを招いてしまうのかもしれないと感じます。

ここから更に冥王星について理解を深めるために、月と海王星との関係についてもかなり掘り下げた解説がありました。水のエレメント=見えない心の問題をどう取り扱うのか、たくさんのヒントが提示されました。

誰にとっても冥王星を克服していくのは難しいとされていますが、そうした中でも、次の3つのポイントは特に重要そうです。

1)自分を最も自分らしくさせているものを手放す必要性
2)新しい自分へと変容していくためには自分が語りがちなストーリーを書き換えていくこと。そして、今回の勉強会のように、
3)他者との関係性の中で自分を語り、確認する体験が重要ということ。

9月2日(月)から、冥王星は山羊座の最終度数へと移動し、約2ヶ月もの間、滞在します。このタイミングで、自分の中の暗い部分、弱さや不安を受け止めながら、新しい自分を生きていくための変容が手にできるとよさそうです。不動サイン的体験、土星や冥王星をこじらせないように乗り越えるための方法を学んでみてください。

この他にも、様々な角度から冥王星を掘り下げた90分です。
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