今だからこそ金星のはなし ~この夏は自分に夢中になろう!〜

私は電車や街の中に貼ってある広告が大好き。
その時々の世相や、今の自分に必要な事を、短い言葉で単刀直入に訴えかけてくるので、ふとみた電車の広告、街の看板に「これはもしや?!私へのメッセージに違いない!!」と思う事しばしば。

とまあ、広告業界の罠にまんまとはまっている私はルミネの広告が特に好き。
以前にも記事にしましたが、その時々のトランジットのテーマを絶妙なコピーで伝えてくるで、季節ごとに必ずチェックしている。

先日も、nico先生の夏至チャート読みを聴いた後、夏の広告を見て帰ろうとワクワクしながら新宿南口に降り立った。

「自分に夢中になれないと、誰かを真っ直ぐ愛せない」

やっぱりきたね金星!
夏至から3ヶ月のテーマは、「自分に夢中になれ!」なんていいじゃない。

夏至図で、ごきげんそうにしている8ハウス際の牡牛座・金星を思い浮かべながら電車に乗り、目の前に座りじゃれあう高校生のカップルを見ないようにしながら、チキチキとこの原稿を書き進めることに。

現在、金星はルーラーである牡牛座にいる。金星にとっては我が家に帰りくつろいでいるようなもの。ここのところ周囲の空気もなんだかまったりしていて、街ゆく人々も金星の心地よさに安堵しているように見える。

まもなく金星は双子座へと移動してしまうが、夏至図に刻印を残した牡牛座・金星の影響はこの夏の間も、私達を優しく見守ってくれるに違いない。

今のなにが心地よいかって?
「なにが」心地よいではなく「心地悪くない」日々が実に心地よく、自分らしく過ごせた1日は『今日はいい日だった』と、私には感じられるのです。

これも「あの時」があったからこその感覚だと思う。

みなさんは、今年春3/4~4/15の金星が牡羊座から魚座へと逆行したあの期間に自分に起きた事を覚えていますか? そして、この逆行の金星が春分図に刻印されていた春分から夏至までの3ヶ月「あの時」はどんな感じだったでしょうか。

わたしは忘れられない。心地よくないどころじゃなかったもの…
せつなく、不快なことが、呆気にとられるほど次々と目の前で展開され、次第に自分らしさは自分らしくなさに、人との心地よい関係は、心地よくない関係に変わっていった。

もうイヤだー‼
と叫びたいけど声もでない。桜の咲く季節なのに、穴を掘って「心」を冬眠させる事にしたよ。トホホ…

まあ、わたしの話は置いておいこう。

 

「わたしは必要ない人間」
「自分のやりたい事がやれない」
「この人とは、やっていけない」
「僕の世界をかき回す人がいる」

あの3ヶ月、パートナー、友人、知人、様々な人との関係の中でこんな思いに苛まれた人も多かったように感じる。心地よくない体験、湧きあがる不快な感情に耐えられず心が病んだり、身体に様々な症状が出たり、心・肉体=自分がいかに大切か思い知った人も少なくないでしょう。

金星の逆行現象が起きている期間は、いつもは見えていない、見ないようにしていた部分が見えてくることで、自分の心の奥底におしやっていた気持ちがむき出しになってくる。問題を起こしているのは金星でも周囲の人々や出来事ではない。自身の内側に押し込めてある気持ちなのです。

こういう事は金星逆行に入る時期に書き尽くされ、今さら感もありますが…

でも、金星=自己価値」って言葉を読み聞きしているだけでは、自分の自己価値なんてホントはよくわからないし、心地よいときには「心地よさ」「満たされる感覚」は、わかりづらい。違和感や痛みを通して、心がズタボロになってみて「自分の気持ち」がどれだけ大切かを痛感するわけです。

今年の春、トホホだったのは、大人だけではない。
ちょうどあの頃、息子がしょんぼりしてよく言っていた。

「今日はいい日じゃなかった」と。

息子はお友達が自分の世界に強引に踏み込んでくるのがイヤだと言う。相手の子にとっても、好意がうまく伝わらずにヤキモキしていたことだろう。

子どもにはよくある事かもしれませんが、それだけではないように感じるのは、あの時期、似たような話をあちらこちらで聞いたのが、最近ピタッと耳に入らなくなったから。そして息子が「今日は良い日だった」と話す日が多くなったからです。

少し前、ルミネの冬の広告に「わたしの宝物はわたしだと思う」というコピーがありましたが、ホントにそう思う。
わたしの宝物は「わたし自身」「わたしの世界」これは大人も子どもも変わらない。

僕の宝物であるはずの「ボク」が思い通りにできない。宝箱の蓋を開け、手を突っ込んでかき回してくる人がいる。宝物のはずの自分が無視をされたり阻害されたりする。そんな事があった日は「良い日」なわけがない。

やめて、イヤだ、自分はこうしたい!
これが言えれば苦労しないのですが、まあ、大人でも言えない人が大勢いるわけで…しかし、宝箱の中の「宝」を守るためには良い顔ばかりしていられない。
そんな自分の弱点を知る機会でもあったのです。

そうは言っても、どうしたらお互い心地よい関係に着地できるか?どうしたら自分の気持ちを満たす事が出来るか?こんなことをしっかりと考え、行動を変えていくのは渦中では難しい。子どもならなおさら。

でも、時が過ぎると忘れてしまう。
私たちは、過ぎてみて初めて実感したのではなく「いつもここでつまずく」と、何回も忘れているだけ。

2年に一度の金星逆行は宝箱の点検。
そういう時だったからしょうがない、終わったからもう大丈夫と自分の宝箱の中身を点検してまた蓋をしてしまうのではなく、自身の本当の気持ちに向き合いメンテナンスしていけば「今日は良い日!」が増えていくよね。

気がつくと、前方の高校生カップルのじゃれ合いがさらに盛り上がり、彼女のキャピキャピが車内中に広がり始めていた。
あらあら…

人目もはばからずあんなに夢中になれたら、さぞや満たされることだろう。

そっか、恋か。
恋愛は人との関係性において自分の価値や喜びを感じられる体験、だからこそ恋愛は金星の領域。人に愛されることや、誰かを恋することは胸を熱くし、私たちを突き動かす。

金星の司る「愛しむ力」は、私たちのエネルギー源。
ちびっ子達には「自分を愛してくれるママ」がエネルギー源。
どちらも、過剰でも足りなくても健やかではいられない。

まずは、しっかりと自分を満たしていなければ、優しい笑顔、柔らかな声で心から我が子や彼、友人達と向き合うことなどできないよね。

木星・蠍座入りはまもなく、この秋からは自分の愛する「誰か」「何か」と深く関わっていく流れになっていく、これをより良く味わう為には、この夏しっかりと自分を満足させておきたい。

「誰か」「何か」が見つかっていない人は、とりあえず自分に夢中になればよい。
惑星の動きに呼吸を合わせシンクロしていけば、きっと「それ」は見つかるはず。

『今年の夏は思いっきり自分に夢中になって、秋からは真っ直ぐ誰かを愛すればよい』

よし、この流れに乗った!
手帳に夏の予定を書き足して顔を上げると、目の前の高校生カップルがさっきまでとは別人のようなすまし顔。地元用の面持ちで2人離れて電車を降りた。

2人の時間は秘密の宝物なのね。

それにしても…
あぁ~こっちが恥ずかしかった。