nicoの星宙予報2020 蠍座

 前回の天秤座期では、秋分図としてチャートを読み、以下の二点をお伝えしました。

 

  • 秋分の季節は、水面下にあった問題が表面化する。どのような問題が浮き彫りになったのか、そこに注目してみること。
  • 秋分の季節は、外交問題、友好、敵対の図式が明らかになる。民主主義的に議論や対話で解決することはできるだろうか。

 

 今、いたるところで、上記のテーマが話題になっているのがわかります。

 9/21の米中韓の首脳との電話会談を皮切りに菅新政権の外交が始まりました。10/1821日まで、夫人を伴いベトナム及びインドネシアを訪問。南シナ海問題や北朝鮮情勢への対応等を話し合い、先日、帰国しました。初外遊の成果については、来週26日から始まる臨時国会で議論されることになります。

 また、天秤座的テーマとして外交問題と共に、金星=価値の再認識があります。日本学術会議会員の任命拒否問題がこのテーマにあたるでしょうか。日本学術会議とは、これまでその存在すらあまり知られていなかった内閣府の特別機関ですが、今回、まさにしかるべきタイミングで、その存在の有無や相互理解のための議論の必要性が浮上したということになるでしょう。

 

 そのようにして始まった秋分からの期間、こうしたテーマは国や機関だけではなく、個人にも起こり得ることです。

 心地よい環境から離れ、外向きの活動が活発になるなど、皆さんの生活にも動きは出てきたことでしょう。これまで、なあなあで片付けられていたことに着手することになったり、価値の見直しを迫られ、やり方を軌道修正せざるを得ないこと等はあったのではないでしょうか。

 ここで自分自身の価値の、または自分に付随しているものの価値、魅力、個性に対して、シビアに再評価しておくことで、蠍座期の過ごし方が大きく変わってきます。

 その価値を大きく見積もることも小さく見積もることもなく、できる限り正確に評価することで、感情的に揺れ動くことが少なくなります。それは、人との争いやストレスを軽減させることにもなるのです。

 自分自身を客観的に評価することができないと、「私の能力の足りないせいかも」「なぜ、人は私をわかってくれないのだろう」など、不毛な悩みを抱え込みやすくなります。思い通りにならない、納得いく結果に結びつかない原因をいつまでも探し続けてしまうことにつながります。

 「自分は、このくらいの程度の人間だ」という了解ができていれば、無駄なストレスを感じることもなく、また相手に求めすぎることもなくなります。

 もちろん、他者に対しても同じように冷静に判断を行うことが必要になります。気分や評判ではなく、他者や相手に付随しているものの価値、魅力、個性をきちんと判断することにより、自分が生きている世界がどのような価値を持っているのか、どんな魅力や素敵な個性にあふれた人たちがいるのか、(またはその逆なのか)がわかるということです。

 自分を取りまく環境は自分を写す鏡であるわけですから、「私」を判断する材料として、周囲を鑑みる作業はとても重要になります。周囲に不平不満があるということは、自分自身がそれだけの「程度」であるということですから、環境をよりよくしていくためには、自分自身の金星=価値、魅力、個性を磨いていくしかない。そうでないと、ずっと私と他者の間に隔たりが存在し続けてしまうわけです。

 

 そこで、蠍座期の最初のステップとして、私=他者の価値を再認識してみることも一つの手です。

 

 うまくいかない活動、私をイラつかせる人、苦手な作業、理解し合えない関係、目をそむけたくなる記憶…

 どうしてこうなるのか?

 なんでもっとこうならないのか?

 

 どんなに願っても自分も自分を取りまく他者/環境も変わってはくれません。もう、既にそこにあるものとして存在してしまっているのです。もちろん要らないものは切り捨てたり、放り出したりしてもいい。「こんなはずではなかった…」と自分=他者の価値に落ち込み、なかったものにしたって構わない。

 手放すのは簡単だけれど、本当にそれでいいのかどうか…

 

 蠍座期にやるべきことは、物の見かたを変えること、そして価値を再評価し、新たに取り込むことです。

 それが不動サイン・水エレメントのやるべきことですが、これはなかなか大変な作業です。

 自信をなくしたり、イラつかせたり、がっかりしたりする状況は変わらないわけですから、それを飲み込んだとしてもずっと違和感しか得られない。だから、自分が納得して取り込めるように価値を再評価し、見方を変えるしかないのです。

 カカオ豆だって、その利用法を知らなければただの巨大な芋虫のような脂肪の塊でしかない。でも利用価値を見出すことができれば、それは1000億ドル産業にもなり得るわけです。

 価値を再評価し、利用価値を見出すことができるかどうか。それとも、ただの巨大な芋虫として手放ししてしまうのか。ZOZO創始者の前澤氏のように中古レコードや古着に価値を見出し、一財産を築くことができるか、あるいはボロとして処分してしまうか。

 利用価値を再発見できるかどうかの秘訣は、思い入れと粘りです。

 「捨てたものではないかもしれないぞ」、「何かきっとよいものが眠っているのではないか」と模索、探求を続けることで、やがて、そのものの良さや価値に出会うことになるかもしれません。

 「手放すことはいつでもできる。まずは諦めずに、もう一歩二歩くらい入り込んでみてみよう。」その姿勢の中で、新たな価値に出会うことになるかもしれません。

 

 自分、または自分を取りまく他者/環境から、何か新しい魅力を引き出すことはできそうでしょうか。「マツコの知らない世界」のように(マツコも蠍座ですね)、まだまだ未知の探求、価値の発掘ができるかもしれません。せっかく手にしている大切な財産を生かすも殺すも自分次第。ぜひ、蠍座期に自分、また自分を取りまく他者/環境の中で、新たな魅力を見つけてみてください。

 

 そうしたことを踏まえ、今期のイングレスチャートを見てみましょう。

 蠍座のナチュラルハウスでもある8ハウスの向かい側、ハウスに山羊座の天体群がごそっと存在しているのがわかります。ここまでお話ししてきた金星的テーマ=私の存在価値とは?が大いにテーマになるということです。ハウスのカスプは山羊座の木星であることから、自己価値に対して不安を抱きやすいということがわかります。経済を考えてみてもコロナ禍での内需・雇用回復に制約があり、実体経済の不確実性が続くということになるでしょうか。

 金星と好角度を取っているように見えますが、この金星はフォール(ー点)し、11ハウスを支配していることから、外国人投資家による内需ニッチ株に買いはあるものの、またはインバウンドによる回復が進んでいるように見えるものの、全体として、まだまだ冷え込みは続くということでしょう。

 だからこそ、今期は蠍座ハウス的価値の回復が不可欠になるということになります。

 JR東日本の終電繰り上げ、ANAの国際線を地方空港から羽田に集約するといった策は、一見後退しているようにも見えますが、カカオ豆のような価値の変容とも言えそうです。

 ファミマ上場廃止や三菱重工業の国産初旅客機の事業化凍結など、道のりの険しさは続きますが、だからこそ、新たな視点で価値を見出していくことは不可欠です。そのとき、どのような策が取れるのか。企業の思いと粘りで、何とか生き残りを図っていくしかない、そういうことかもしれません。

 

 6ハウス、12ハウスの配置を見てもコロナが収まる様子も、また効果的な治療法が発見される様子も、今期はまだなさそうです。
 だからこそ、ここは腰を据えて、自分と自分を取りまく他者/環境の価値の利用に取り組んでいくしかないといえるでしょう。
 また、このチャートで唯一、力が安定している土星は3ハウス——未来に通用する学びと遊びの発展——を充実させていくことも価値づくりの一環として取り組んでみたいところです。

 自分が出会える人、活動、体験は思っている以上に狭く、小さく、限られたものであり、とても貴重な機会だったりします。出会ったものたちの価値を生かすも殺すも自分次第。それらを大切に未来へと育てていくことができれば、大いにこの厳しい現実を生きる力となってくれることでしょう。
 また、蠍座期はネガティヴに感じられるものにこそ、価値を見出せるときでもあります。
 幼少期の不幸な記憶、挫折や失敗の体験、病気や別離といった苦しみの時、そういったものも人生の財産として、自分にとっての大切な個性として光を当てることもできるはずです。
 ○○があるからうまくいかない、ではなく、○○があったからこそ自分の価値があると言える、そんな強さもこの時期に身につけておきたいふるまいの一つといえるでしょう。

 蠍座期、あなたはどのような価値を見出すことになるでしょうか。