2018 獅子座の言葉 スタンリー・キューブリック

心理占星術家・nicoが選んだ今月の言葉は….



子どもは成熟するにつれて、あらゆるところで死や痛みを経験し、「神性」という信念を失い始める。

しかし幸運にも、強さを授かることができたとしたら、子どもは魂の薄明かりを頼りに、生命の躍動の再生が行われることになるだろう。

本来、人生に何の意味もないからこそ、人は意味のある目的や肯定的な世界を構築しようと思うものだ。生まれた時のような純粋な好奇心は持てないかもしれないが、しかし何かしらもっと長期的、持続可能な意識をつくり出すことができるはずなのだ。

暗黒がいかに広大であろうと、われわれはそこに光を投げかけるべきであろう。

 1968年雑誌プレーボーイインタビューより

 

 

今月の言葉

スタンリー・キューブリック

1928年7月26日アメリカ・ニューヨーク生まれ。太陽、金星、海王星を獅子座に持つ。映画監督、映像作家。『スパルタカス Spartacus (1960年)』『ロリータ Lolita (1962年)』『博士の異常な愛情 Dr. Strangelove(1964年)』『2001年宇宙の旅 2001:A Space Odyssey (1968年)』『時計じかけのオレンジ A Clockwork Orange (1971年)』『シャイニング The Shining (1980年)』等、映像の美しさにこだわった作品を世に送り出した。監督業のみならず、脚本、編集、選曲など映画製作全般に渡り、作品を管理下に置く姿勢をとり続けた。

 

 

キューブリックは、「広大な宇宙空間を前に、私たちは旋回するほこりの泥だらけの微生物に過ぎない」という恐れを口にしている。こんなちっぽけな人間存在に、果たして生きる意味などあるのだろうかと自分自身に問いかける。つまり、彼は“意味のない人生”を生きることが恐ろしいのだ。

 

5番目のサイン獅子座の段階で、私たちはようやく“他”を知ることになる。蟹座までの守られた“私”の世界から出て、いよいよ大世界へと歩みを進めることになるのだ。

蟹座から抜け出すことがなかなかできない獅子座、つまり、太陽を背負えない人生がどれほど多く存在することだろう。

 

“強さに恵まれる”前の獅子座的段階では、人は“泥だらけの微生物”であり、人生には何の意味もなく、ただ死に向かって生きているだけの存在にすぎないのだと考えることがある。

このまま、どこにもたどり着けず、何者もなれない人生を生きることになるくらいなら、見知った水の中で気持ちよく暮らすことだってできなくはない。

 

けれど、太陽期、火星期を過ぎるころ、“魂の薄明かりを頼りに、生命の躍動の再生が行われることになる”。目覚めの時が訪れるのだ。

外の世界は、いつだって自分を試す場となる。喜びよりも試練を感じることも多い。自分の光がどこにも届かず、宇宙の中をたださまよっているように感じることもあるだろう。

 

だからこそ、獅子座は“光を投げかける”必要があるのだ。

自己存在の確認作業として、自分の光で照らすべきものがある。

それが絵画なのか、映画なのか、仕事なのか、生き様なのか、人なのか、意識なのか、思想なのか、それは人それぞれだ。ただ、自分の存在が消滅しないよう、不動サインらしく、自分が価値あるものと選んだものに対し、自ら“光を投げかけ”続けなければならない。

 

宇宙全体に光を当てることはできない。「何者にもなれる」という期待は、獅子座を窒息させることもあるかもしれない。

太陽神アポロンが建てたデルポイの神殿の門に刻まれた、“汝自身を知れ”と“何事も過ぎることなかれ”という2つのメッセージは、大宇宙、大世界の中で迷子にならないよう、自分の光の届く世界を見るつけることが急務である。

 

そしてまた、不動の火の炎のごとく、キューブリックの言う「何かしらもっと長期的、持続可能な意識をつくり出す」ことが大切になるだろう。

あなたの光は、今、何に向けられているだろうか。