2020 水瓶座の言葉 竹宮惠子

心理占星術家・nicoが選んだ今月の言葉は….



動物園で、檻に近づくなとは教えても、動物を檻に入れる事こそがいけないとは誰も教えない。

なぜか。

それは、将来、社会という檻に入った時“檻”が意識されては困るからだ。

ジョミー、疑問は持ちたまえ。

いくつも、いくつも……できるだけ多くの疑問を!

 — 「地球(テラ)へ…」竹宮惠子著より

 

今月の言葉

竹宮惠子

1950年2月13日徳島生まれ。

水瓶座に太陽、金星、木星を持つ。漫画家。京都精華大学学長、文部科学省中央教育審議会委員、国際マンガ研究センター長等も務める。

 

山羊座までに完成させた国/企業/個人にふさわしい在り方――スタイルやシステム、ルールは、その後、安定的に運営されるよう努力がなされていく。国/企業/企業/個人が滞りなく存続できるよう、時間をかけ積み上げてきたものを少しでも長く維持しようと努めるのだ。

それは実際、とても大事なことだ。社会的背景――政治、経済、地域環境、文化的価値等が変わっても、私たちは、この先も生活なり、生産性なりを維持しなければならない。今いる状況にちょっとくらい違和感を覚えたって、ちょっとくらい不安を感じたって、なし崩しになるくらいなら、守れるものは守ったほうがいい。

そうして、自分たちにとって心地よい国/企業/個人をつくり上げたつもりが、いつの間にか保守することが目的となり、気がつけば、まるで老人のように頑なで狭量な、古臭い感性が育っていく。今の安心を脅かす者、不安を煽る者は“不適応者”となり、排他的な社会ができ上っていくことになる。

 

ある状態にいるときは、その違和感に気がつかないものだ。今、守ろうとしているのは、誰を幸せにするシステムやルールなのか、その歪みや不自然さ、不必要さが見えなくなってしまう。

そのとき、ようやく風エレメント・全体性のサイン水瓶座の出番となる。ある状態から自分たちを分離し、これまでとはまったく違う視点で世界を観察する力、または「これは、全体として一体どのような意味があるのだろうか」という疑問を持つ力、そういった能力を利用して現状に風穴を通していく。

 

もしかしたら、何かがおかしいのではないか? 

このままでは何か間違った方向に進んでしまうのではないか?

そのような疑問が頭をもたげるようになったとき、水瓶座の戦いが始まる。一度疑問を持ち始めたら、もう見てみぬふり、後戻りはできない。その疑問を胸に、重い腰を上げ、疑問を声や行動に変えていかなければならないのだ。

 檻が意識できる者たちは「地球(テラ)へ」の登場人物のように、たいてい社会に居場所を持てない者――不適格者、マイノリティや弱者であることが多い。

自らをマイノリティとするのは、とても怖いし、勇気のいることだ。

でも、もし疑問を持ってしまったら、“檻”であることが意識されてしまったら、いよいよ私たちは勇気を出し、自分なりの未来を勝ち取る戦いを挑まなくてはならないだろう。

 

そのとき、私たちはそれぞれの能力を利用する。

超能力を持つ新人類「ミュウ=不適応者」のごとく、それぞれの能力=個性を生かして戦うのだ。

歌でも踊りでも料理でもなんでもいい。自分たちにできることで“檻”から解放され、もっと自由に生きることを目指していくのだ。

 

人は、疑問を持つことを恐れているのだろうか。それとも疑問を口にすることを恐れているのだろうか。それはわからない。

けれど、もしも生きにくさを感じているなら、それはなぜか?という問いを持ってみよう。自分自身であることを恐れず、今ある自分の能力で小さな行動を起こしてみよう。

そのとき、同時代を生きる人たちと意識と意識が結ばれ、自分の生きる場所を見つけることができるかもしれない。

不適応者であるゆえの個性が、もしかしたら誰かにとっての生きやすさにつながるような勝利を勝ち取ることができるかもしれないのだ。