2020 双子座の言葉 ジャン=ポール・サルトル

心理占星術家・nicoが選んだ今月の言葉は….



おれが断ったのは自由でいたかったからだ、そう説明できる。だが、別の説明だって可能だ。怯えてたんだ、緑のカーテンが好きで、夕方にはバルコニーで涼むのが好きで、それを変えたくなかった、とも。資本主義にたいして憤慨するのは好きだが、それがなくなってしまうと憤慨できなくなるから資本主義の根絶は望まない。自分のことを横柄で孤独だと感じるのも好きだし、否(ノン)ということ、何にたいしても否(ノン)と言うことも好きだ。だから本気でみんなが住みやすい世界を建設しようとするのは恐ろしい気がする。だってそうなったらもう諾(ウィ)としか言えなくなるし、みんなと同じようにするほかなくなるからだ。

 

— 著書「自由への道1 分別ざかり」より

 

今月の言葉

ジャン=ポール・サルトル

1905年6月21日生まれ。

パリ生まれのフランスの哲学者、小説家。双子座に太陽、水星、冥王星を持つ。実存主義の代表者。「実存は本質に先立つ」という言葉を知らない者はいないと言われるほど、彼の思想は世界中で影響を与えた。代表的著書は『実存主義と何か』『存在と無』『嘔吐』。

 

 

 牡羊座(火エレメント)、牡牛座(地エレメント)と続く歩みの中で、「私とは何ものか?」を自分の内側に探し求めてきた。自分の情熱と何か、どのようなものにインスピレーションを感じるのか、自分の感覚とはどのようなものを喜ぶのか、どんなふうに自分を実感することができるのか…

 そういった作業の中で「わたし」を模索した後、風エレメントである双子座の段階へと進んでいく。ここでは、今度は「内」ではなく「外」へと自分を放っていくことになる。

 サルトルの言う「人間はたえず自分自身の外にあり、人間が人間を存在せしめるのは、自分自身を投企(プロジェクト)し、自分を自分の外に失うことによってである」ということである。

 自分自身の感覚にしがみついていたら、いつまでたっても意識は広がっていかない。そのため、自分であることを手放し、何者か?を外から考える体験をしていくのである。

 その時、双子座はすべてに反してみるという考え方をし、自己確認を進めていくことになる。あーでもない、こーでもないと世界の真実を疑いながら成長していくことで、自分、他者、世界を発見していくことになるということだ(双子座の子供が反抗的であったとしても、それは自らの投企=プロジェクトの行為ということだ)。

 なぜなら、まだ自分のことなんてこれっぽっちもわかっていないのだ。自分で自分を規定できるほど、自分のことがどうしてわかるというのだろう。まだ、双子座の段階なのに?

 だからこそ、サルトルは「他者がこうあるべきとする自分の姿を強く、根気強く拒絶し続けて、初めて我々は自分自身であることができる」と説く。

 または、先に挙げた言葉のような態度————みんなと同じようにするほかなくなったら、自分を新たにつくり出していく意味などなくなってしまうではないか?

 双子座は、そうして自らの中で対話を繰り返しながら、今、自分にふさわしい態度の選択をし続け、少しずつ自分を認識していくことになるのだ。

 そして、やがて自分になるために選択をしていく。

 サルトルは、著書の中で繰り返し説く。

 ”自らが望むことに主体的に取り組み、好きなことを考え、あるべき自分になり、全てのアイデアや人との出会いを活用すること。未来に向けて、自分の存在を自ら投企(プロジェクト)して、責任をもって自分の人生をつくっていく”のだと。

 双子座的作業には終わりがない。繰り返しの投企があるのみだ。

 

 双子座期、私たちももう一度、自分や自分を取りまく当たり前に「否(ノン)」と言ってみるのはどうだろう。本当にそうなのだろうか?と自分との対話を重ねてみることもできるだろう。

 そして、その中で自分に対し“諾(ウィ)”と感じたものを選択し、未来に向けて投企=プロジェクトしてみるのはどうだろう。

 “わたし”の人生には終わりがない。絶えず、対話し、自分を選び続け、つくり続けていくものなのだから。