心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。
今月の星宙予報は、三ヶ月に一度の特別号。
今回は、9/23(火)秋分の当日に行われた月イチ勉強会の様子をお届けします。
出来事の当たる・当たらないではなく、考え方のヒント、考えをめぐらすことの重要性などとともに、占星術で時期をよむことの面白さ―――人、国、時代に起こった出来事を私事にするための道具―――をお伝えします。
政治状況から見る内向き=月の肥大化の危険性
国内外の政治状況や社会の空気感を手掛かりに考えると、今の状況は、秋分図だけで判断できるものではなく、むしろ春分から続いてきた流れが「こう来るのか!」という思いがある。
当時読んだ解釈を、もう少し修正してみたいので、今日は研究会方式で進めようと思います。9月頭に起きた月食図、来月の太陽・蠍座イングレスチャート、心理タロットによるリーディングなど、さまざまな検証を交えながら皆さんと共に、これからの3ヶ月をどう過ごすべきかを探っていきましょう。
ちょうど今、自民党総裁選が動いていますが、誰が総裁になっても大差ないんですよね。『日本人ファースト』の主張ばかりで正直、面白くない。与党なのに独自のカラーを打ち出すというよりは、今の既存の勝ち筋に乗っかっただけな印象です。
日本だけではなく、どの国もアメリカファーストのような内向きな政策ーー「自分の内側を優先する空気」が強まっていますが、それが実際に内側の分断を生み出している。
今月の赤ペン占いの魚座担当 Takeshi さんも、「SNSを見ていると「違和感」という感覚を、自分軸を守るためのシグナルとして扱う人が増えているように思う。」と指摘していますが、内向きになればなるほどデリケートさが過敏になり、違和感や異分子がクリアに見えてしまう。
この違和感ばかりが増幅してしまうのは、国や社会や個人に、月(陰)の意識が肥大化している状態といえるかもしれません。
今が天秤座の時期だというのを踏まえると、この月=蟹座が不安定なままでは、天秤座に進んでいけないので、何とかここを解消しないといけない。ただ、月の扱いは非常に難しく、大抵、扱い方に失敗してしまう。
・月を無視する: おざなりにすると他人の欲望に煽られて自分が分からなくなる
・月を護りすぎる: デリケートさ(過敏)と不安が増幅してしまう
この月のバランス(無視するのでもなく、護りすぎない)を取るためには、陽=天秤座または(月とセットである)太陽の意識が大事なんです。
でも、今は本来、牡羊座を運行すべき土星と海王星が、大事な牡羊座ポイントを抜けて魚座へと逆行していることもあって、今は前進するよりも思い切り(陰的な)内向きになっておくことがいいのかもしれない。
ただ、いずれ牡羊座へと戻っていくことを考えると、むしろ必要となるのは、単純な内向きや内省ではなく、次へ進むことを見据えた「前向きな内向き」という考え方もある。
こうした二つの方向性で揺れるのは、天秤座らしいアンビバレントな感じもしますが、この「前向きな内向き」をやらないと、客観性が限りなく失われている自民党総裁選のような滑稽な感じになるだろうとも思います。
内向きよりガンガン攻めたいんだ、という人もいれば、一歩一歩着実に内向きを解決しながら進みたいという人もいるかもしれないですが、今回はどちらの方向性が強く出ているのか。天秤座がどこに向かおうとしているのかをチャートを通してみていきましょう。
秋分の3ヶ月、弱すぎる金星と強すぎる火星
冒頭でお伝えしたとおり、現在の状況は、春分から続いてきた流れが表出していることから、先ずは春分図のおさらいから。

アセンダント天秤座のルーラーである金星は、牡羊座でフォール。エッセンシャルディグニティが低く、さらに二年に一度の逆行中。
ポイントは、魚座(+5点)→牡羊座(-4点)→牡牛座(+5点)の流れ。上がりすぎた金星が下がった後に再び上がる。このー4点の金星は単に「弱い」というよりも、上がり過ぎたものをちょうどよい適正に戻すための落ち込みと考えた方がいい。ここでの金星の落ち込み体験、不安の感じは、後に土星と海王星でも体験することから、覚えておいてほしいとお伝えしていた。
nico のエッセンシャルディグニティの考え方
全ての天体は12サインを一周する間に、上昇して下降するを繰り返す。天体の得意/不得意の性質から、今どんな体験が自分に必要なのか、天体が上手くはたらくためのシステムを考えるものであり、善悪で判断はしない。

次に月食のチャート。この時、ネパールやフランスでは大規模な抗議デモが発生し、米国では暗殺事件、日本では石破首相の退任などが起きました。この月食図が直接的な原因になっているとは考えにくいですが、何らかのトリガーにはなっていそうです。
注目は月食が起こった部屋、2ハウスと8ハウス、古い支配星でいうと金星と火星です。そこにアセンダントに金星がのっている。

さらに、今回の秋分図でもアセンダント乙女座に金星がのっている。この金星はフォールでー4点、火星はというと蠍座で+8点。つまり弱すぎる金星と強すぎる火星のアンバランスな状態をどう解決できるか。
実際に、日本のイノベーション指数は先進国の中で限りなく低く(中国10位、韓国4位に対して日本は大幅に劣後)、限られた資源をどう扱うかという金星的な課題が浮き彫りになってもいます。国や企業、個人は、自分たちの「金星のなさ(人・モノ・金といった資源)」を自覚させられるような動きがはたらいているのです。
一方、火星は非常に強い状態(+8点)です。蠍座のルーラーで(+5点)、水のエレメントに居ると(+3点)その力が発揮されやすい。つまり、火星は心が侵害されると活動のスイッチが入りやすいという特徴を示しています。この火星の強い力が内向きになりすぎると、自家中毒的ーー自分の心も持ちようが、自分自身を苦しめるような状態ーーになる危険性があるでしょう。
先取りすると、来月蠍座と射手座のイングレスチャートでも金星と火星が鍵になっており、この3ヶ月は、2-8ハウス、そして金星火星のバランスの取り方が重要になってくるでしょう。
ここまで5枚のチャートから繰り返し、金星と火星の話が出てきました。さらに心理タロットを用いて、検証を続けてみましょう。
本編120分の動画では、春分図、月食図、秋分図、蠍座&射手座イングレスチャートの5つを参照しながら、詳しいリーディング解説を行っています。
金星と火星のせめぎ合い、しばらく続く火星と冥王星のプレッシャー、蟹座木星の煽りと逆行の影響など、来る活動サインの時代に向けた心構えをたくさんお伝えしています。
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心理タロットに映し出された内向きと外向き
心理タロット予報では、ふたりのタロットマスターが秋分図を読み解いてくれました。秋分図の様子がどのように表されているのか、見ていきましょう。

keiko さんのカードは、
・奇数ばかり(陽・外向きのエネルギー)が強い
・「ワールド」が逆位置で出ており、地に足がついていない状態
・地エレメントの補完が必要
➡理念や理想が先行して、地に足がついていない

hikari さんのカードは、
・カップ(水のエレメント)が多く、内向きな傾向。
・「節制」、バランスの取れた内省の必要性
➡内向きすぎて、前進できなくなっている
天秤座の季節は、できればソードや風のエレメントといった、前に進んでいくための帆を張っていく時期のはずなのに、これだけカップが出てるということは、まずは内向きをしっかりやらないと前進できない。
でも、内向きになり過ぎると客観性を失ってしまい、自分がどうしたいのかが見えなくなってしまうのではないか。
いま、タロットカードも使い、たくさんのチャートも見て、材料が出揃いました。ここまでの話の中で、春分からはじまっていた天秤座のテーマとはいったい何だったのか。天体の象徴がいろいろあり過ぎて、何をやったらいいのかわからない状態の中で、この天秤座の季節どちらの方向性に舵をきったらよいのか、皆さんと一緒に考えたいと思います。
参加者の声、それぞれのバランス
ここまで出てきた「内と外」「前向きな内向き」について、参加者の皆さんから、自分なりのバランスの取り方が語られました。体感も交えたさまざまな視点があがりました。
外に出ていきたい思いがあっても、防衛が強いと、自分の中で自家中毒、堂々巡りしてしまう。外の違うものに触れて、自分の金星を感じられるといいかもしれない。
蟹座の木星、何を成長・拡大させるのか
先ほど、蟹座の木星と月の話が出ましたね。
蟹座の木星は、自分の内側を豊かに、自分の内を見つめるものだと、わたしは考えているんですが、それは「慣れ親しんだ自分の月の世界を体験しましょう」ではない。
木星の性質は「成長と拡大」ですから、蟹座の木星は、月=心の器を広げていくことが目標です。ただ、陰の性質だけでは成長と拡大は難しい。
例えば、人は、自分が嫌な環境に放り込まれたときにしか、月の器が大きくなっていかない。
何か思い通りにならない他者との中で、やりたくないことをやりながら、または、思いがけない自分の想定外のことに出会いながら、自分の月の器が壊され、広がったときに様々なことが楽になっていく。月の器が大きくなると、自由という感覚が広がっていく。
だから、(蟹座の木星をやろうとするなら)基本的には風、陽の動きとセットなんです。
いつもお伝えしていますが、木星は、逆行からが本当の必要性が現れるタイミング。最初の4ヶ月は煽られてしまうだけなので静観し、逆行の4ヶ月、順行に戻ってからの4ヶ月で木星を意識すれば、十分間に合います。
蟹座木星らしいムーブメントは必ず起こってくる。それが本当に自分の心の器を広げ、筋力になっていくのかは、(逆行の時から)判断する。次回、蠍座の時期が水のエレメントですから、もう一度、蟹座の木星について考えてみたいと思います。
トランジット冥王星体験、コントロールを手放せるか
現在、火星と冥王星が90度の関係にあります。冥王星体験はコントロール可能な世界を手放すように促してくるのが特徴です。
冥王星の恐怖は、自分がコントロールできると甘んじたとき、慢心を打ってくる。
先日の子育て研究会では、家族のコントロールができると思っていた人が、子どもはすっかり大きくなり、旦那さんや周りの事情も変化し、思い通りにならなくなっていた。その時にどうするかが、本当に蠍座・冥王星のテーマだと思うんです。
この火星・冥王星の90度は、どんなに権力を握っていても同様です。トランプが戦争を終わらせられない、ネタニヤフも上手いことやれてない。
コントロールできると思えば思うほど、状況がうまくいかない不安や焦り、苛立ちといった90度の体験=無力感がついてくる。この強すぎる火星と冥王星に対比して、弱すぎる金星の体験=自分には何もない、足りないという感覚も一緒にやってくる。「無力化される」ということ。
だから、自分がコントロールできる気分の良さではなく、コントロールできないことに不安を感じず生きていく力をつけていく。そして何もない自分をもう一度育て直していく。それが、蠍座の火星の目標であり、冥王星体験です。
今ちょうど、火星が蠍座にいるので、この時間を大事にしてもらえるといいですね。
カルミネートの天王星
ここまで風エレメント的な要素が足りないと話が進んできましたが、ひとつ注目は、この高い位置にある天王星。タロットカードの地エレメント、ジャスティス(11)のように、正当に評価する勇気、シビアさ、成熟した知性をもつことが大事かもしれない。
自分を客観的に見ることは、成熟のひとつ。「自分はそんなに悪い状態ではない、そんなにヘナチョコでもない」あるいは「やっぱりダメだ」と判断ができるかどうか。
そのとき、人に「どう思う?」と積極的に話をするのは有りですよね。自分の中の風の要素、考え、何が足りないか、足りているのかもわからないと、ジャッジできないだろうし。
情報をきちんと獲得するとか、偏った情報になりすぎないように違う場所から情報を獲得して、たまには全然違う話を自分なりに取り込んでいこうとか、もう一度自分の水星を鍛え直そうというのもあるかもしれないです。
いま世界的にも報道規制の動きがある中で、風を取り戻していくというのは、本当に大事だと思っています。
土星&海王星、海から上がることを前提とした魚座体験
この秋分の間、土星と海王星は魚座の後半も後半で、海から上がるところ。サビアン占星術でも牡羊座1度は、海から上がったアザラシを抱えた象徴です。
つまり、魚座の後半にいる私たちは、すでに「海から上がる」ことを前提として内向きになる必要がある。下がりすぎないことが大事であり、単純に沈み込むのではなく、次のステップである牡羊座に向かうための準備としての内向き、「前向きな内向き」が重要になってきます。
私が最近ちょっとふと、ミシェル・オバマさんの言葉を読みました。
“When they go low, we go high”ー彼らが卑劣に出てきても、自分は高潔でいるよ。
これは、水に落ち込まないテーマとして、すごく大事だなと思うところです。
多くの人に冥王星や海王星をお話するときに「落ち込む」のは全然ありだと思うんです。でも、落ち込まされる必要はない。
自分のために落ち込むー自分の世界に内向きに入ることは、いくらでもやればいいと思うんですけど、誰かのせいで自分が落ち込むことを、できる限りしない。これは、火星ワークショップでもお話してることです。
「卑劣」とは、低いところに引きずり降ろそうとする意味ですけど、そうではなく、人がいると気分が落ち込む、人のせいで気分がくさくさする、そういう気分的=水エレメントの良くないところだと思っています。
自分がいつも火を持って、高潔であろうとすれば、そんなに引きずられないはず。今は、問題解決するために魚座に戻っているので、もちろん反省はする、内省もする、裏金政治も振り返るとか、それぞれやらなくてはいけないことはある。でも、人に引きずり込まれて、つまらない戦いやつまらない思いに巻き込まれる必要はない。
「海から上がる」ことを前提とした秋分の時期は、単なる逃避や沈み込みではなく、より高い理想に向かうための準備。他者の低いエネルギーに引きずられることなく、自分自身の高潔さを保ちながら、必要な内省と問題解決を行っていく。ここを、ちょっと火のフォローとしてお伝えしておきたいと思いました。
今回の秋分図リーディングは、たっぷり2時間! 春分からの流れをはじめとする数々のチャート読みから複雑な象徴が絡み合い、「これだ!」というような確信や方向性を得るのが難しいように思えました。しかし、話が進んでいくにつれ、霧が晴れるような思いがあり、会の最後で伝えられたまとめには壮快さを感じるほど。
全体的に難しい時期だからこそ、今回お伝えした天体のはたらきを理解し、2025年の締め括りと、来たる2026年に向けた準備に役立てていただけたらうれしいです。
📺見逃し動画を配信中(有料)
2025秋分号
この記事では紹介しきれなかった、詳細で複雑なチャート読み。パズルを解くような進行で、どんどん今という時期がクリアになっていくのを、ぜひ本編でご覧ください。難しい時期を乗り切るヒントになってくれるはずです!
2025年の四季図読み
今回取り上げた春分図は、こちらでおさらいできます。
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