いよいよ火エレメントの力が必要な時代がくる! フロンティアマインドを引き出すために水星で発見すべきこと ~星宙百景 2025冬至 山羊座

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

今月の星宙予報は、三ヶ月に一度の特別号。
今回は、12/23(火)冬至の翌日に行われた月イチ勉強会の様子をお届けします。

出来事の当たる・当たらないではなく、考え方のヒント、考えをめぐらすことの重要性などとともに、占星術で時期をよむことの面白さ―――人、国、時代に起こった出来事を私事にするための道具―――をお伝えします。

2025年「みんな大好きAI」一次情報こそが価値をもつ時代

2025年最後の勉強会、当日の朝、目に入ってきたのがロケット打ち上げ失敗のニュース。 
「イングレス前後に起こったことは、その一ヶ月の流れに影響を与える」というnicoの持論から、急遽、内容を組み替えることに。当初予定していた「お金の話」から、どんな流れになるのでしょうか。


nico: 今から一年分をざっと見ていきますが、まず講座を通して思うのは「みんなチャッピー(ChatGPT)大好きじゃん!」—-これが、もう一番の実感です。皆さんそれぞれに有効活用されているようで、本当にAIの話を聞くことが多い一年でした。

AIの発展で占星術も身近なツールになって、新月・満月図なども気軽になった印象があります。データを入れてチャートを読んでと言えば、そこそこの情報が出てくる時代に、「こうした会でお金をいただいて有意義だと思ってもらえる情報は何だろう」と考えたとき、やはりみんなで話し合い研究しあうことと、自分が作り出せる一次情報がとても大事になってくる。

人と対話する、現場で痛い思いをする、しんどいながらも手を動かす、そういうことを進んでやらないと、AI以下、AIのようにしか物を考えられなくなってしまう。だから、人間らしく苦労して一次情報を自分でつくり出すことが人の営みであり、来年以降もそうした営みを皆さんとやっていきたいと思っています。

2025年、続いてきた停滞感の理由

射手座期のイングレスチャートで注目したのは、アセンダントが水瓶座から山羊座に戻っていること。この一ヶ月、政権なり自分の日常なりで全然前に進まない停滞感、もどかしさがあるなら、このアセンダントが戻っていることがテーマになるだろうと、前回お伝えしていました。

蠍座期のアセンダント山羊座と、射手座期のアセンダント水瓶座は、どちらも支配星が土星で、その土星は逆行している。この二ヶ月間は、自分自身が快適に心地よく進まない、昔と違って自分の仕組みがうまく働いてくれない感じが強くあったのではないか。

歳を経て、時代も環境も周囲の人々も変わっている中で、何か新しい自分なりのシステムが必要なはずなのに、日常生活や仕事、未来のイメージにも「こういうことをやっていけば安定する」といった感覚が持ちにくい。特に、2ハウスに土星が滞在しているので、財政というお金の部分と自分の能力や時間の使い方など、「I have」と土星的なテーマがきちんと運営できていない不安も生まれやすい時だった。

社会に目を向けると、インフレが4年近く常態化していること自体、新しいシステムを必要としているんじゃないか。金利を正常化し、新しい30年を作っていかないとまずいだろうという枠組みで、長期金利の上昇などの政策の変更、つまり土星的な見直しが入ってきています。

もうひとつは、春分から続いてきた「弱すぎる金星」と「安すぎる日本」が、秋分以降にピークを迎える印象がありました。

春分図は、アセンダントは天秤座。この春分が醸し出す一年のムードは、外交しかり、外からの突き上げがあり、今の中国との状況を考えても、「弱い日本」をどれぐらい実感させられるのか。そういうテーマから一年が始まり、未だにそれが続いている。

「弱い日本」と読んだ理由
伝統的な古典占星術では、牡羊座の金星をデトリメント(-5点)と判断する。
アセンダントのルーラーである金星(この場合は日本)が、デトリメントで7ハウスに位置していることから、外の環境から「弱すぎる自己価値」をテーマとして突きつけられるだろうという解釈。

そして夏至からの3ヶ月は、金星の逆行に注目。金星は、土星と海王星の動きに先回りして、牡羊~魚座~牡羊座――つまり、牡羊座の初期度数(牡羊座ポイント)を行ったり来たりしていた。加えて、逆行ですから「自分の金星そのものを見直す」=自分の能力、財産、時間やお金の使い方、現実的なことへの不安を自分で見直す必要に迫られるときでした。

思い通りにならない状況の中で、どうやって自分自身を立て直していくのか。ここではそうした柔軟サイン的な意識が非常に大事だった。

底をうった自信のなさの回復、高市政権支持の背景

ここで柔軟サインのもつ競争力について考えてみます。以前、双子座に木星が入った頃、双子座を「競争力」として紹介していました。

心理占星術では、牡羊座、牡牛座、双子座の3つセットで個人の生存の力を作っていくと考えますが、双子座は切磋琢磨。身近な人々と、生きる技術を磨いていく意味での競争力です。

そして、木星は牡羊座、牡牛座で培った筋力を使って、より競争力をアップしながら、拡大や発展を目指していく。

そこからの蟹座の木星です。蟹座の木星は、自分の巣穴から新たな環境・場に出ての力試し。そこでの失敗や落ち込み、そういうネガティブな体験を自分の心の中で解消する胆力をつける、心の筋力を鍛える時期です。足りないものの欲望「もっとこうしたい!」や悔しさバネに感じながら、心を駆り立てていく。

この自分の自信のなさを回復していく感覚は、もしかすると高市政権が出てきた理由かもしれない。底を打った日本を何とか盛り返そうとするときに、「競争力」「成長戦略」「強い日本」といった言葉で鼓舞する首相が出てきた。今は、とにかく奮い立たせるエネルギーや力が必要とされている、と考えるのが妥当かもしれない。

木星は「人々の期待」であり、こうした訴えがないとマーケットも上がっていかないし、こういうムードが国債や円の相場を作っていく側面が経済には絶対にある。

太陽・射手座シーズンの終わり、補正予算決定の際に高市さんが発言したのは、「緊縮財政、緊縮財政で先細っていくのはふさわしいとは思っていない。成長していく未来を次の世代に残していくことが私達の責任。」この未来にどう繋げていくのかという発想は、とても魚座の人らしいと思います。

経済成長をどこに賭けるかー経済の12年サイクル

では、「強い日本」の国際競争力をもつためには、どうするのか。
まず、経済が成長しないと始まらない、この焦りの感じは、蟹座の木星だと受け取ってほしい。

時期読み占星術で何度もお伝えしていますが、木星が双子座ー蟹座を通過するときは、経済モデルが変化します。12年前はアベノミクス、その前は竹中モデルがあり、今回は高市首相がサナエノミクスを持ち込んできた。この経済モデルがどうなっていくのか、今は過渡期ではあるものの、アベノミクスとは違う形での成長戦略を考えている様子が見える。

そこで高市政権から打ち出された「日本成長戦略会議」。経済の立て直しに向け、注力すべき17分野を見ると、防衛費や安全保障分野に予算が割かれ、農業テックや予防医療、ロボットやスマート工場、データサイエンスやインバウンド、食料の安定供給に関する分野などは対象になっていない。

長期的な視野だけではなく、短期的に答えを出していくことも必要で、何にお金をかけてどういうふうに財政をコントロールして、管理していくのかはとても大事。このとき、未来のイメージがないと、何に時間やお金をかけていくべきなのかが分からなくなる。これは個人においても同じことです。

成長戦略会議の提言には、異論反論も出ていますので、皆さんそれぞれに見ていただけるといいのですが、ひとつ興味深かったものをご紹介しておきます。

心理タロットに映し出された火のエレメント欠如

ここでTさんが送ってくれた心理タロットを見てみましょう。
このカードの特徴は、水星的なものが過剰になっているのに、ワンド(火)がまったくない。

まるで、これからの3ヶ月の動きを現わしているようにも見える。

心理タロット冬至リーディング

来月、1月20日の太陽・水瓶座のイングレスチャートでは、アセンダントが牡羊座。その後、2月14日には土星と海王星が本格的に牡羊座に移動します。さらに、
魚座期 : アセンダント・射手座
2026年春分: アセンダント・射手座
その後、木星は獅子座へと移動していきます。

ここからは火のモードなんです。アセンダントは、今を生き抜いていくために必要な振る舞いとして欠けているものを教えてくれるものであり、このテーマを意識して過ごすとサバイバルする力になっていく。

つまり、これからの日本やわたしたちに必要なのは、スタートアップ的な「一発当ててやる!」というフロンティアマインドや創造性。でも、今の日本はこうした火のマインドを持っていないことがカードにも出ている、これは致命的ですよね。

わたしは火星サイクルを始めたときから、自分の中に意欲や意思を持つ=自ら火をつけていくことの大切さをずっとお伝えしてきました。日本がこんなに「火のモード」が続くということは、「自分で稼ぐ」「もう自分たちで何とかしよう!」という起業家マインドがないと、本当に生きづらい、厳しい時代になるだろうと思います。

双子座ー蟹座で底を打った木星が、これから獅子座に移動していくときに、高市内閣は「競争力」を取り戻すために積極財政に取り掛かろうとしている。

だから、わたしたちも火のモードを活発にさせる感覚を持って、どこの分野で、どういうふうに、どの能力を使っていくのか。この一ヶ月間に自分の競争力として見極めていくことが大事になってくる。

2026年への良き流れ、自分だけの水星をもつ


今日、なぜ私が3ハウスー6ハウスの話、または柔軟サインや木星的な話を「お金の話」以上に取り上げようと思った理由は、これから「成長のための武器」「道具となるもの」が必要になってくると考えたからです。

なぜ、ロケット打ち上げ失敗のニュースを出したのか。日本はしょっちゅう失敗しているから注目されていないかもしれないけれど、この話も繋がっているんです。

今回の、みちびき5号は、日本版のGPSを構成する人工衛星。今、日本はアメリカにGPSを頼っていて、日本の上空に常時人工衛星がおらずGPSの誤差や遅れが生じる課題がある。もちろん安全保障上のリスクもあるから、独自でGPSを持つための打ち上げだった。この独自にデータ収集ができない、ここが問題ですよ。

*GPS(Global Positioning System)
アメリカが開発した全地球測位システム。人工衛星からの信号を利用し、地球上のほぼどこでも現在地や時刻、速度などを高精度で特定する技術。軍事利用はもちろん、スマートフォンやカーナビなどのデジタル端末に広く搭載され、位置情報に基づいたナビゲーション、地図作成、物流管理、防犯など、政府から民間まで幅広い分野で活用されている。

ロシア―ウクライナ戦争、イスラエルを見てもわかります。アメリカの情報は力があるから、ウクライナが戦争を維持できているし、中国やロシアも独自のシステムを持っている。結局、そういう他国に頼ると安全保障の問題はもちろん、国際情勢的に「日本には利用させない」となったら技術開発は遅れ、情報を持てずに買い取るような事態になるという…これはリスキーですよね。

冬至の日に、こうしたニュースがやってきたときに、「この話は絶対にしないといかん!」と思って、話題を変えることにしたんです。

つまり、皆さんには「情報を持つ=AIでいいんですか」と言いたい。AIで誰もがわかっているような情報を右から左に使って、課金して、課金すればもっともっと高度な情報が持てると言われますが、本当にそれで勝負できるのか。

誰かの情報システムを利用することは、結局、誰かの傘下に入ることでしかない。

ここで今日、最初にもお伝えした、「AIと闘いながら、AIの一歩先に行くためにはどうしたらいいのか」。AIで一律に右から左に水星を使うことではなく、どうしたら自分の水星を高められるのか。

最初に一次情報と言ったのは、そんなに偉そうなものでもないんです。例えば「子育て」は自分自身にしかできない情報がもちろんある――自分はこういうふうに苦労したから、こういう子育てノウハウを持ってます。お料理なら、時短して美味しいものが作れますとか。

皆さんそれぞれが、日常の中で自分の時間を一番かけているもの、一番エネルギーを注いでいる分野で水星力っていうのは絶対高くなるはずなんです。自分が研究して、工夫して、日々の積み重ねをしたものが大事であり、そういう独自の水星のシステムを持ってないと、本当にこの先勝てません。

最近、ブルーカラーバブルなんて言わてもいますが、自分の肉体や体を動かして取ってくるものは、もちろん価値があると思います。でも、そんな大げさなことではないんです。


水星は、ホロスコープの構造上、ICからのスタートです。だから、主婦でも会社員でも、自分の日々の暮らしの中で、自分が一番長く触れて、本当に楽しく好きだと思える、そういう分野を自分なりに独自のシステムで学び育て、そして研究し、使っていければ、それが自分だけの「一次情報」になってくるはずです。

水星はもうひとつ乙女座でもあるので、そういう意味では、現場で実感する、自分で味わい血肉にした感覚――まさに、自分のものでしかない感覚でもある。この感覚を育てていくために、この一ヶ月、じっくりと考える。

この打ち上げ失敗というニュースを聞き、へなちょこな射手座の水星(デトリメント-5点)がMCにいて、土星・海王星・木星からの煽りをうけ、海王星・木星・水星的な期待通りにはいかない。この失望こそが水星力の洗練になるので失敗を恐れるのではなく、自分でずっと一次情報の最前線で、自分なりの情報が取ることをやっていけるといいですね。



この一ヶ月について、ふたつの大事なお話をお伝えしてきました。

木星は、いま(4番目の)蟹座まで進んできましたが、1-2-3(牡羊座~双子座)までの間に自分が勝ち抜いていける競争力、筋力をつけてきたのか。

分野によって、人によっては、なかなか自分なりの水星&木星を感じることができないかもしれない。そこに、「自分には何もないっていう」不安さや木星の煽りが来るわけですが、この「何もない」感覚が、水のエレメントの木星の特徴だと、前回の勉強会でお伝えしました。「何もない」だからこそ「では、どうしたらいいのか」。そこに一つの可能性を、自分のどこに見いだしていくのか。


そして、自分なりに、ロケット失敗のニュースを見てほしい。「GPSがないとマズイ!」は自分の何に置き換えることができるのか、自分の人生のどんな不安に置き換えられるのか、この失敗をこの教訓をどういうふうに生かせるのか。

自分はこんな水星(一次情報)を、こういうふうに使ってみたい/動かしてみたい、こういう技術を使ってやってみたい、こういう競争力で生きてみたい…そうした柔軟サイン、魚座的なビジョンがこの一ヶ月で固まったら、次の太陽・水瓶座に入っていく(アセンダント=牡羊座・火のエレメント)動きに、土星・海王星も流れ込んでくる。これは本当に今、とてもいい流れだと思っています。

皆さんが、自分が生きていく、サバイバルするための力っていうものを今、水星を通して発見しようとしている、その最中にいる、そう持ってもらえるといいなと思っています。



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2025冬至号
この記事では紹介しきれなかった、詳細で複雑なチャート読み。パズルを解くような進行で、どんどん今という時期がクリアになっていくのを、ぜひ本編でご覧ください。今回のご視聴は「受講生限定」となります。お問合せください。

▼過去の勉強会

2025年の四季図読み

今回取り上げた春分から冬至までの流れは、こちらでおさらいできます。


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