2019 双子座の言葉 マルタ・アルゲリッチ

心理占星術家・nicoが選んだ今月の言葉は….



いつも疑いを持って、いつも探っているの。
同じ曲でも何か新しいことをやってみるの。自分の型にはまらないように努力するのは、その落とし穴が危険だから。自分の演奏に満足しすぎるとマンネリ化してよくない。自分の型にはまることになるから。
でも私は大丈夫。その状況を避けるために、時にはわざと危険を冒すの。
コンサートを初めてキャンセルしたのが17歳の時。病気だったからではなく、どうなるか知りたかったの。
道徳と不道徳について、どこまでが限界か試したかった、興味があった、違う、最悪で唯一の違反行為を冒したかったの。

ドキュメンタリー映像「アルゲリッチの音楽夜話」より

 

今月の言葉

マルタ・アルゲリッチ

1941年6月5日生まれ。

太陽と金星、木星を双子座に持つ。アルゼンチンのブエノスアイレス出身、世界のクラシック音楽界で最も高い評価を受けているピアニストの一人。1990年代後半からは、自身の名を冠した音楽祭やコンクールを開催し、若手の育成にも力を入れている。

 

今は、本当に不自由な時代、遊びもユーモアも足りない時代だと思う。多くの人が倫理や道徳に縛られ、自分の中に検閲官を勝手に育て、誰に頼まれもしないのに様々な禁止事項を作りあげてしまい、知らず知らずのうちに言動に縛りを設けてしまう。

 

占星術では、倫理や道徳は射手座・木星の管轄であるが、双子座はその反対のサインである。つまり、倫理や道徳から一番遠く離れた自由な子供の感性を持つサイン。年齢域で言うと小学生から中学生の領域、本来はいたずら盛りであるはずの時期となっている。

 

が、今の時代はどのくらいこの悪ふざけが許されるのだろうか。

 

牡羊座、牡牛座と自分自身の在り方を育てた後、双子座は外の世界に興味を持ち始める。

それにはどのような意味があるのか。

こんなことをしたらどんな反応が起こるのか。

言ってみよう、やってみよう、試してみないとわからない。

そうやって、自分の中に芽生えた興味とともに成長していくサインである。

 

アルゲリッチは言う。

 

「いろいろ試して、レパートリーを増やすのは自分自身のためなのよ、新しい自分の発見のため。成り行きでね、いろいろやってみるの」

 

双子座は、そんなふうに遊び心を広げながら世界を自発的に体験していく、そうやって楽しみながら自己像を確認していく段階である。

 

ここで検閲に出しゃばられると、自分の個性が委縮してしまうではないか? まだ自分が何者かわからないうちからダメ出しされたら、悪いのは「ユニークな真の私」となり、自分の中の輝きを自分自身が否定するようになってしまうのではないか。

この年齢の時にそのような不幸な体験をしたら、一生、自分にネガティブなレッテル貼ってしまうことになるだろう。

 

アルゲリッチは、デビュー当時から気まぐれでエキサイティング、パワフルで超繊細、正確で大胆という様々な顔を楽しみながら最前線で演奏を続けてきた。78歳になる現在も昔と変わらないエネルギーと身体能力で観客を魅了している。

双子座期、もう一度自分の中の好奇心と向き合ってみるのはどうだろう。流行りの本を読んだり、人のSNSをのぞくだけでなく、自分の「試したい」「やってみたい」「言ってみたい」を刺激して、ときは自分の中のタブーを冒してみるのもいい。

その中で、新しい自己発見をしてみてほしい。