ここ数日、気持ちのいい秋の日が続いているが、占星術的には、秋分からの3ヶ月の季節は、大抵、何かとざわつくことが多いと考えられている。太陽が天秤座の15度から蠍座の15度まで続くバイアコンバスタ=変容の道と呼ばれる度数を通過するからだろう。
同じやり方、考え方、価値観にとどまり続けるわけにはいかない。
バイアコンバスタはそう教えてくれる。
春分からの半年間、自分なりになんとかやってきた。収束の目途が立たない中でのコロナ禍の生活の変化——マスク生活にもリモートワークにも、中途半端なコロナ対策——まん防にも緊急事態宣言にも、おっかなびっくりのワクチン接種にもなんとか対処してきた。途中、鬱っぽくなったり、体調を崩しやすかったり、身体の緊張が取れなかったり、小さな危機をたくさん経験してきたことだろう。こうして、皆それぞれ一様に、自分なりの努力の中でパンデミックを生き抜いてきたというわけだ。
ほんとうはここで一息つきたいところだが、私たちはまだまだやることがある。冬までの3ヶ月間を有効に使うことができれば、本当の意味で「ととのう」という感じをつかむことができるかもしれない。それは、「このわたしでいこう!」という心地よさ、安心感を得ることにつながるに違いない。
個人/企業/国、それぞれの立場でよりよい状態へと「ととのう」ことを目指す、それが秋分図のASC・乙女座のテーマとなる。
個人/企業/国がまず最初に着手してほしいことは設備投資である。それなりの生産性の向上や未来の可能性を望むのなら、古い技術や設備、デスクワークに向いてない家具、無料の情報やソフトの使いまわしなどはやめ、思い切った環境への投資が必要となるだろう。自分を活かす、自分の能力を活かすためには、そのための道具は必須である。不備があると感じている環境、設備、技術などがあれば、今から改善に着手してみてほしい。それが整えば、もっと未来に意識が向くようになるだろう(柔軟サイン・乙女座から次の柔軟サイン射手座へと進むイメージ)。
また、漠とした将来の不安から抜け出すためにも、短期的なスケジューリング、中長期的な生活設計もしてみてほしい。ここまでにこれを準備しよう、そんな整い方ができればおのずと「もっとできる」「もっとやってみよう」という前向きさが出てくることだろう。
ASCの自分の立ち位置、足場がしっかりすれば準備万端。
それでは、ここからより詳細に秋分図を見ていこう。
2021年の秋分図は、明らかに水星が鍵を握っているチャートとなっている。
ASC・乙女座、MC・双子座ともに水星が支配星。その水星は、エッセンシャルディグニティが+3点の得点となる風エレメントでトリプリシティ。秋分図ではもっとも力のある天体であるように見えるが、実はこの水星は9/27に逆行を開始する。
そうなると、せっかく冥王星とスクエアが終わったばかりに見えた水星は、逆行を開始直後、再び冥王星とタイトなスクエアを形成する。現在、まさに進行中の総裁選挙は様々な人々の思惑が絡み合い、また背後に権力争い、パワーゲームのようなものが働き、それらが行方(MCの支配星)をコントロールしようと躍起になっていると読めるかもしれない。まあ政治の世界だから、さもありなんなのかもしれないが。
しかし、これは何も総裁選に限ったことではない。個人/企業も似たような展開が起こりうるのだ。
「けっこううまくいくかも(水星トリプリシティ)」と思った矢先に流れが変わり(水星逆行)、いろいろな人の思惑が交錯し(冥王星スクエア)、すったもんだやったあげく保留になるみたいな流れを体験することもあるだろう。
人は思ったように動いてくれない。物事は思ったように進んではくれない。これは世の常だ。
しかし、そこにこそ学びや工夫がある。
このチャートには天秤座の火星と蠍座の金星という、一見するとデトリメント(-5点)という力の弱い天体配置があるのだが、実はこの二つの天体はミューチュアルレセプション(+5点)という天体同士のパワフルな力の交換が行われているのだ。
これぞまさに、この時期にふさわしい天体配置と言えるのではないだろうか。
つまり、太陽の力がぐっと弱まる秋分の時期(天秤座の太陽は−4点のフォール)は、個人(太陽)の力に限界を感じ、他者の存在のありがたみを実感し、またお互いの関係性をより強固にしながら、協力関係のもと状況を回していく、整えていくという工夫をすることがよき打開策となるということである。
天秤座・火星、蠍座・金星ともに-5点のデトリメントであることを考えると、なるほど、これはまさに今の総裁選候補者にふさわしい勝ち方ではないか。それほど個人に魅力や存在感がないのだとしたら、ここは謙虚に自分の弱さを認め、あとは政治力や関係性に頼ることになるということか。そうなると、まさに報道にもあるように決起集会への出席者数がもっとも多かった岸田氏も勝利から遠くないということになる。
個人/企業もこういった心がけが必要になるだろう。力の限界を感じたら、ぜひ積極的に他者の手を借りてみてもらいたい。逆にもしも力を借りたいという申し出があれば、もちろん積極的に手を貸してみてほしい。コラボレーションや共同事業、協力関係の中でこそ物事が心地よく運ぶときであり、また協力関係の中でこそ、自分の資質(金星)や力(火星)に磨きがかかることになる。
相手へと提供できる自分の価値や能力を知ること、そしてそれ以上に自分に足りないものを理解すること。また他者の価値や魅力をためらわずに求め、また他者が必要とするものをできる限り満たす努力をする。
こういった地道な関係性づくりが、今期の自分を生かし、今後の未来づくりにつながっていくことになるだろう。
2021年の秋分のはじまりはそんなことを意識しながら動き出してみてもらいたい。
この後、10/11には土星が、10/18には木星が、そして10/19に水星は順行となる。9/30には東京でも緊急事態宣言が解除になるということもあり、手探りで進んでいた感のあった社会全体が前向きに動き始めることになるだろう。
11月くらいには、少し環境が整っているといい。またこれからの流れも把握できているといい。そして何より積極的に他者と手を組み、次の春分まで、より楽により豊かになる生き方を模索できているといい。
人材を財産にできれば、とてもいい未来が築けるはずだ。