蟹座の季節によせてーロバート・マンチ『ラブ・ユー・フォーエバー』

※2017年の投稿を再編集したものです。

 

うさ子です。

今月は、ロバート・マンチという作家さんの作品、「ラブ・ユー・フォーエバー」です。

 

物語の始め、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこしてお母さんが歌います。

 

♪~ アイ・ラヴ・ユーいつまでも
アイ・ラヴ・ユーどんなときも
わたしがいきているかぎり
あなたは ずっと わたしのあかちゃん ♪

 

やがて、赤ちゃんはどんどん大きくなり、2歳になります。
家じゅうを走り回り、本棚の本を引っ張り出し、冷蔵庫の中の物を全部だしてしまいます。そして、お母さんの時計をトイレに流してしまいます。お母さんは叫びます。「この子のせいで、気が狂いそうだわ!」

でも、夜になり2歳のぼうやが寝静まると、そうっと、ぼうやを抱っこして、あの歌を歌うのです。

 

ぼうやはどんどん大きくなります。9歳の男の子になり、やがて、ティーンエイジャーの少年に成長していきます。少年のやんちゃぶりに振り回されるお母さんは時々「こんな子、動物園にでも売っちゃいたいわ!」と思うのです。それでも、夜になると、大きな、大きなその子どもを抱っこして、あの歌を歌うのでした。

 

やがて、お母さんは年を取り病気になりました。
もう、歌を歌う事もできなくなりました。

すると、今度は大人になった息子がお母さんを抱きしめて歌うのでした。

 

♪~ アイ・ラヴ・ユーいつまでも
アイ・ラヴ・ユーどんなときも
ぼくが いきているかぎり
あなたは ずっと ぼくのおかあさん ♪

 

この作品は、アメリカの超ベストセラーだそうです。
読み聞かせ本としても人気があり、大型の紙芝居にして、歌の部分にメロディーをつけて、イベントで発表している方々もいます。

私も、小学校の四年生のクラスで読み聞かせをしました。当時は、「なんていい本だろう!(ウルウル…)お母さんがどれだけ深く子どもを愛しているか、その気持ちを見事に代弁してくれているような絵本だわ」と思ったものです。

 

でも、今はだいぶ違った観点で見るようになりました。
作品の中で、隣町に住む息子のところに母親が車で出掛けて行き、寝室の窓を開け、寝ている息子を抱っこして歌を歌うシーンがあるのですけど、たぶん、本当にこんなことがあったら、息子は音信不通、行方不明になるでしょうね。

年齢的に女性ホルモンが激減したせいなのかもしれませんが…この作品に描かれるような蟹座の月、母性、親子の絆を、正直なんだか重いなと感じることも多くなりました。そもそも、蟹座の聖域というのはそういうものなのでしょうか? 閉ざされた世界の息苦しさとでもいうのかな…

 

それにしても、親の愛情が重いなどと、ひと昔前は公言できませんでしたよね。
昔、「最近やっとこの子を愛しいなと思えるようになってきたのよ」と3歳のお嬢さんを持つ知人の女性が言っていました。そのお腹には第二子が宿っていましたっけ。そうです。子どもを産んだだけでは「愛しい」という思いが溢れてくるわけではないのも事実なのです。

 

そしてもう、私自身は子どもを擁護し守る立場というよりも、擁護される立場にむかっているのだし…

 

先日、家族旅行の旅先で、ホテルのロビーに走って向かうとき、夫はだいぶ先に走っていくのに、息子は遅れがちな私の顔色を見ながら、時折リュックを背負った背中を押してくれたりしながら、最後まで伴走してくれていました。
大人になったんだなぁ…しみじみねぇ…

 

♪~アイ・ラヴ・ユーいつまでも
アイ・ラヴ・ユーどんなときも
もう、赤ちゃんではないけれど ♪

 

蟹座の聖域はいつでも安心して帰って来れる場所にしておきたいな!
なんだか、とても、感傷的な内容になりましたが、蟹座の季節ということでどうかお許しを。

それから、この本はとてもいい本です!
不変の愛が語られているのだと思います。

 

以上、うさ子でした。