さまざまな占星家が心理占星術を探求し、理解を深めるヒントを与えてくれています。
きょうは心理占星家のグレン・ペリー氏の考え方からヒントをもらいましょう。彼は占星術のシンボルを利用し、物事を考えていく過程をできるだけ言語に結びつけながら丁寧に組み立てていきます。彼の著書「An Introduction to Psychological Astrology」には、シンボルの一つ一つやそれらを組み合わせる過程をいろいろな言葉のフレーズを創りながら、さまざまなイメージが可能な様子の理解を深めていきます。
最近、ペリー氏の「指図しないカウンセリング」に関する記事をあらためて読み、心理占星術の効果的なアプローチを考える重要なポイントを再確認しました。心理カウンセリングを学ぶとき、最初に出会うのがカール・ロジャースの「来談者中心主義」という概念です。昔まだカウンセリングについてよく理解されていなかった頃に行われていた、例えば、「あなたは**な特徴があるから、仕事Aには向いていない。Bをやった方がよい」などというアドバイスの持つ個性表現を抑制する効果を反省したのです。ともすると占星術カウンセリングも同じような欠点にはまってしまいやすいのかもしれませんね。
ペリー氏は、そのような欠点に陥ることなく「指図しない」カウンセリングを進めるために、占星術に関して次の5つの原理を前提としてしっかり意識するとよいと勧めます。これについて考察を深めてみましょう。
1.クライアントの言動や体験は必ずホロスコープに反映される。
2.ホロスコープ内のどんな領域においても多様な表現や結果が存在し得る。
3.クライアントはホロスコープの可能性をさまざまな実現レベルで表現する。
4.ホロスコープに表示される葛藤は、初期には、
a)選択肢の制限をもたらし、
b)不満な結果をもたらす傾向がある。
5.クライアントが成長・進化し、ホロスコープの可能性をより高い統合性のもとに表現するようになると、
a)選択の幅が広がり、個人の力を発揮している感覚を持ち、
b)ホロスコープの影響の表出は本人に満足をもたらす傾向がある。
1は、言い換えれば、ホロスコープの持ち主の体験は、ホロスコープ上の象徴の原理を何らかのかたちで体現している。つまり、すでに「当たっている」と前提するわけです。そして、クライアントの体験がどんなふうにホロスコープに当てはまっているか、意識化していくことがポイントです。
しかし、同時に、2のように、象徴の表現には無限の可能性があり、体験とは異なる別の可能性もあります。ということは、「実際の体験>象徴」は必ず当てはまりますが、「象徴から考えられる特定の可能性>体験」はいつも当てはまるとは言えないわけです。何かを「言い当てる」(未来も含め)という占いにありがちな特徴は、このような象徴の特性に逆らった「無理した」利用法とも考えられます。象徴の特性をうまく利用しながら効果的に役立てる方法を意識してもよいのではないでしょうか。
そして、考えは人生の多様性や成長という側面の考慮へと移ります。
3のポイントは、ノエル・ティル氏も同じ「レベル」という言葉を使って表現しますが、次元や分野というニュアンスで考えるとよいと私は思います。同じ「リーダーシップの発揮」というテーマでも、クラスのリーダー、個人企業のリーダー、国のリーダーなど、表現の範囲や方向性に違いがあるということです。その人の人生の活動範囲の中でホロスコープ全体がどう機能しているのかという視点で理解を深めることが重要なのでしょう。そして、それらは変化・成長していく可能性があるということも。
さらに、4や5はホロスコープ全体や特定の配置について「成長過程を想定する」ということです。これは、人間にとって成長するということがどういうことかという哲学に関連する部分ですが、グレンペリー氏は初期には葛藤は不満につながりやすいが成長し全体の統合的な表現ができるようになっていくと満足をもたらしやすいという成長イメージを意識しています。コンサルテーションの中では、このような成長の可能性のイメージについてよく話し合い共有していくことが最も重要になるはずです。
前回の記事で考察した「ホ・オポノポノ」は、このような成長過程を「ウニヒピリの記憶をクリーニングしながら、いつでも自然にブループリントを表現できるようになる」というアプローチで進めるものでした。また、象徴を使いながら行動や感情の動きのパターンを自覚し、さらにさまざまな象徴の可能性を利用しながら別の角度から理解を深めたり「リフレーミング」をすることもできるでしょう。
このような原理や哲学をクライアントと共有しながら具体的な話を進めることは、カウンセリング全体の効果を高める上でとても重要ではないでしょうか。
ぜひ、みなさんもこれらのポイントについてじっくり考えてみてください。