春分の日から一ヶ月間は、太陽が牡羊座にあります。
牡羊座といえば開幕スタートダッシュ、焼肉では狙った肉は確実に獲る、そもそも肉が焼けるのを待っていられない――というイメージです。
つまり、牡羊座は肉を十分に加熱せずに食べそうな星座ナンバー1なのです。
肉の加熱が不十分だと、なにが問題なのか。
ご存知のとおり、食中毒になります。
豚肉の生食は、E型肝炎になる危険性があります。鶏肉が原因の食中毒の発生報告は、探せばいくらでも出てきます。
牛肉は「基本的には表面をちゃんと焼けば大丈夫」ですが、ぜったいに安全というわけでもありません。抵抗力の弱いひとが生の部分を食べたり、肉の状況が悪かったりすると、やっぱり食中毒になります。
それでも、豚肉や鶏肉は「生で食べたらダメ!」と昔から言われているので、ご存知の方も多いはずです。
なので、一番ヤバイのは、最近流行りのジビエの生食ではないでしょうか。こちらは、生食によるリスクがほとんど知られていません。
ジビエは野生の鳥獣の肉です。つまり、生きているときの衛生管理はされていないのです。
「新鮮だから大丈夫」という説もあるかと思います。でも、いくら新鮮でも、E型肝炎のウィルスがいるときはいるし、寄生虫も鮮度に関係なくついています。
そんなわけで、芯の部分が赤い(=生)のとんかつを「レア♪」と称しているのを見かけると、「馬鹿じゃねーの?」と思ってしまいます。
たとえ「無菌豚だから大丈夫」と説明があっても、たぶん大丈夫ではないです。
Googleを駆使しても、食用の無菌豚について資料がぜんぜん出てきません。つまるところ、食用無菌豚は幻の存在のようです。
また、「SPF豚(特定の病気の存在しない豚)」を「無菌豚」と呼んだりすることがあるようですが、SPF豚は無菌豚ではありません。「SPF豚肉も加熱調理は必要」と日本SPF豚協会も明言していました。
とはいえ、私も心に牡羊座を飼っているので、豚ステーキを焼いたとき、中心部が少々生でも「早く食べたい!もうこのままでいいかな!?」となることもあります。
お肉をフライパンやオーブンに戻すのがめんどくさい。どうせなに食べても食中毒になるときはなるし、死ぬときは死ぬ。そう思うときもたしかにあります。
でも、固形状の豚脂がちょっと苦手なので、最終的にはちゃんと焼きなおしてから食べています。
牡羊座はものごとのはじまりのサインです。
牡羊座の時点で食中毒になってしまったら悲しいので、肉は中心部まで火が通るよう、しっかり加熱しましょう。
また、加熱前の肉に触れた調理器具や食器は、加熱後は使わないようにしてください。器具や食器を介して、元気な食中毒菌が加熱後の肉についてしまいます。
そして、ここまで読んでくださった気長な牡羊座のひとは、果たして存在するのでしょうか。