心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。
2023年蠍座期は、おさらい編。3ハウス強調のチャートから、太陽、水星が入室するハウスに未来の可能性という新たな象徴解釈を見出しました。
カバー画像:キャロル・サマーズ「日暮れ(部分)」1974年(Carol Summers/ Nightfall)
これを書いている今は、2023年11月23日。既に太陽は射手座に移動しているが、蠍座期のテキストを今頃になって手掛けている。もうこの
際、すっ飛ばして射手座期を書きはじめればいいのだけれど、せっかくなので簡単にトランジットのおさらいをしてみようと思う。
こちらが2023年蠍座期のイングレスチャートである。
さて、ここからどのようなことを読み解いていこうか。
イングレスチャートとは、まずはASCのサインから読むものと相場が決まっている。ASCのサインは乙女座。ここからこの時期は、乙女座的なテーマが個人/企業/国にとって重要な意味になるということ、乙女座的な力を身につけることが生き残りにとって大事になってくることが示唆されている。
乙女座の主な構成要素は、地エレメント、柔軟サイン、水星、6ハウス。ここから考えるにあたり、自分の持っているもの=「I have」をしっかり理解することから始める必要があるというのがまずひとつ。理想論やら希望的観測、ハッタリやらではなく、実質的に自分たちの現状、自分たちが手にしているもの、そしてその課題を把握すること、それができないと未来の国づくりも他国との交渉もあったものではないということである。
岸田政権は、蠍座期に最低支持率を更新した。物価高が続く中、所得減税を打ち出したが、防衛力強化、少子化対策の財源確保が置き去りのため、「解散目当て」「増税隠し」といった批判が相次いだ。解散見送りにより、「衆院解散カード」による党内の求心力維持も叶わなくなり、減税のために新たな借金に頼る矛盾が露呈した。
耳を疑ったのは政務三役の不祥事だ。特に副財務相の固定資産税の滞納とは、9月の内閣改造で「適材適所」とうたわれたはずの省庁幹部の不祥事とあっては、政権の人事能力を疑う。
と、思い出す限り書いては見たけれど、なるほど、理想や希望が剥がれ落ち、現実が露呈していく様子がよくわかる。前月9月には第2次岸田第2次改造内閣が発足し、経済対策の会見を行った。そして蠍座期に入って早々、所信表明演説で増税イメージを払拭しようと躍起になり、そして今に至るということだ。
天秤座期で意気揚々と走り始めてみたものの、蠍座期でつまずいてしまった。つまり、問題を抱えたままでは天秤座期、蠍座期は無傷ではいられないということか。
それが、ASC乙女座、また蠍座太陽期といった陰サインの成せる業なのか。
内閣改造も失敗に終わった。経済、経済、経済と連呼し、「供給力の強化」と「国民への還元」宣言したが、物価高の負担はいまだ大きくのしかかってくる。
では、強調された3ハウスはどのような意味になるのだろう。ASC=1ハウス、またMC=10ハウスの支配星である水星もここに入室しているのがわかる。
3ハウスは乗り物を象徴するハウスだ。そこで、蠍座期で新たな議論が持ち上がってきたのはそのままズバリ、「ライドシェア」ということになるだろうか。
過疎地などのタクシー不足対策として導入が検討されているライドシェアは、未来の可能性として検討の余地があると言える。次期首相候補の一人としてささやかれる小泉進次郎元環境大臣が中心となって勉強会を行うということだし、大阪万博の成功の秘策を握るとも言われているし、明るい話題の一つとなっているのは間違いない。
しかし、ライドシェアを最初から予測できたかどうか。でも、3ハウスの太陽、水星、火星の象徴の理解を一歩進めることができた。
または3ハウスは物流の部屋でもあるので、物流業界の新しい施策などもこれにあたるだろうか。商品サイズを小さくし配送を効率化する、ドローン配送を事業化する、企業における即日発送の見直しなども次々と始まっている。
そこから、太陽、水星が入室するハウスは、未来の可能性の示唆と読むことができるということだ。
ということで、おさらいはこの辺で。
では、ここから射手座期へとどうつなげていくか。さっそく射手座期を見てみよう。