nicoの星宙予報2018 射手座

星宙予報 2018年射手座期

 

 11/8(木)、木星が射手座に回帰した。占星術的には、これはとてもめでたいことだと騒がれている。

 12年に一度の大幸運期。

 棚ぼたの幸せが手に入る。

 引き寄せの術で幸せになろう。

 そんな言葉が女性誌やウェブサイトに並んでいるかもしれない。

 

 もちろん星の運行を体験している人たちは、これらが子供だましのフレーズであることも、消費者心理をあおるキャッチコピーであることも知っている。

 

 天体は生き物である。長所も短所もある。良いときも悪いときもある。

 ましてや、射手座は陽の力を必要とする火エレメント最後のサインだ。

 自分の力で世界を切り開き(牡羊座)、強い目的意識を持つものだけが(獅子座)、もう一段高い視野を、広い世界を見渡せる眼を手に入れる。これが火エレメントの直観=叡智となる。

 

 または、社会天体と言われている木星、土星が本来の場所、それぞれの支配星に戻ったということは何を意味しているのだろうか。

 これはつまり、たとえばそれぞれの国が、本気で自分たちの国のあるべき姿に意識を向けるときがきたということになる。

 射手座から山羊座への移行とは、つまり構造化される前の議論をどれだけ活発にできるのか、それを一年かけてやっていくということになるだろう。

 

 例えば、これを書いている最中にも、ロシアとの北方領土の問題、平安条約交渉の問題が取りざたされている。安倍内閣が進めてきた安保理や憲法改正問題など、これまでうやむやにしてきた諸問題に対し、射手座木星期に未来を見据えた議論をどれだけ行えるか、この一年は、日本のこれからを考える上での正念場になることだろう。

 イギリスでも、EUを離脱する来年3月29日が刻一刻と迫る今、メイ大統領の「合意なき離脱も離脱そのものを断念する可能性もある」という発言の中、主要閣僚が辞任するなどの混乱に陥っている。

 中間選挙を終えたアメリカでは市場の動揺が頻発する中、トランプ政権の“中国封じ込め”作戦や、移民対策をめぐる強硬姿勢など、先の見えない動きが国民をモヤモヤさせている。

 

 蠍座木星の段階で、諸問題が浮き彫りになった。そして今、木星が射手座へと移行し、私たちは、本気でそれらの問題に向けて、解決を急ぐ段階へと歩みを進めることになるわけだ。

 

 これは国だけの問題ではない。企業も、そして個人も、明るみにさらされた問題に対し、もう目を背けることができなくなったということになる。

 やるべきことは明確になった。ここから先、「のるかそるか」、問題を解決するのか逃げ出すのかは、本人の意識にかかっている。

 けれど、未来を生きたいのなら、乗り越えなければならない山がある。

 射手座期は、その山を越えるだけの意思と信念と、そしてそのための筋力(射手座の象徴)を試すときとなるだろう。

 

 木星が射手座に入り、もう感じた人もいるかもしれないが、射手座期には、必ず「こうなりたい」「こうあるべき」という未来のビジョンがやってくるはずだ。自分がそれを否定しない限り、または自分のものではない夢を見続けない限りは、進むべき方向に光が差すかのような、そんなインスピレーションがやってくるはずだ。

 

 そのインスピレーションは、根拠なきものでは決してない。

 先ほど書いたように、ここまで、ある目標に向かって真剣に進んできたものに対する報酬――もう一段高い視野を、広い世界を見渡せる眼、火エレメントの直観=叡智から得られる未来ビジョンというものである。

 

 もし、ビジョンが得られなかったとしたら、もう一度、関係性の中に意識を向けてみることが必要かもしれない。

 春分から始まり冬至で終わるこの一年の流れは、対人関係からもたらされる恩恵、対人関係の中で解決すべきテーマというのが事あるごとに示されていた。

 

 頼り過ぎていた関係には適度な距離や自立の力を、個人の力が無力であると感じるなら、協力関係やコラボレーションでさらなる力の充実を図ってみることを、今一度やってみるといい。

 自分にはどのような力が足りないのか。

 自給できる力とはどのようなものか。

 どのような力を借りることができれば、もっと豊かであると感じることができるのか。

 

 自分の「力」の感覚がわかっていない人には、ここから先、「社会」の中での飛躍は望めない。もう一度、蠍座に戻って、自分自身に本当に必要なものを見極めることが必要になる。

 射手座の木星がどうした、山羊座の土星がどうした言う前に、「あるもの」「ないもの」を見極め、人や環境と必要な交渉をしていくことだ。誰かの力を思いっきり頼ってもいい。目的があり、夢があり、ロマンがあるなら、未来へと歩みを進めていくことの方が重要なのだ。恥ずかしがらず、人からのサポートを求めること。

 

 それほど求めるものがないのだとしたら、今期は自分を支える「手」を育てること、つまり水星力を磨くこと――知性や技術力を磨くことに精を出すことだ。

 射手座に木星が運行している間に、必ずチャンスが来る。

 その時、自分の意思や存在とともに差し出せるネタ=武器があれば、必ず、運気の波に乗れるだろう。

 

 つまり、今期の射手座は、人と技術を育てる期間にすることだ。

 それが自分と運命と環境を最大に生かすコツとなるだろう。