nicoの星宙予報2019 乙女座

 夏至図の影響が続く中、ふたを開けてみれば2019年の獅子座期も、至るところで対立の図式が見え隠れしていた。

 どちらが体制側なのか反体制側なのか、どちらが正義なのか悪なのか、立場や見方が変われば、どちらの側にも生きるための正当な主張があるようなないような、忖度があるようなないような。

 マスコミは休む暇なく不安をあおる報道を続け、人は悪者探しを楽しみ、多くの人は正しさから外れないように気を遣いながら生き、こんなんじゃ人生ちっとも楽しくないなとしみじみ思った獅子座期。

 それなら我が道を行こうじゃないか、どの正義でもない、自分自身が信じた道を行こうじゃないか。正しかろうが間違ってようがもういいや。暑い毎日、そんな自棄さえ起こしそうな夏の日々だった。

 

 とりわけ、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」の中止問題が個人的に気になっていた。少女像展示以前の問題として、不自由展実行委が会田誠氏の「檄」を拒絶した理由を発表していないこと、津田大介氏の蠍座的姿勢にモヤモヤしたこと。政治以外にも圧力というのはいろいろある。むしろしがらみの圧力というのは政治的以上に面倒なものなのだろうと、獅子座期から始まる「関係性のパースペクティブ」が獅子座期までにどう着地していくのか、今こそ、自分の主張すべき姿勢を正しておかないと、後々、もっとややこしくしがらんでいくのだろうなあと、つくづく思ったりもした。

 

 そんな会田氏の作品「檄」にはこんなフレーズがある。

 

 道徳の時間まったくいらない。役人風情が無限の可能性を持った人の心に介入すんな。大学から哲学を追い出すどころか中学から道徳追いだし哲学教えろ。

 

 今、天空上に配置されている射手座・木星―魚座・海王星のパワフルなあおりが「善」や「正しさ」の押し売りになってしまっているとしたら、たしかに道徳なんて教える必要なんてまったくない。

 これまた流行りでもあるのであまり強調したくないが、道徳や善を教えるなら、自分の頭で考え、自分で修正し、自分で新たに生みなおしていく、そんな哲学やアートを真剣にやれればいいのにと本当に思う。

 でも、まあ射手座・木星的教育が哲学ではなく道徳のほうに向いているのだとしたら、それはもちろん向かい側の補完サインである双子座・水星の力が弱体化しているせい(それかもともと弱い)に他ならない。

 道徳や善から遠く離れ、何が正しいか間違っているかではなく、自分は環境の中でどう考えたか、社会の影響ではなく、自分がどのような意見を持っているのか、そこを育てられなかったことに原因があるように思える。

 

 

 今回はこの二つのチャートを用意してみた。

 まず、いつもの太陽イングレスチャートと、そして今回はあまりにも強烈なので出さずにはいられなかった乙女座新月チャート。

 皆さん、すぐ気づくと思うのが乙女座=6ハウスの強調。これはなかなかオモシロイ。

 この2つのチャートにはもう一つ共通項がある。それが「風エレメント」の欠如、また柔軟サインの乙女座―射手座―魚座を支える最初の基本サイン・双子座の要素もかけているということだ。

 柔軟サインは、ただでさえ目の前の環境に流されやすい傾向を持っているのに、客観的視点を持ち込む双子座=風エレメントが欠落しているとあれば、それは社会のムードにやみくもに揺れてしまうのは当然である。

 

 マンデン占星術(社会占星術)では、6ハウス―12ハウスを「国防」「安保」のテーマとして読むことがある。77ハウスで外交に向かう前に6ハウスで自分自身を守るためにスキルを身につけるというイメージ、または個人を読むときは健康管理などと読むのと同じイメージだ。

 私のいつものホロスコープの構造の説明(先日、火星乙女座期ワークショップでお話ししたとおり)では、牡羊座―牡牛座、獅子座―乙女座といった火―地エレメントの補完の土台をしっかり作ることによって、天秤座以降の社会の領域で他者に揺さぶられにくくなると伝えているが、つまり獅子座―乙女座期でどれだけ「強い個人/国」を作るかが決まるということだ。

 

 上記の2つのチャートが示しているとおり、これらのチャートは、まさにこれからいよいよ地平線に上がっていくための準備をしている、準備が必要であると私たちをうながしているように見える天体配置となっている。

 そうであれば、この時期は集中して「国防」「安保」の意識をつくっていく必要がある。そのためには、今、目の前の環境で何が起きているかを冷静に見極め、分析し、判断する、まさに水星力が必要となる。

 不買運動でインバウンド景気が落ち込んでいるのだとしたら、それを嘆く前に、生き残るためのどんな工夫ができるのか、自分にできることで手を打つことが必要になるかもしれない。

 

 仕事がうまくいかない、

 対人関係がうまくいかない、

 社会情勢は相変わらず不安だ、

 10月には消費税が上がる…

 

 天秤座以降の荒れ模様の時期に入る前に、迫りくる不安に対し、自分のできる範囲で目の前の「今」をできる限り改善しておくこと。

 

 射手座―魚座のネガティブな表現——「夢のように」物事が解決することはないかわりに、自分の努力した分だけの結果は実感できる、それが乙女座期のよいところだ。

 

 手短かなところからスモールステップを踏んで調整すること。

 自信を持って地平線を上るための努力を小さなところから始めてみること。

 スキルアップなのか、健康のための努力なのか、現状維持ではなく、少しでもより良く成長するためのステップを小さく踏み続けていくこと。

 

 泣いても笑っても、一つのサインは30日しかない。本当にあっという間だ。この、あっという間の繰り返しが人生をつくっている。

 この強烈な2つのチャートを眺め、6ハウスから7ハウスの地平線をどのような自分として超えていきたいのかをイメージし、それに見合う努力を少しだけやってみる。

 今期の乙女座は、そんなことをイメージして過ごしてみてほしい。

 

 ちなみに乙女座期は、景気が今一つ上がらない印象。増税前の駆け込み需要も望めず、消費は冷え込み、またどの企業もあまり好機をつくれないようだ。むしろ、増税後の景気の落ち込みに備えて守りに入っているのかもしれない。

 こういったときに、未来に勝負を賭けられる人/企業は強い。地のグランドトラインであまり自己の世界を閉じないよう、少しでも成長につながる材料を見つけ、育てていくことも必要になる。