nicoの星宙予報2020 牡牛座~星宙を利用しよう

 光の美しい季節。本来であれば、山を歩き、芝生を転がり、自然のにおいを吸い込み、全身で生きる喜びを味わいたいところだが、今年はなかなかそうもいかない。そんな年もある。こういう時は諦めが肝心だ。

 各人、各家庭、各企業、さまざまなコロナ対策やステイホーム対策が進んでいる真っ只中、もしかしたら良くも悪くも噴き出してきた「ダメな自分」と向き合うことになっている人もいるかもしれない。

 

 だらだらと時間を過ごしてしまう。

 ストレス発散がうまくできず太ってしまった。

 イライラを家族にぶつけてしまう。

 情報ばかりを追いかけてしまう。

 ステイホームできずに、ちょっとした用事でも外に出ようとしてしまう。

 

 それとは反対に、ダメだった自分を克服しようと奮闘しようとしている人もいるだろう。

 

 自炊を始めた。

 運動を始めた。

 家族に対し、思いやりの言葉をかけるようになった。

 時間つぶしのための趣味を見つけた。

 めんどうなことは断るようになった。

 

 得意な筋力=射手座・木星ではなく、苦手な筋力をつけること。これが、エッセンシャルディグニティがフォール(マイナス4点)である山羊座・木星の一つの特徴――経済成長の頭打ちというテーマだけではなく――だと考えらえる。

 

 新しい体験とは、なんと自己発見につながることだろう。

 利き手、利き足だけではなく、苦手な部位にもしっかり筋肉をつけ、身体の偏りをなくすこと。慣れない筋肉をしっかり動かし、これから必要な基礎体力を身につけること。これらは、この先を生き抜く上で大事な力になるはずだ。

 

 ということで、まず牡牛座期の最初のテーマに、苦手意識を感じているものの確認と、その克服にトライするというのをやってもらいたい。

 

 緊急事態宣言下では、誰もがまず得意なものから着手しているはずだ。

 人とコミュニケーションをとるのが好きな人は、真っ先にZOOM飲み会を開催しているだろう。一人遊びが好きな人はより引きこもり、料理好きは料理で気晴らしをし、運動好きな人は運動に燃える。

 好きなことを好きだけやるというのは、ストレス発散には大いに役に立つが、せっかくだから、山羊座の重要な意味である「劣等感」というものにも向き合ってみるのは悪くない。

 

 「劣等感」というのは、ユニークな心理状態である。読んで字のごとく、自分が人より劣っているという感覚、自分に価値がないという感覚であるが、自分がより憧れる能力、求める能力に対し、より劣等感を覚えるという特徴がある。

 そこで、この際、何に憧れているのか、どんな価値を身につけていきたいのか、どんな筋力をつけるとそれが可能なのかについて、じっくり考えてみるには悪くない時期である。

 というよりも、むしろ「今こそ」なのかもしれない。劣等感を言い訳にし続けるのではなく、そろそろ本気で取り組んでみる時期、諦めていた自分にとことん向き合ってみる時期なのではないだろうか。

 もたもたぐずぐずしている、調子が上がらない、つまらない、疲れやすい、こういった毎日から、そろそろ開放されてもいい。

 

 天体配置を見てみよう。

 まず、5/11から、山羊座の支配星である土星が逆行を開始する。そのあと、5/13から、自己価値のテーマを支配している金星が逆行を開始、そして5/15から山羊座・木星が逆行を開始する。

 つまり、私たちは嫌でも一見苦手なもの、けれど裏を返せば、やらなくてはならないとわかっていたこと、やりきったらどんなに気分がいいだろうと思っていたことに取り組み始める時期に入るということになる。

 そして、まさにここで得た力、その努力こそが、未来の礎になるということだ。

 

 これが牡牛座期イングレスチャートである。

 今期のテーマを示すASCは山羊座。天体は北半球に沈み、まさに「ステイホーム」といった配置になっている。特に1、2、3ハウスという基軸の確認作業というのがテーマであることがわかるだろう。新しい動きを作っていくというより、まずは手探りでどう進んでいけば、個人/企業/国が安定維持されるのか、そのためにどのような苦手意識に着手すればいいのか、それを考える時期なのだ。

 今期の牡牛座期のチャートに示されたもう一つの特徴は、3ハウスと9ハウス。まさにコミュニケーションや交流、流通といった動きや流れをつくる場所がインターセプトになっているということ。外の世界から隔絶された時期であることがわかる。そこに水星も入室しており、なかなか息苦しさは続く印象だ。

 

 こうなると本気で成熟した感性――山羊座、水瓶座、魚座――が必要となる。つまり、目前の欲求ではなく、未来のための行動である。

 全体のための役割に徹することができること。半年後、一年後の未来を想像できること。人の痛みや不安を理解できること。堪えること。諦めること。そのうえで、未来のための行動ができること。これらは、最後の3サインの成熟した表現となっている。

 

 とにかく、このチャートを見る限り、または次の双子座期のチャートを見るにつけ、ステイホームの状況は続く。ただし、双子座期は少し外向きの動きが出てくることから、この牡牛座期は、上記に書いたようなネガティブな筋肉をつけるのにちょうどいいと言えるだろう。

 短所も使いようによっては、また鍛えようによっては一生の優越機能になっていく。これはアドラー心理学の考えでもある。

 

 陰サイン牡牛座期は、自分の存在を「良きもの」と実感できる最良の時である。

 そのためには、牡牛座期の明るい光を「苦手なもの」にも当て、自分の特徴として育てること。きっとまだ創造、開発すべき能力があるはずだ。

 

 ちなみに、1ハウス在中の冥王星・木星について。

 最近、講座中にも話題にしたが、援助という視点から見ても政府からの給付金はこれにあたると考えられる。賛否はいろいろあるようだが、それぞれの立場に焦点を当てるのではなく、全員にシステマティック配布するという一律10万円給付は社会サイン・山羊座にふさわしいイメージだ。

 山羊座は社会福祉を司るサインだが、そこに冥王星が絡むとどうだろうか。

 多くの思惑が絡むと読むか、それとも弱者救済と読むか。

 逆行が始まる前に給付の決定があるかどうかが、今期の木星の山場となるかもしれない。