前回は、春ならではの気象の特徴として「春霞」や「朧月」と言われていることから、春というのは、ぼんやりとした見通しの悪い季節なのではないかという話をした。おぼろげで見通しが悪く、ぼんやりと不確かなスタートとなる、それが春の常なる特徴なのではないかと。
実際、この一ヶ月は政治、経済、ワクチン接種やまん延防止といったコロナ対策、オリンピック開催の有無、どれをとっても「これから一体どうなるんだろうねー」という漠とした印象ばかりが残った。
漠=全体がよくつかめないさまというのは、やはり牡羊座期の印象にふさわしいのかもしれない。魚座からいきなり切り離され、この世界に放り出されてしまった。右も左もわからない、これからどこへ進んでいくのかもわからない。だからこそ、「私」を感じるため新しい体験へと歩みを進めてゆこうでないかということだ。
さて、これから陰サインの牡牛座期が始まる。陽サインの牡羊座の季節は、そうはいっても火エレメント的な楽観主義、また希望的観測(きっと大丈夫、きっとなんとかなる)が先行し、今までよりも気軽に行動することができた。春がやってきたのだ。桜も見たい、会食もしたい、新しい人や風景に出会いたい。だからこそ、陰サイン・牡牛座期はその結果を引き受け、反省、調整をし、安全のための環境を整えていくことになる。
陽サインで行動が活発になること、意識が活性化することは必要なことだ。動いてみないことには問題が見えてこないことも往々にしてある。問題や課題を一度顕在化し、そこで今、できうる限りの対策を練る、それが陰サインの季節にやるべきことである。
また陰サインの時期は、全体的に防衛的姿勢が優勢になる。牡牛座は地エレメント・不動サインである。内的充実のため、外側の動きが止まるのだ。
牡牛座期に入り、まずは今、解決すべき課題と向き合うといい。
将来につながる能力や資質の実感、リソースの確保、安全の確保はできているだろうか、回収しておくべきものがあれば、そこにも着手しておくといい。今の仕事、活動、環境はこれからの未来の安全にどう結びついていくのだろうか、サポートしてくれる環境はあるのか、金銭的問題はどうか、頼れる人とのつながりはどうか、それを自分で生み出すこと、育むことができるだろうか、それができない場合は、どう動きをつくると不安なく未来を生きられるだろうか、といったことを考えることが重要になるだろう。
こちらが2021年牡牛座期のイングレスチャートである。
ASC側、東の日の出側の半球にほとんどの天体が入室している。
DSC=7ハウス側に多く天体が配置されている場合、外側に意識が開かれていると読むことができるとしたら、東半球が強調されたこのチャートは、いわゆる防衛的な閉じた印象を与える。いったん動きを止め、外の影響を遮断し安全策を図る、そんな感じだろうか。
ここで気になるのは、軸上に天王星、冥王星が配置されていることだろう。二転三転する方針、右往左往しながらなかなか進むべき道が定まらない様子が見えている。そのせいでこの時期は、企業、店舗、教育現場、レジャー施設もろもろ、そして個人の生活も様々なかたちで方向転換を余儀なくされることも考えられる。
また、冥王星が7ハウスを支配、天王星は11ハウスを支配していることから、外交のテーマ——日米同盟の強化されたのだろうか? 米中国の対立姿勢は今後、どう日本に影響を与えるのだろうか——に焦点が当たると予想できるかもしれない。アメリカにはアメリカの思惑もあり、中国には中国の思惑がある。その狭間にいるからこそ、牡牛座のタイミングで日本独自の生き残りの力(ASC・牡牛座・金星)を強く実感できるよう、また外交で少しでも優位に立てるだけの存在の価値を何とか手にしたいところである。
実際、コロナ対策も失敗、ワクチン開発、ワクチン外交も完全に敗北し、日本の半導体IC市場のシェアも6%まで低下、一体、何で勝てるのかもはや不安になるが、このチャートで判断する限り、牡牛座・金星、蟹座・月が支配しているハウスなり、テーマなりが有効なのではないかと考えられる。
そこで、まずは3ハウスの教育、6ハウスの医療、農業このあたりの再生を考えてみるといいかもしれない。教育はITの分野でかなり遅れを取っているが、これからの未来を支える人材を育てる価値づくりとして3ハウスのテーマに期待したいし、ワクチン開発は失敗したが、日本の医療制度、またこれからの農業の分野にも期待したい。3ハウス、6ハウスといえば水星、つまりかつて日本が世界に誇っていたもの——細やかな技術力の再生となるだろうか。
企業や個人も3ハウス、6ハウスのテーマで自分のリソースの見直しをしてみたい。
自分の能力の使い道、これからの未来に通用する知識や技術の磨き直し、アイデアを試し、また試し、修正する。
まだ牡牛座期だから、自分を知るための活動に集中し、生き残るための力をつければいい。
今、身につけた、または実感した自分なりの“力”は、秋分以降(9/23~)、より充実した“力”として自分を支えてくれることだろう。何といってもこの時期は、五か月に及ぶ木星、土星の逆行が順行になり、その後、水瓶座・木星は一気に魚座へと向かうことになる。“力”をつけていれば、天体たちの流れにうまく乗れるはずだ。
いずれにしても、まずは牡羊座期のアクションによりたどり着いた課題や修正点を改善し、または荒唐無稽のように思われるようなインスピレーションや無責任なアイデアを無下に捨て去らず、丁寧に練り直し、未来の価値づくりのために役立ててみること。
このような時代だからこそ、できることと言えば、自分としっかり手を組み生かせるものは十分に生かすしかない。それが思わぬ形で、長きにわたり自分を支えてくれる価値になったりするかもしれないのだから。
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