nicoの星宙予報 2021 蟹座

 オリンピック開催か否かの議論の真っただ中、2021年の太陽蟹座期がスタートする。開会式を一ヶ月後に控え、専門家はもとより、国民もようやく本気の議論に挑む姿勢を見せ始めた。

 

 遅すぎるかもしれない。けれど仕方ない。長らく私たちは幻想の中にいたのだ。戦後のねじれ――憲法の手にされ方とその内容の矛盾。私たちはこれらを「押しつけられ」、その後、この価値観は否定できない、と感じるようになってしまった――が解消されないまま、私たちは説得され続け、なんとなくの平和ボケの中にとどまり続けてきた。であれば、今こそ、日本のあるべき姿を取り戻すべく、説得され続けた過去から解放され、主体性を取り戻すときではないか?

 

 一年を通してみたとき、夏至の三ヶ月とは、まさにそのような時期なのだ。

 牡羊座、牡牛座、双子座の春分の三ヶ月は新しい物語の始まりと同時に、「どこへ向かって進んでいるのかわからない不安」「正解もわからず、ただやみくもに過ごしている不安」を感じ続けた期間だった。自粛はどうなる? 酒提供は? ワクチンはどうか? そんな疑問が尽きない期間であっただろう。

 

 そこから物語は、一気に本題へと事が進んでいく。起承転結の「承(起=春分の「この先どうなるのか?」をうけて、その不安の正体を明らかにさせていく)」ということだ。

 夏至は蟹座から始まり、獅子座、乙女座と進んでいく。これらのサインの支配星は月―太陽―水星になる。つまり、夏至の三ヶ月間は、個人/企業/個人のそのものの本質的な在り方、これから向かっていきたい理想の姿を整えていく期間であることがわかるだろう。

 オリンピック開催か否かという議論は、つまり日本は、これからどのような未来へと発展していこうとしているのか、どういう在り方を目指していこうとしているのかをはっきりさせるために必須であるということを意味しているのだ。

 

 2021年の夏至図を見てみよう。

 

 

 まずは、ASCから見てみたい。ASCは天秤座。つまり外向きに意識を開き、自己の存在価値を表立って表現していくことが、個人/企業/国がこれからの未来を生き残るための重要な手段であることがわかるだろう。夏至図の3か月間で日本の存在感をどう見せていくか、その新たな姿勢の打ち出し方が問われるということになる。

 また2020年の夏至チャートがASC蟹座だったことを考えると、今回はオリンピック開催についてかなり積極的にことを進めていくこと、オリンピック開催だけでなく、外交問題も待ったなしで進んでいくことがわかる。

 

 たとえば、先日、イギリスで開かれたG7首脳会談において韓国側が日本側に対して首脳会談の開催を提案し、これを日本側が拒否したことが国際的に話題になっている。まんまと韓国側の計算尽くしの罠にはまり、自ら対話の扉を閉ざし、殻に閉じこもって見えるように国際社会に知らしめる行動を取ってしまった。

 しかし、ASC天秤座の要請を考えると、日本が何をすべきか一目瞭然だ。自らの主張を積極的に発信し、国際社会が見守る中で相手側と堂々と渡り合う、そういった姿勢が急務であることをASCは教えてくれている。

 天秤座の支配星金星がカルミネート(チャートの最も高い位置に配置)していることからも、逃げも隠れもせず、自分たちの在るべき姿を見せ、言うべきことは言うこと。対話は譲歩でも対立でもなく、双方にとってよりよい未来のための通過点であること。双方の立場、価値観の相違をそれぞれに理解し、お互いの主体が満足する議論をすすめていくこと。それが天秤座の重要なテーマとなる。

 つまり、オリンピック開催の議論も同様なのだ。頑なにお互いの立場を一方的にごり押しするのではなく、よりよい未来のために必須なプロセスであることを認識しなければいけないし、どのように考えると日本の未来にとってプラスに働くのか、それを冷静に判断しなければならない。

 

 なぜ、これほどまでに「未来」を意識する必要があるのか。まず、夏至図におけるエッセンシャルディグニティ(天体の性質)の様子があげられる。充実した力をもっている天体がハウスを支配している土星、またハウスをしている水星であるということ。そして、エッセンシャルの力を持った魚座の木星がハウスに、太陽はハウスに入室したうえ、5ーハウスのルーラーはカルミネートしており、火のエレメント(1ー5-9ハウス)の充実をこのチャートから見ることできるのだ。

 ※注:ナチュラルハウスの1ハウス牡羊座、5ハウス獅子座、9ハウス射手座の火のエレメントを指す。

 

 火のエレメントとは、未来をポジティブに描く力、新しいアイデアやビジョンを創造する力、リスクを恐れず、未来に賭ける力、存在の価値を高め環境に見せつけていく力を意味している。しかし、水星、木星、土星は逆行していることから、よい未来をイメージできない不安、自己、他者に対する不信と読むことができる。だからこそ、あえて火エレメント的チャレンジが必要になるだろう。

 なぜなら、火エレメント的行為とは次世代の若者、日本の未来を担う子供たちの道しるべに他ならないのだから。

「かつてこんな素晴らしい未来を築いた大人たちがいた。だから私もそんな未来を生きたい」と思わせるロールモデルが火エレメント的ビジョンである。それは、医療でもいい、テクノロジーでも農業でもいい、私たちは今こそ、失望ではなく何かしらの希望の光を世に放つ必要があるのではないだろうか。

 

 一方、このチャートでもっとも力が弱く、もっとも不安定に働くのがMCを支配している蠍座の月である。

 月は基本的に国民感情と読むことができるが、このチャートではMCのルーラーということで菅内閣そのものとして読むことができるかもしれない。

 蠍座の月はフォール(―4)であり、バイアコンバスタ(焼失の道)、またグランドクロスの一角となっており、伝統占星術においては、いわゆるマレフィック天体である火星、土星によってアフリクテッドしていると読むことができる。つまり菅内閣にとって、オリンピックはやっても地獄、やらなくても地獄という恐ろしい状況に置かれているということになる。

 また、政治的背景やパワーバランスが月=菅内閣に強くプレッシャーを与えているのがわかる。グランドクロスが形成させている配置は、2-5-8-11ハウスという経済効果の部屋で形成されているが、月がハウス(蠍座)に入室し、その支配星である火星はペレグリン(―5)であることから、オリンピック開催による経済効果はまったく見込めないということ、おそらく株価の上昇もたいそうなインバウンドも見込めない。それでもごり押しするのは、どちらにしても地獄である、ということだからだろうか。

 

 最終的に、この月はグランドクロスの中で天王星と度先でタイトなオポジションを形成し、天王星にトランスレーションすることから、開催を見送る判断とも読める。しかし、ハウスの支配星である天王星は20日まで逆行しないことを考えると、週間後に悩み悩みしながらもリスクを取る流れーーつまり国民感情を無視し、無理矢理にでも開催の方向に舵を切り続けるということもあり得るだろう。また、最終結果が蟹座ということで、オリンピック開催中は緊急事態宣言が発令するということも大いに考えられる。

 

 本当はもっと早い段階で、たとえばワクチン開発や革新的なコロナ対策など、オリンピック開催に代わる新しい価値づくりの提案ができたら、国民の心象はもっと違ったものになっただろう。このままだと愚策が続いた結果、誰の得にもならず、またしがらみによるしがらみから抜け出せなくなったと印象づけられる以外に他ないだろう。

 

 いまは、とにかく言葉による合意形成しなかないのだ(=天秤座)。

 そして、やるにしてもやらないにしても、その選択がどう日本の未来の価値へとつながるのかを説明する責任がある。大事なことは、「生き残りをかけて(=ハウス)、未来を育むために(=ハウス)、どんな社会を目指していくか(=9ハウス)」という議論である。

 

 日本はどのような強みとなるカード=材料を使って国際社会で勝負するか?

 では企業ではどうか?個人では?

 わたしたちは、「自分にはこのような価値がある」と堂々と主張し、自ら存在の場を勝ち取れるくらい、自分自身に誇りが持てているだろうか?

 そこまで力強くなくとも、大切なものを守るため、自らが取るべき立場、獲得すべき権利を得るべく闘う姿勢を見せることは、2021年の蟹座期にも共通する重要なマインドとなる。

 それがASCルーラー蟹座金星・カルミネートにも示されている。

 

 次の秋分からの三ヶ月間は、解散総選挙もあるかもしれない。経済的にも大きな動きがありそうで、新開発、新商品が発表されるといった本格的な動きも起こってくるに違いない。

 だからこそ、この夏至の三ヶ月間、つまり9/22までに「どういう未来をつくっていきたいか」というイメージをしっかり持っておくことが課題となるだろう。