nicoの星宙予報 2022 山羊座~未来を生きるための中心点(意欲、精神、魂、核)が問われるいま、何をもって進むか

 「諦めを伴うかたちで」というのが前提となるが、毎年、冬至=山羊座の季節はある種のすがすがしさ、心地よさ、明晰さを私に与えてくれる。うっそうとした山道をひたすらに歩いていたらパッと道が開け、視界の明るさと安堵を手にしたようなそんな面持ちというのだろうか、「ふう、やれやれ。まあなんとかここまでやってこれた」という労いの感覚だろうか。

 占星術的構造から考えた場合、山羊座=土星=10ハウスはホロスコープにおける到達点を示す。社会的事象であれ、個人的事象であれ、山羊座の季節を前に、今、私たちの目の前に広がっている風景とは、春分からの歩みの結果であり、私たちの実力であり、引き受けるべき責任である。これ以上でもこれ以下でもない、これが今の個人企業国の等身大ということ。それが地エレメント・山羊座期のひとつの解釈となる。

 その場所は、最初から目指した場所だったのかと聞かれると、「いや、もっと違った景色を想像していた」「もう少し見晴らしのいい眺望を期待していた」のが、本当のところかもしれない。つまり、思い通りに行かないのが人生だということだ(※この話の詳細は、2022年1月の火星ワークショップ・山羊座期編も参考に)。

 

 

 しかし、個人企業国が何を望んでいたとしても、今、見えている景色が今のわたしであり、わたしたちのすべてなのである。

 ここで「こんなはずではなかった…」と落ち込んでも仕方ない。この現状をそのまま受け取ること。これが冬至=山羊座の重要なふるまいとなる。ここから、ここを立脚点——自分はどこに立っているか——にしないと、この先進んでいけないからだ。

 

 これを社会的事象として考えてみた場合、冬至を前後に次々に飛び込んできたニュース——防衛費拡充、日銀の政策変更、米・ウクライナへの兵器支援、原発政策を正式決定——などを見てみると、これらは春分から続いていた問題に対するひとつの回答であることは間違いないだろう。

 いまだ続くロシアとウクライナの一進一退の攻防戦、それに伴うエネルギー不足問題、円安、物価高問題、外交の緊張関係等々、社会学者の大澤真幸氏が「世界で何が起きているのか、それがよく分からない。今起きていることがなぜ分からないかというと、その背景にある法則や理論が分からない」というような時代の中で、世界各国それぞれの春からの歩みの結果が、このような現状にたどり着いたということになる。

 

 個人的な次元でもおそらく同じ状況にあるのではないだろうか。春分からの流れの中で、諦めや後悔を感じる点はあったとしても、「まあ、今の自分にしたらこんなものだろう」という納得感を持って、今、この場所に立っているのではないだろうか。

 もし、そうではないとしたら、「もう少しやりようがあったかもしれない」「次こそはもう少しいい風景が見られるようになりたい」そのような考えが頭をよぎったなら、2023年の春分までの前の三ヶ月間をどのように過ごすといいのだろうか。

 

 12/20に行った月イチ勉強会・冬至図読みの回では、今回の春分からの流れは、実は秋分から冬至に至るまでの期間で得た実感がとても重要になるという話をした。

 ここに2022年春分からの四季図を並べてみよう。

 

 

 赤丸をつけたところが、四季図読みのヒントになる。その流れを見てみると、射手座(春)→射手座(夏)→蠍座(秋)→射手座(冬)となっているのがわかるだろう。射手座~蠍座というサインは、ホロスコープの構造で考えると変容がテーマとなる第ステージ、MC=山羊座の到達を目指すべく、闘い、傷つき、落ち込み、奮起し、高みを目指すといった流れになっている。

 

 2022年、四季図で繰り返された射手座、そして秋分図での蠍座、この流れは何が大事だったのだろうか。

 秋分図読みを行った月イチ勉強会では、「この時期は、かならず自分の中のネガティブなものと対峙させられる。これが秋分の季節のデフォルトのテーマである」とお話しした。冗談抜きで、実際、毎度毎度、この問題を突き付けられる印象がある。そして2022年の秋分図は、ASCが蠍座(赤丸の箇所に注目)ということもあり、このテーマが増幅された印象がある。

 実際、秋分からの三ヶ月、岸田内閣は数々の不祥事の対応に追われるなど散々な様子だった。円安、物価高も進み、東京五輪の不正疑惑も次々に明るみに出た。一体、日本に何が起こっているのかと不安になるほどだった。

 私自身、この季節は毎年、それなりに苦戦を強いられている。放っておいた問題は向こうからやってきて、無力にさらされることも少なくない。

 

 そういう季節なのだ。自分の中の「負」の部分と嫌でも向き合わされること、それが少なからず誰もが体験する秋分からの流れであり、そして最も大事なのは射手座へと飛躍し、そして自分なりの山羊座へとたどり着くことなのだ。

 そう、「射手座へと飛翔すること」これが2022年春分から冬至にかけての私たちに課せられた課題であった。

 

 もっとも低いところを流れる水エレメント蠍座から、どのようにして火エレメント射手座へと飛翔するのか。どのように自分たちを奮い立たせ、どのように再生するのか。暗い場所から、どのようにして再び前に進もうと決心するのか。自分たちの中のネガティブな要素と向き合い(蠍座)、それでも生きようという意欲を持って前進(射手座)しようと思うのか、その蠍座から射手座へと転換するために、どんな哲学=支え(村上春樹の表現で言うところの「内的ドライブ」ということになるだろうか)を持つに至ったのだろうか。そこが今回、2022年の流れの重要なテーマになっていたのだ。

 

 この「自分を前進させるための意欲(大げさに言えば精神性、魂、スピリチュアル)」とはどのようなものなのか、そこを問い続けてきていたのが2022年春からのテーマということ。

 よって、個人も企業も、そして国もこの年を通して、「これからの未来を生きるために、どんな中心点(意欲、精神、魂、核)を持って進もうとしているのか」をある程度、明確にすることが大事だったことがわかる。

 

 防衛費拡充も日銀政策の変更も原発政策の正式決定も、どうしても必要だというなら仕方ない。けれど、私たちが納得できない理由は、政策(山羊座・土星)を支えている、核となる部分「なぜ」「何のため」が見えてこないところにある。

 私たちは、失われた30年で、嫌というほど自分たちの無力感を突き付けられてきた。経済力はもちろん、資源もそう、教育や医療もそう、安全もそう、もしかしたら民度もそうかもしれない。日々、日本の国力のなさを実感し、「あると思っていたもの」が「もはやないのだ」に変わるシーンを何度も実感する羽目になった。それでもどこかに期待はあるのだ。「日本はきっと良い国に違いない」と。

 でも、いくら政府が大義を掲げても、その「なぜ」は一向に見えてこない。鳴り物入りで「未来の国益」を宣伝したところで、何かそれが大事なものだという気がしてこない。

 

 それはもしかしたら、射手座の一つ手前であり同じ柔軟サイン・乙女座的テーマ、「敗戦後論」の著者・加藤典洋氏の言う「正義は原理の問題ではなく、現場の問題である」という言葉。または、私が以前の記事でお伝えしたアフガニスタンで亡くなった中村哲医師の徹底した現場主義的意識が必要なのではないだろうか。W杯の「ゴミ拾い」のニュースなどは、実際、外交よりも効果的なふるまいというのも納得できる。

 または、蠍座的警句、米国の哲学者・ジョージ・サンタヤーナの「過去から学べない者は、過ちを繰り返す」という言葉に示されている通り、原発再稼働についても、防衛費拡充についても、歴史的失敗から何を学んだのかを改めて考える時期であったのかもしれない。

 個人も同様。もしもパターンのように繰り返されている問題があるのだとしたら、それは今、このサイクルで解決しておく必要がありそうだ。

 ちなみに、あるアメリカの研究によると、小さくても成功体験を重ねることで過ちを回避する力を得られるようになるということだ。だから、できれば成功体験のためにスモールステップで未来をつくっていくことが大事になる。もし、過去の成功体験が見当たらなければ、よき未来につながる小さな行動を選ぶこともできる。前述の加藤氏の言葉になるが、「悪から善をつくるべきであり、それ以外に方法はない」ということだ。

 

 私たちは失敗を繰り返す生き物だ。自己信頼を失い、心が折れそうになることもしばしばかもしれない。こういった自己の恥部(私がよく言う負の遺産)を引き受けながら、それでも前を向いて善を生み出そうという努力ができれば、それ以上の選択はないのではないか。なぜなら、私たちは未来を生きるしかない。過去に戻ることもできず、ここにとどまり続けることはできないのだから。

 後悔はある、失敗はある。もっとこうしたかったという解消されなかった欲望もある。

 けれど、すべてはここからだ。

 そして、陰から陽を引き出すためには、個人企業/国にとっての善きもの、自信を与えてくれるのも、明るさをもたらすものに向かって歩みを進めていくことだ。

 たとえ原発再稼働、防衛費拡充であっても、それが本当に最前線を生きる人たちにとっての必要に準じているのであれば、また過去を犠牲に未来が成り立っていることを真摯に受け止めることができるのであれば、ここから善き未来を選択していくしかないだろう。

 

 20222023年の冬至の季節は、来る2024年、2025年をサバイバルするためにも重要な期間になるのではないかと考えられる。ぜひ、もう一度、自分の中の恥部、暗さ、負の部分を見つめてみること。そこから、再び立ち上がるために、どんな善をイメージしたのか。そこをもう一度、見直し、自分の立ち位置に納得してみてもらいたい。

 

 

こちらも参考に +:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+: -:

「 2022冬至図リーディング&月の成長物語・活動宮編」

春分前に起きたロシアによるウクライナ侵攻から、安倍元首相暗殺など、衝撃的な事件が多かった2022年。

今年最後の「月イチ勉強会」は、恒例の冬至図リーディングはもちろん、春分~夏至~秋分まで一年の流れを総括!

本記事でお伝えした内容のほか、魚座の木星・海王星がもたらした影響、アセンダント射手座の意味、火のエレメントの特性など、およそ120分にわたり詳しく解説しています。

 

また、第二部では活動サイン(牡羊座ー蟹座ー天秤座ー山羊座)の月の成長プロセスや課題を、参加者の事例を元に、心理占星術的に検証しています。

 

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