nicoの星宙予報 2023 水瓶座 ~革新とは破壊にあらず、安定と幸福を守る知的な改善

 水瓶座というのはどういうサインなのか。いざ、自分なりに向き合ってみようと思ったところ、迷宮にはまり込んで抜け出せなくなってしまった。それくらい複雑なサインであることが改めてわかった。

 その理由の一つは、間違いなく水瓶座を支配している二つの支配星——土星と天王星の持っている性質によるものだろう。星占い的な意味合いにおいて、この二つの天体は保守(土星)と革新(天王星)という相反する意味を持っている。
 つまり、水瓶座の性質の中にアンビバレントな価値観、態度があるわけだから、それは複雑なサインと言えるだろう。いや、複雑というよりは完全に分裂していると言ってもいいかもしれない。

 では、水瓶座は、そのような引き裂かれた性質をどのようにバランスを取っているサインなのだろうか。そもそも土星は保守で天王星は革新なのだろうか。

 そのようにぐるぐると考えをめぐらしていたら、いやいや結構壮大な話になってきた。どうやってこのテキストを仕上げようかなぁと悶々としてきたところだ。

 だが、この水瓶座を巡る性質と支配星の関係は、とても大事な話である。詳細は「時期読みパーフェクトマスター講座」で受講生とともに考察する課題––水瓶座冥王星時代とはどのようなものか––に譲るとして、そのさわりだけでもここに書いてみることにしよう。

 

 

 2023年の水瓶座期は様々な意味において重要である。

 20171220日より土星が山羊座に入室してから––実際は、冥王星が山羊座に入室した2008年には––リーマンショックに見られる資本主義経済を含めた社会的システムの崩壊が始まった。しかし、日本はもしかすると、その少し前、小泉内閣が「聖域なき構造改革」と言い始めたあたりから、取り返しのつかないくらい弱体化していったような、そんな印象が私にはある。

 評論家の中野剛志氏はこう言う。

 「構造改革」という標語の下、さまざまな改革が行われました。「日本を抜本的に変えないといけない」と叫ぶ改革派の政治家を、国民は支持してきました。

 しかし、その結果、日本は、どうなったのでしょうか?

 衰退の一途を辿っただけです。平成の時代に行われた一連の構造改革のうちで、成功したものが一つでもあったでしょうか。

 しかも、その抜本的改革に邁進してきた自由民主党が、「保守」と呼ばれているという始末ですから、情けない話です。

 

 この中心人物となるのは小泉元首相だが、彼は、まさに占星術ではいわゆる保守的と言われる山羊座太陽、水星の持ち主だが、私の考えでは、山羊座こそがラディカル(=現状を変えることに積極的なさま)なサインではないかということ。

 だからこそ、山羊座に冥王星が移動してから、世界中のいたるところで機能不全が起こり、強引なまでに改革を推し進めようという動きが起こっているのではないか。

 

 2019年の雑誌「wired」に出ていた一節には、

  言論の自由(それには首相にヤジを飛ばすことも含まれる)がますます縮小する社会において、ラディカルであることの社会価値はますます上がっている。時間ばかりかかって反応が鈍く、妥協だらけの代表民主制というシステムは、テクノロジーや気候変動といった地球規模の問題を前にして、ほとんど骨董品のように映るだろう。

 

 2019年は、山羊座で土星と冥王星が最接近してきた時期に当たるが、おそらく、この文章は多くの人たちの共感を誘うものになっている。「老害」という言葉が流行った時期であり、古いものをぶっ壊して、さっさと新しい世界へと歩みを進めよう! そんな明るい兆しの中での水瓶座への土星の移動(グレートコンジャンクション)、そしてパンデミックへと続く流れになっている。

 

 中野剛志氏によると、

 イギリスの政治家エドマンド・バークは、改革というのは慎重に少しずつ改善を積み重ねるものだと言っています。そして、慎重に進める方が、抜本的改革や革命よりも、知恵が必要。それは、人間や社会が複雑微妙であることを理解できる知恵です。逆に言えば、やたら抜本的改革やら維新やら唱える連中は、知恵が足りないということですね。

 バーク曰く、

 システムを維持しつつ、同時に改革を進めていくやり方である。この場合、既存の制度にある有益な要素は温存され、それらとの整合性を考慮したうえで、新たな要素がつけ加えられる。ここでは大いに知恵を働かせなければならない。

 

 この言葉こそが、水瓶座的知恵ということではないだろうか。

 社会の結果を受けて、何が有益で何がそうではないか、その客観的な判断こそが、風エレメント・不動サイン・水瓶座の働きと考えることができるだろう。

 

 バークの言葉は続く。

 国家のあり方を変えてはならぬと主張しているのではない。だとしても、あらゆる変更の目的は、これまで享受してきた幸福を今後も維持すること、すなわち保守におかれるべきである。

 

 私事になるが、2023年になってから最初にやったことは、12年間続けてきた講座のカリキュラムに本格的に手を入れたことだ。これまでも少しずつ慎重に手を加えてきたが、やはり、土星が水瓶座にいる間に、ここはしっかりやろうと決めた。「有益な要素」を温存しつつ、知恵を使って。

 それが、11番目のサイン、水瓶座に対応しているタロットカードの大アルカナ「Ⅺ正義」にも見て取れるかもしれない。

 

 

 先程、「2023年の水瓶座期は様々な意味において重要である」と書いた。

 それは、ここ数ヶ月の星宙予報で繰り返し言及してきたように、3/6には土星は魚座に入る。水瓶座の太陽と土星がコンタクトを取るのは2/17。次に水瓶座で太陽と土星がコンタクトを取るのが2051年だと考えたら、この水瓶座期は国/企業/個人にとっても、まず自分たちにふさわしい在り方を考える必要があるのではないだろうか。

 

 それを踏まえたうえで、イングレスチャートを見てみよう。

 水瓶座の太陽が入室しているのは6ハウス。ハウスは乙女座・地エレメント・関係性の象徴であることから、「改善」すべきは、他国/他企業/他者と対峙した際に、「あなたは何ができますか?」と問われていると考えられる。実際、国/企業/個人は何ができるのか、現実的にどう応えていくのかを、今こそ真剣に考えていく必要がある、そんな時期なのだ。

 ロシアもウクライナも双方一歩も引かない様子を見せているし、台湾有事も緊張感を増している、中国は尖閣をすでに自国領として日本の領海へ繰り返し侵犯している。そのような中、日本は他国に対して、何を持っている、何ができる(乙女座・地エレメント・水星・I have)と言えるのだろうか。競争力を取り戻せない企業は、何を持っている、何ができると言えるのか。生き抜くことに不安を感じている個人は、他者=環境を前にして、何を持っている、何ができると言えるのか。

 そして、6ハウス=乙女座と補完関係である5ハウス=獅子座は、どのような理想的な未来のシナリオを描いているというのだろうか。それが、実際にASC=1ハウス=獅子座のテーマにもつながることになる。

 

 ということで、2023年の水瓶座期は、他国/他企業/他者の中で生き抜くために、改めてどんな国/企業/個人でありたいのかを丁寧に思い描くこと。その理想的なイメージに沿った形で、必要なものをそろえ、設備を整え、防衛力を強化すること。

 獅子座・ハウス、乙女座・6ハウス的な強化ができれば、冥王星が水瓶座にイングレスするタイミング(2023年3月242024年1月21日2024年11月20日)にも、そして、もしかしたら近い遠い将来に有事がやってきたとしても、急ごしらえの改革に走らずとも、安定で幸福な構造を守りつつ、知的な改善を進めることができることだろう。

 今からでも遅くない。

 不必要な変化に走らないよう、国/企業/個人らしくさせている幸福な構造はしっかり守りながら、現実的に通用する必要な未来をつくっていく。そのために理想のイメージをクリアに描く、そんな一ヶ月にしてみてほしい。

 

 

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