星宙百景 2024 乙女座~ 良くも悪くも現状そのものが、自身のありのままの姿が明確になる

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

出来事の当たる・当たらないではなく、占星術で時期をよむことの面白さ―――人、国、時代に起こった出来事を私事にするための道具―――をお伝えした一遍です。

自民党党首選が騒がしい。その騒がしさが本当に腹立たしい。身内の問題を野放しにしている人たちに、問題山積みの国を任せられるのか。名乗りを上げている候補者自身も、裏金問題、統一教会問題等から遠く距離を置いていたとも思えない。この際、党首が誰になってもいいから、総理大臣はせめて自分たちで選ばせてほしい。今回ほど、それを切に願ったことはない。

議員たちが「誰が新しい総裁になったら、次の選挙で当選できるのか」といった身の保身ばかりを考えるようなら、間違いなく有権者は離れていく。日本の未来を本気で考えられる人物は誰か。その態度を、その姿勢を私たちは見なくてはならない。

それが今期のイングレスチャートに示されている。

ASC上には火星、その火星に対し、10ハウスの土星、また4ハウスの金星がコンタクトを取っている。これは、まさに国にとっても企業や個人にとっても、重要なチャンスのときと読むことができる。 

「星宙予報 獅子座期のおさらい編」でも書いたとおり、獅子座期はまさに各々の国の、企業の、または個々人の価値観、互いの立ち位置が明確になる時期であった。友好関係にあるパートナーが、または敵対関係にあるライバルが、実際、どのような意見や考え方のもとに過去を捉え、未来を見ようとしているのか、獅子座期は、それらがある程度はっきりしたはずだ。また、自分自身も誰の何を信じ、どんな生き方を未来に持ち込もうとしたのか、確認ができた時期だったのではないだろうか。

そういった時期を経ての今、今期の乙女座期は、どういう姿勢や態度で生きるかに対し、いよいよ迷いがなくなるタイミングとなる。ハリス支持かトランプ支持か。子どもをどう育てたいか。なぜその仕事を選んだのか。なぜそこに住んでいるのか。その他の選択肢はなかったのか。

ASC火星、10ハウス土星、4ハウス金星は、今のあなたの、私の、国の、企業の、それ以上でもそれ以下でもない等身大の姿で生きることを求めているように見えるではないか。

そうなのだ。今期の乙女座期は裏を返せば、ごまかしがきかない時期だということになる。国の、党の、企業の、個人のそのままの姿が示される時期なのだ。だから、取り繕ったところで無意味だ。それならば、開き直って、ここまでの成果や結果を受け止め、今の自分の姿を堂々とさらけ出す方がいい。

勝った候補者の掲げた政策が、それぞれの党の軸となり、衆院選の選挙公約につながるはずだ。自民党も立憲民主党も、政策論争を通じ、国民に選択肢を示すことになる。

個人もそうだ。自分が本当にやりたかったこと、やりたくなかったことが身をもってわかるだろうし(身をもって、と書いたのは10ハウスの土星や4ハウス金星、乙女座のテーマ、つまり地エレメントの強調が実感のサインであるからだ)、たとえば大阪万博の巨大リングが「蓋を開けてみれば350億かかった」といったような、良くも悪くも現実的な答えを手にすることになるはずだ。この「蓋を開けてみれば」という意味合いもASC/火星、10ハウス/土星、4ハウス/金星の象徴と言えるかもしれない。

蓋を開けてみれば、そんなに効果がなかった。
蓋を開けてみれば、自分の求めていたものと違った。
蓋を開けてみれば、意外と自分にしっくりきた。
蓋を開けてみれば、これを始めてよかった。

などなど、自分にとっての「解」が手にできれば、この時期はまずまずの成果を上げたと言えるのかもしれない(党首選の開票は次の天秤座期になるが)。

実は、火星のサイクルであっても、太陽のサイクルであっても、乙女座期、そして山羊座期は私の好きな期間である。地エレメントである乙女座期、また山羊座期(10ハウス、土星)というのは、良くも悪くも自分の現状そのものが、自身のありのままの姿が明確になるときである。「ありのまま」とは、つまり、今の自分にとってのベストな姿ということになる。

「ありのまま」といっても、たまたま手にした結果が、運がよかったから、悪かったからというように、自分の手の及ばない作用が働くこともあるだろう。そういった「たまたま」を含めて、この時期は、何かしらの自分に対する解と結果を手にすることになる。

また、9月2日から逆行中の冥王星が山羊座に戻ってくる。2008年から山羊座を運行していた冥王星だが、これが最後の山羊座の運行ということになる(~2024年11月19日まで)。

冥王星(=蠍座)は、そのサインの隠れた問題をあぶり出す。国/企業/個人にとって、すでに価値を失っていると考えたら否応なしに切り離されることもある。失われたものに対し、新たな価値を発見し、育てていけなければ、ずっと無力を感じ続けることもある。

その冥王星が最後の山羊座の運行を開始する。山羊座とは、ここまで書いてきたように、国/企業/個人の今の姿を明らかにするサインだ。そして蠍座の支配星である冥王星は、今の心の本当の、本当に本当の姿を明らかにする役割を持っている。

つまり、うまく利用できれば、私たちが今、本当に求めていることがわかり、価値がないものは手放すことができ、必要なものを本気で求め、融合することができる。ただし、心が抵抗したら、または失ったものを嘆き続けているようでは、新しい価値を手に入れることはできない。冥王星体験とは、まさに命がけなのだ。

自民党の総裁選挙の特設サイトを見てみてほしい。これでは「あの頃はよかった…」というように、失った時を懐かしんでいるようにしか見えないではないか? 



私たちは何を求めているのだろうか? それを知る方法の一つに今期は、イングレスチャートのASC火星を利用したい。

イングレスチャートのASC火星は、自分の素直な衝動、気分のいい在り方、スピノザ的には活動能力が高まるふるまい、そういったことを積極的に試してみるときということになる。自分にとっての「解」がよくわからないという人はなおのこと、この時期はあれこれ試してみるのにふさわしいときだ。どうせ何かしらの答えが出るのだから、やらない理由はどこにもない。

どんなことでもいい。どうせなら自分でも答えのわからないこと、新しいことを試してみるのもいいかもしれない。自分の可能性は、自分ではわからないものだ。
 
乙女座期は自ずと結果が出るときである。だから、あまり目くじら立てず、静かに自民党、立憲民主党の党首選の行方を見守ることにしよう。それぞれの党がおかれている「今」を明確に教えてくれる人物が代表になることは間違いない。

出た結果によって、私たちも今後の行く末を本気で考えよう。自分たちの今にふさわしい顔は、ふさわしい方法はどのようなものなのか。まずはじっくり眺めようではないか。

そして、この一ヶ月、私自身も自分に相応しい顔を作るべく、せっせと活動しようと思う。私にふさわしい顔、仲間、やり方、生き方、働き方はどのようなものだろうか。一ヶ月後が楽しみだ。