星宙百景 おさらい編 ~2024 蠍座・わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を考える

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

おさらい編では、先の未来を読み解いた星宙百景の記事をセルフレビュー。

先月お伝えしたチャート読みの内容と、実際に起こった出来事を nico の視点で振り返るショート・レポートです。

まさに怒涛の一ヶ月だった。このように世界というものは動いていくのかという驚きと好奇心、また、時には何とも言えない後味の悪さが入り混じることもあり、蟹座火星期――心が揺さぶられる期間、ムードスウィングにふさわしい期間であったと言うべきか。または、冥王星のサイン移動の「よくわからなさ」の影響と言うべきだろうか。

この状況に、各専門家たちも戸惑いを見せ、発言を躊躇するシーンを何度も目撃した。「様子を見てみないと今のところよくわからない」というのが彼らの概ねの要点のように思われた。

10/28の衆議院選、11/5のアメリカ大統領選、11/11総理大臣指名選挙当日には国民民主党の玉木氏の不倫問題が報じられ、11/17は世にも奇妙な兵庫県知事選が行われた。

このように日程だけ整理して書くと、なんてことないように見えるが、この一つ一つのイベントに時代の変化の重みがズシリとのしかかっている。

自公連立与党が、2009年政権交代以来15年ぶりの過半数割れをし、一強多弱政治の終焉の時代を予感させた。

 「America First」「Make America Great Again」を唱えたドナルド・トランプが132年ぶり二人目の大統領に返り咲き、多くの移民や女性たちを戦々恐々とさせている。兵庫県知事選においては、オールドメディアの腐敗とニューメディアの躍進が声高に叫ばれた結果となったが、その結果の先行きは今のところ不透明である。

さっと書いてみたが、どれもこれもこれからさらなる熟考が必要となるテーマだ。

では、チャートはどのようなことを示唆していたのだろうか。

一枚目がこの三ヶ月を象徴とする秋分図、二枚目はこの一ヶ月を象徴とする太陽蠍座期イングレスチャートとなっている。

赤丸で囲んだところは占星術でいうコミュニケーションのテーマ、つまり、これら2つのチャートは水星、木星が強調されていることがわかる。

2024秋分図(太陽・天秤座のイングレスチャート)
2024太陽・蠍座のイングレスチャート

以下は、前回の星宙百景「言いづらいことを伝え、聞きたくない声を聞く、水星&木星の努力がどこまでできるか」で取り上げたテキストになるが、改めてここにあげておく。

もっとも大事なことを閣僚会議で決めてしまうという、昨今の自民党の悪しき慣例も安倍政権でつくられたものでした。岸田政権下の2022年、安保保障改革の大転換――安保3文書(防衛費増税や相手の領域内を直接攻撃する「敵基地攻撃能力」等)を、国民への説明も野党との議論もないまま決定したというわけです。

この点こそが自民党にも、そして野党にも、わたしたち国民にも問われている姿勢ということになるわけです。

わかってもらえないと感じたとき、人は非常に落ち込む。でも、わたしたちは伝える努力をどれくらいしたのだろうか。表情や態度で空気を悪くしたりするだけで、またはいい人ぶって気にしないように見せるだけで、肝心なことを相手に伝える努力をしてこなかったのではないか。

または自民党のように、または昨今のSNSのように話の通じる人とだけイージーにつながって、わかり合えない人たち、違う価値観、違う文化背景をもった人たちとの対話を端折ってきたのではないか。

わかったふりをしても、結局、何一つわかり合えていなかったという虚しさ。もしかしたら、同じ党内でも、例えば立憲民主党しかり、公明党や維新の会しかり、腹を割って話すということをやってこなかったのではないか。だから、党内でも、国内でも、あちこちで分断が進んでいるのではないか。

星宙百景 2024 蠍座 ~ 言いづらいことを伝え、聞きたくない声を聞く、水星&木星の努力がどこまでできるか

実は、わたしは石破政権と与党過半数割れにかなりの期待を寄せている。

第二次安倍政権以降、自公政権は野党の批判に耳を貸さず、法案採決を強行する姿勢が目立っていた。政府提出の法案などは密室の自公審査で決定され、国会審議はただの「政府の下請け」機能に成り下がっていた。

これからは嫌でも野党と協力せざるを得ないわけだが、実際、予算や国政全般を扱う予算委員会、憲法審査会など、野党は17ある常任委員会のうち、選挙前の2から7へと大幅に議長のポストを増やすこととなった。

立憲民主党代表の野田氏の言う「熟議と公開」は、まさにこれからの国会運営にふさわしい態度と言えるのではないか。安倍政権下における政府・官邸が握りしめ続けてきた主導権が、ようやく再び国会にシフトすることになるのではないか。これぞ、まさに水星、木星の求めた結果の一つであり、水瓶座冥王星に向けた態度と言えるのではないだろうか。

ちなみに宮台真司の解釈では熟議とは「単なる話し合いということではなく、話し合いを通じて、知らなかった事実に気づき、価値が変容するということ。そうした気づきと変容を通じて、新しい「我々」が再構築されるということも含んでいる」ということとなる。それが「民主主義の本質である」と。

11/20の報道では、「国民民主、『103万円の壁』見直しで自民・公明と合意へ」という見出しが躍った。実際、この経済政策が物価高に苦しむ貧困層を救ってくれるのかは、かなり疑わしい。だが、30年間据え置きで放置されてきた課税年収額であることは間違いない。小さすぎる一歩だが、与野党で様々な「壁」を協議、熟議をし、国民の暮らしを守ってほしいと思う。


新政府は、11/22に総合経済対策を閣議決定をするという。その辺の話はまた次のテキストで。