前号の蟹座「今月の言葉」の中に河合隼雄氏の言葉を引用し、「心の中の新しい鉱脈を掘り当てよう」と書いた。
西日本の集中豪雨や7人の死刑執行、ワールドカップの日本選手の活躍などのニュースを前に、自分でも気がつかなかった、新しい感情が動いたことは確かだ。
何に不安を感じているのか、憤っているのか、何に悲しんでいるのか、喜んでいるのか、いやでも自分の心の在り様に直面することになった。
もちろん、ニュースだけではない。個人的な体験として、自分の弱さを目の当たりにする出来事、安心を脅かされていると感じる場面に遭遇することもあったかもしれない。
心が動くと、同時に大切にしている考え方も理解される。
むしろ、心が動いたからこそ、自分の考えに気づくことができたと言えるのかもしれない。
なるほど夏至からの蟹座、獅子座、乙女座のフェーズは、確かに、自分づくりが進む時期だ。
心を揺らし、感情を露呈し、隠し立てのない自分を表出させる。
蟹座期は、そんなふうにして個人の一番柔らかい部分、おそらく個人が大切にしている本質的なものに触れる体験をすることになったかもしれない。
その体験の必要性は、2つだ。
心が動けば、その柔らかい内臓に見合う甲羅づくりが進むというころ。もしかしたら、心が少しでも不安を感じないような現実的解決――何をどうしたら、もっと心が安らげるだろうか――を施すことができ、個人の世界をより充実させることができるようになる。これが一つ目の必要性だ。
これはもちろん、占星術の象徴で言えば、もちろん蟹座の対向にある山羊座の働きによるものである。
山羊座=土星的な力が弱い場合は、ただ心が沈み込むのに任せてしまったり、無力の自分を傍観するだけになってしまったりするかもしれないが、いずれにしても、いつも日の当たらない、薄暗い、陰の面に太陽の光が届くこと、つまり月の裏側を知る体験は、自己認識を大いに進めてくれたことだろう。
良くも悪くも、「これが私である」と。
そして、もう一つの必要性、それは蟹座の次の段階、獅子座の体験をより充実させ、さらなる自己認識を強めることにある。
今回のこの獅子座期の活動が非常に重要になることは、前月のテキストでもお伝えした。
春分から冬至までの季節図を見てみると、今回は金星=自己の存在価値の実感が不可欠であるとともに、5ハウス=実感された価値をどれだけ“強み”として表現されるか、世界に認識させるかというのが課題になっていた。
その時、他の3つの季節に比べ、夏至図の時期は、絶好調とは言わないまでも、よりその体験をスムーズにさせてくれることがわかっている。
現に、もう既に自分のウソ偽りのない姿は明らかになっているわけだ。
今度は、そこにもう一歩、“価値づくり”を進めていけばいい。
サッカー日本代表のロッカールームやファンたちのごみ拾いのように、自分にとっては当たり前の姿が、人の目には美徳として映っていることもある。
何が自分の美徳をつくっているのか。
何が自分の存在を支えているのか。
獅子座太陽期は、今度は国も、起業も、そして個人もこの“ポジティブ”な側面に大いに光を当てていくことが大事になっていくだろう。
今回の獅子座期は、もうすでに大きな話題にもなっている、7/28の月食と8/11の日食という大きなイベントがある。
特に、28日の満月は、強い不動サインの配置がある。
まさに獅子座の太陽の力を利用し、自己価値を環境の中でどう育てていくか、強みを表現できる場をどう作っていくかがテーマになっていくだろう。
また、T字スクエアは、表出されていないサインやエレメントが力の完成(4つで世界を完成させる)を阻むことから、強みを蠍座的なテーマ、またはICのテーマを組み込みながら、価値づくりを進めていくことが望ましい。
ということは、つまり今回の蟹座期で見つけた、弱くも愛おしい自分自身の柔らかな部分を、またはこれだけは譲れないという守るべきものへの思いを価値や美徳として組み込むこと、いやむしろ蠍座の一番のモチベーションである「無力であるからこそ生きる価値がある」という“雑草根性”をむき出し、華麗なる復活を遂げるべきなのだ。
それが月食図に表示された月火星の、または7/31の火星最接近のテーマにもつながることになるだろう。
自分を弱い人間だと思っている人は、今こそが立ち上がる時だ。
生き抜くため、弱いながらも存在の価値を見出していかなければならない。蟹座期に、さんざん脆さ、弱さに光が当たったのなら、今度は自分の明るい側面に思いっきり光を当てなければならない。
既に強みを持っている人たちから圧倒されることはもちろんあるだろう。仕方ない。国家レベルでは、アメリカもEUも中国も生き残りをかけ、自分たちの強みを利用し様々な仕掛けを用意してくるだろう。その中で日本の売りを強くアピールすること。弱さと思われているところを美徳として売り出すこと。それが目下のテーマになるだろう。
個人ももちろん同じ。
蟹座期に自分にダメ出しをしたなら、今度は自分を好きになる努力をしていく。
人生の明るい側面にたくさんの光を当てていく。
まるで今生まれたばかりの子どものように、目の前の世界を生き生きと感じてみる。
自己を信頼し、新しいチャレンジに自分を賭けてみる。
そして、恋するように世界を生きてみよう。
皆さんの獅子座期を応援しています。