nicoの星宙予報2020 乙女座

 猛暑が続く中、ここにきてベーシックインカムの議論が世界各地で進んでいるという記事を目にするようになった。ドイツでは120人を対象に3年間、毎月15万円を支給する実験が始まり、アメリカでは16歳以上で年収13万ドル未満のアメリカ国民に対し、少なくとも月に2000ドルを6カ月にわたって支給するという案が提出された。

 人類にとって夢の政策であるベーシックインカムは、いよいよ実現するのだろうか。

 

 今、主要な社会天体は山羊座に集中しており、逆行中だった山羊座・木星もまもなく(9/13~)順行へと戻ることになる。今回のコロナ禍において、社会の弱点、縮小を余儀なくされる業界、守るべき文化、移り行く世界、変わりつつある風景…様々なことが見えてきた。それに合わせ、これからの制度をどう作っていくのか。このような議論は、木星順行のあと、土星順行(9/29~)、火星順行(11/14)と必要に迫られるように進み、2020年末の水瓶座で起こるグレートコンジャンクション以降、一気に進んでいくだろう。

 

 その前に、私たちにはやるべきことがある。春分図、夏至図に続き、この乙女座期の太陽イングレスチャートASCは蟹座。次の秋分・天秤座期から、ようやくASCは蟹座から離れることを考えると(次に季節図のASCが蟹座になるのは2024年)、この乙女座期は、ASC蟹座の仕上げと考えてもいいかもしれない。

 

 それにはどのような意味があるのだろう。

 ASCとは、牡羊座=火星の場所。生き残るために必要なふるまい方を意味し、4番目のサイン蟹座は、純粋な私/私たちの世界の完成を目指すサインとなっている。

 つまり、この星宙予報で何度も繰り返し書いているとおり、自分の中の違和感をできるだけ消化(蟹座=月=胃)し、純粋さを取り戻すことが大事になるということだ。

 もし今の環境、状況、関係性が納得できないものであるなら、直ちに自分の心が納得するよう解決していくこと。選択基準を外的なもの——報酬、評価、承認、常識といったものにせず、自分の心に忠実になっていくこと。その作業をひたすら繰り返し行っていく。誰も自分の心のありように気を配ってはくれないのだから、その作業は自分の責任としてやるということだ。

 仕事、住居、人間関係、趣味やライフスタイル、見直さなければならないものはたくさんある。どれもこれも、自分の思い通りにやっているようで、実際、それほど思い通りになっていないかもしれない。

 心の違和感を見つめ、解消していく。こんな単純なことなのに、なぜ「これでもか!」と何度も蟹座的テーマを要求されるのだろうか? 

 なぜ私たちは、何かに囚われ縛られて、自分を自由に生きさせることができないままなのだろうか。

 

 秋分以降(2020年9月22日)、状況はガラリと変わる。そのため、乙女座期はこうした内向きの作業を徹底的にしておく必要がある。

 国/企業も、まだしばらくは内部調整やシステム開発が進んでいくことになるだろう。人事の調整などもこの一ヶ月で見直しておきたい。秋分以降には、外交なども一気に動き始めるので、今は外の動きに惑わされず、ひたすら内部を強固にしておくといい。

 「自分たちはどうありたいのか」の軸がぶれていると、秋からの外向きの動き、外交、競争に対抗できないということでもあるし、またそれ以上に大事になってくるのは、蟹座的作業=心に嘘のない生き方の選択は、実際は、山羊座土星の仕上げのためにも必要な作業となっているのだ。

 

 なぜなら、蟹座と山羊座は補完関係にある。山羊座的感覚――自分の資質を一番いい状態で維持しようと思ったら、蟹座的な作業は必須ということになるわけだ。

 

 今後、秋分=天秤座的な活動をする際、内部が「自分/自分たちらしい在り方」を維持できるようになっていれば、外部に向けての力をより強めていけると考えられる。

 そのため、ここ乙女座期以降から、私たちは2021年以降のこれからの未来に向けた戦略を作っていかなくてはならないというわけだ。

 

 イングレスチャートを見てみてほしい。まず3ハウスに太陽と、そしてファイナルディスポジターの水星が並んで入室しているのがわかる。そして、7ハウス、または11ハウスもそれぞれ強調された天体配置になっているだろう。3、7、11ハウスは風エレメントから成るハウスである。風の時代の到来と言われる2021年以降の新しい動きに対し、今、この乙女座期から、より積極的に準備を進めていくことが大切になっているのがわかるはずだ。

 

 風エレメントとは、新しい流れを生み出す性質を持っている。

 自分たちの理想の未来をどう作っていくか、どう伝えていくか、どう多くの人と共有していくか。

 来る未来に向けての新しい知見を育て、新しい自己表現の仕方を学び、人や環境に合わせて積極的に自分を切り開いていく、非常に活発な動きがそれぞれの次元で起こってくるだろう。

 

 だからこそ、自分の中に違和感を残したままではダメなのだ。新しい動きを作っていくためには、自分が納得していないと、心も体も伴って動いてくれない。だから、心と体を司る水エレメントは、風エレメントとの補完関係になっているのだ。

 

 今回のイングレスチャートは月も風エレメントの天秤座、その度数は変容の道(天秤座15度―蠍座15度)と言われるバイアコンバスタになっている。変わっていくよう、もっともっと変わっていくことにポジティブになれるよう、チャートがあらゆる方面から示唆してきている。

 

 人に煽られてもぐらつかない、もしくはぐらついてもしなやかに自分へと戻れる軸は出来上がったか。

 自分の中にある不自然な生き方は解消できたか。

 恐れがあっても、それを保持できるだけの強さは育ったか。

 新しい学びにオープンでいられるか。

 

 2020年の乙女座期は、とても忙しい。

 政治、経済、これから年末にかけて、なんとかしようと多くのものが動き始める。

 周囲に揺さぶられる前に、グッと自分にとどまり、まずは在り方を見直す。そこから少しずつ動きを作っていけるといい。

 

 また、これからの風エレメントに向かう流れをこんなふうに考えてみることもできる。

 エレメントは、火→地→風→水と進んでいく。風エレメントは、その前の地エレメントの完成度によって、その動きが変わってくる。

 地エレメントの目指すべきテーマは、”I have(私は持っている)“ 自分自身が「持っている」と感じられるものがある人だけが、これから新しく吹く風に不安なく乗っていけることができるといえる。

 どんなものでもいい、乙女座期で自分なりの「I have」をちゃんと手にする。そして、新しい風に乗り、少しだけ身軽に自由に生きてみる。

 秋分・天秤座期以降、社会天体たちは順行を始める。純粋な私、持つべきものを持った自由な私で未来に勝負することができるよう、乙女座期を大切に生きてみたい。