新政権が動き出した。サプライズ人事もなく、「安倍政権を継承する」という基本方針がそのまま反映された菅内閣。私たちは、これからのこの内閣の下、2020年下半期へと突入する。
9月の四連休はGoToトラベルの効果もあり、各地で人手が戻ってきたというが、総務省統計局の発表によると、キャンペーンの値引きにより消費者物価指数が三ヶ月ぶりの落下を示しているという。それでも手を打っていかなければ何も起こらない。施策というのはなかなか難しいものである。
ここまで、2020年の目玉となる天体配置はいくつかあった。まずは山羊座で起こった木星・土星・冥王星のトリプルコンジャンクション。これらの動きは、1月からコンタクトし始め、3月で顕著になった。ちょうどコロナウィルスが世界を恐怖に陥れていた頃だ。3/24には、オリンピックの延期が伝えられた。
この頃、ユングのシャドウについての理解を深める勉強会を行った。冥王星の影響の中で、個人が力を得るのか失うのか、それとも自分の創造性に向かっていくのか、はたまた人、時代、目に見えない影響によって無力を味わうことになるのか、そして、そのとき自分の潜在的な“力”は何を求めているのだろうか、そんなことを考えてみる機会を持つことができた。
タイトなアスペクトが形成されたのは、冥王星・土星が1/13、冥王星・木星は4/5、6/30であった。緊急事態宣言など行動や力を抑圧されるような体験があり、その後も米、中南米などで感染者は増え続け、6月末には、世界のコロナウィルス感染者が1000万人を超え、死者も50万人に達した。
実は、この後11/13に、山羊座を運行する木星が、最後にもう一度、冥王星とタイトなアスペクトを形成する。
冥王星・木星の体験が、再チャレンジの機会と出るか、恐怖によって抑え込まれると出るか。
私たちは、既に二度のコンタクトを体験している。できれば、蠍から鷹へと変容していく力、冥王星から木星へと、恐怖から自由へ、抑圧から解放へと、高い視野、強い再生力を手にトランスレーション=バトンを渡すことができたらと思う。
そのためにも、この天秤座期の流れは大事になってくるのではないだろうか?
木星、冥王星の力をクリアに利用するためには、やはり山羊座に対する正しい理解と正しい姿勢が必要になってくるだろう。
ホロスコープで一番高い場所を担当する山羊座の役割とは、「本質」を明らかにすることである。個人/企業/国、それぞれの本質とは何か、結局、私/私たちは何者なのかを明らかにしていくこと、それが山羊座の目標である。
つまり、天体が山羊座を運行しているときこそ、自分の本質に立ち返るチャンスだということだ。
そうなると、某アイドルたちのように、ペルソナは崩壊し、真の自分らしさを求め始めるようになるだろう。
好きでもない仕事はより好きでなくなるし、お愛想ばかりの関係は窮屈になってくる。インチキは立ち行かなくなるし、「なんとなく」の活動は意味をなさなくなるはずだ。
自分にふさわしいもの、時間をかけて育んできたもの、「本性」「らしさ」と言われるものが残り、それがホロスコープの一番高いMC=看板として残っていくことになる。
今、実感できているあなたの「らしさ」とはどのようなものだろうか。
木星、土星は、秋分の3か月の間に山羊座から水瓶座へと移動し、個性化の最終段階を迎える。山羊座の段階で「本質」が見えていれば、水瓶座で価値の肉付けが行われていくだろう。自他ともに、矛盾のない個性が完成していくということだ。
でも、もしそうでないとしたら…
以下のチャートは2020年秋分図である。春分図、夏至図に続き、今回もASCは蟹座になっているのがわかるだろう。しかし、秋分図の蟹座は、これまでのテーマと違った意味になるかもしれない。
秋分図は、4つの季節の起承転結の「転」にあたり、物事に動きが起こる時期と考えられる。政治、経済、人々の動きも活発になり、その動きの中で、未来に向けた新しい流れを体験する。今期はアメリカ大統領戦もあり、選挙結果によっては、外交の戦略や経済の動きも変化するということは容易に想像できる。
また、天秤座、蠍座と続く秋分の季節は、水面下に隠されていた問題が浮上する期間でもある。菅内閣の人事の脆弱性、企業や組織内のほころび、関係性の不安材料、個人の恐れや不安、そういったものが表面化することもある。山羊座のもう一つのテーマ——問題の現実的解決——とともに、この時期に解消しておくことで、冬至へのうまいバトンタッチができるかもしれない。
今期のASC蟹座は、まずは既に必要がなくなった防衛、習慣、不安を思い切って手放すことだ。心を守ること、生活を安全に整えることも大事だけれど、まだ見ぬ未来への恐れや不安に縛られている限り、自分の本質を生きることは難しい。
本当に大切なことってなんだ?
どんなふうに生きていきたいんだっけ?
自分を守っているときには、人はそんな簡単なことも忘れてしまうものだ。
コロナウィルスも秋以降の感染拡大の不安は残っている。ワクチンの開発は思ったように進んでいない。だからこそ、今後を生き抜くためにも、守りだけではなく、攻めに転じることも秋分の季節には必要になるだろう。
ということで、秋分の時期に取り組むべきテーマは、山羊座カスプから始まる場所。つまり、7ハウス、8ハウス、まさに秋分の季節にふさわしいテーマである。
菅内閣の特に弱点となると言われている外交手腕。今回はそこにひとつ注目である。日本という国の存在意義をどう示していくのかをじっくり見ていきたい。
個人や企業も同様に、自分の魅力、個性を売り込む期間として何ができるのかを考えていく期間になる。外向きに金星力(天秤座の支配星)を磨くことで、山羊座的本質が見えてくるのだ。「私にはこういった個性があるのだ」という確認は、頭の中で考えていても、イメージに浸ってみてもダメだ。実際、周囲にぶつけてみて初めて、自分の本質が見えてくるというのが、ホロスコープの天秤座→山羊座の流れである。
そして、今回のチャートが一番力を持っているのは、天秤座・太陽と獅子座・金星のミューチュアルレセプションだ。この配置を受け、外へと存在を押し広げる動きは理にかなっているといえるだろう。
また6ハウス、海王星―木星的な配置から、コロナウィルスに対する警戒は残るものの、ミューチュアルレセプションの影響により、3ハウスの活性化から、GoToトラベルといった国内の観光、流通がしばらく活発になっていく様子も見える。ご祝儀相場がいつまで続くかわからないが、株価も堅調な動きを見せている。
政治も動く。人も動く。ならば、秋分の3か月間は、心のおもむくまま、自分らしい動きをつくってみよう。そして、山羊座の「本質」を明らかにするというテーマを意識し、自分の「らしさ」を外向きに表現する機会をつくっていこう。
天体の品位=エッセンシャルディグニティによると、山羊座の土星は最後の5度に、より力を増していく。12/16まで、真摯に私のMC=看板に向き合ってみたい。
私にとって、2020年の天体配置の目玉のもう一つとなる火星のテーマを最後に加えておこうと思う。
79年ぶりとなる牡羊座だけでの火星の逆行は、冥王星と並んで2020年のテーマに非常に大事な意味を持っているのではないかと思う。
ここ最近、芸能人が自ら命を絶つというニュースをよく目にする。
この世は生きるだけでも大変なのだ。
菅内閣だ、トランプ政権だ、いろいろ話題になっているけれど、本当はそんなことはどうでもいいことなのだ。
生きること。ただ、負けないように生きること。
上も下も右も左も関係なく、自分そのものをやってみること。
火星の逆行が終わり、冥王星・木星が形成される11/13以降、私たちはきっと、もっと強くなっていく必要がある流れを体験することになるだろう。
だからこそ、天秤座期は守りではなく、太陽と金星のミューチュアルレセプション、自分の個性を生きることの喜びを、そして、それが少しでも他の誰かに届くような、外向きの活動に向かっていくことが大切になるのかもしれない。