占星術の基本的な考え方に「As above , So below 上なる如く下もまた然り」というのがある。天で起こることは国にも起こり、そして社会や個人も国のごとくまた然りということだ。
国の失策が続いている。ワクチンの開発はおろか、コロナ禍の二年目を迎えてもなお、国の打った感染拡大防止策は緊急事態宣言による行動制限の要請のみ。全国各地で医療現場はひっ迫し続け、飲食店や百貨店も息絶え絶え、そしてさらに緊急事態宣言の期限延長のニュースが飛び込んできた。
決定的なコロナ対策が示されない中での期限延長。先の見えない中途半端な状況に対し、飲食店でなくても「いい加減にしてくれ」と叫びたくなる。
多くの人たちが疲弊し、政府のコロナ対策に振り回され、すっかりやる気をなくしているという。こんな中でオリンピックなんて自殺行為だ。開催しようなんて頭がおかしい。
そんな声がいたるところで上がっている。
では、このままなし崩し的にオリンピック開催に対し白旗を上げるのは、国として賢明な策なのだろうか。
オリンピック開催が決まったのは、今から8年前の2013年9月7日。1964年、高度経済成長期の真っただ中に開催された東京オリンピックの記憶も色濃く、再びその夢を見ようと日本全体が開催決定に歓迎ムードだった。
1867年に開催されたパリ万博も同様、国際的なイベントには政治的な目的だけではない人類の全体の文化的、または科学的な発展への期待がある。
2008年に開催された北京オリンピックも然り。開催前から施設の不備などが危ぶまれたが、中国は無事ホスト国を務めあげ、国際社会での存在感を示すこととなった。その後、2010年にはGDP規模で日本を追い抜き、アメリカ合衆国に次ぐ世界第二位の経済大国となった。
一方、日本はこの8年、オリンピック開催に向けて着実な発展を見せることができたのだろうか。何かしらの分野で世界に抜きん出ることができたのだろうか。
答えはNOだろう。実際、コロナ禍においても日本のIT化の遅れは顕著であったし、電気自動車の販売台数も中国を先頭にアメリカ、欧州と続き、日本だけが足踏み状態のまま。医療も教育も先進国と言えない状況の中にいる。
そして、コロナ感染者の増加も防げぬまま、国民に我慢だけさせる政策しか取れず、誰も前向きにオリンピックを、未来の社会を語れない状況がただただ続いている。
先進国として、このまま白旗を上げるだけでいいのだろうか。
「オリンピックを政治利用にされている!」と開催中止を叫ぶだけが国民としてできることなのだろうか。未来を生きる子供たちに対し、単に後ろ向きの選択としか思えない決断をする姿を見せるのが果たして教育なのだろうか。
規制もできず、かと言って大胆な政策も取れず、まったくなんとお粗末な政治なのだろう。
また、個人はどうなのだろう。「上なる如く下もまた然り」というのなら、国家のこの無策ぶりは、個人のテーマにもつながっているのではないだろうか。
根本的な問題にまでメスを入れず、場当たり的に問題を解決しようとしてはいないだろうか。自分に甘く人にも甘く、なあなあな中でお茶を濁したりしていないだろうか。そのうちに気力やヤル気を喪失し、その日を静かにやり過ごすことだけを考え、すっかり自信喪失してしまってはいないだろうか。
まるで今の日本のように、「かつて輝いていた自分」を懐かしみ、できる限り省エネで「できること」だけをやり、新しいチャレンジを忘れてしまってはいないだろうか。
5月26日は今年最大のスーパームーンであり、三年ぶりの皆既月食ということもあり、世間はにぎわっている。また、5月16日から木星が魚座にイングレスし、風エレメント・双子座期であるにもかかわらず、月、魚座・水エレメントと陰がかなり極まっているのがわかる。
低きに流れ、安全な環境にとどまり、過去を懐かしむ暮らしを続けるのか、それとも少しでも理想に近づく努力ができるか。ふがいない国/個人を解消し、独立した個人としての、また先進国としてのプライドを取り戻すことができるか、今、私たちは大事な局面に立っているのではないだろうか。
ここで本気で立て直そうと思ったら、二つのテーマが重要になるだろう。
2021年双子座期のイングレスチャートを見てみたい。
MC付近、一番高いところにカルミネートしており、またルーラーとして力のある水瓶座・土星にまずは注目だ。
火星ワークショップのフォローアップ動画でもお伝えした通り、ここはやはり「自分を甘やかさない」という厳しさと自分の言動に責任感を持ち、ダメな自分/国からの脱却を目指すときが来たと解釈できる。
もういつまでもぐずぐずやっていられない。客観的にダメな自分を見つめ、現状を把握し、片づけるべき問題は片づけ、好きなことだけやる人生は終わりにし、苦手を避けず、とにかく結果が出るまでやり抜く。結果の良しあしではなく、その姿勢が価値を持つことにきっとなるだろう。
もう一つ鍵になるのは、1ハウスの強調、双子座の支配星である水星と海王星、そして不動サインで形成される土星、天王星の90度の利用の仕方だ。これこそ、まさにパリ万博的(パリ万博も水瓶座と魚座の木星の行ったり来たりの中での開催だった)であり、「未来への価値の創造」がテーマとなっているのがわかる。
双子座は生き抜くための競争原理をつかさどっている。生物だって生き残りをかけ進化を繰り返してきた。環境に適応するためにとどまることなく変化を重ね、学び続けてきたではないか? それがこの1ハウスの強調に表れているだろう。
今こそ、日本は世界に向けて、アイデアと知性を看板に進化する姿を見せるときではないだろうか。2016年、リオ・デ・ジャネイロオリンピックの閉会式で「日本のクリエイティブな側面が聴衆を驚かせ、歓喜に導いた」「東京五輪の興奮の幕開けとしては、これ以上のものはなかった」と世界に言わせたスーパーマリオの演出のように、そしてアポロンの竪琴の発明者であるヘルメスのように、斬新でユニークなクリエイティビティを発揮することは、日本の得意分野だったのではないだろうか。
オリンピックを開催しようがしまいが、国際社会で生き抜く国力を手にする必要は間違いなくある。それと同時に、個人も投げやりな姿勢から自分を取り戻していく必要がある。
ASC太陽と双子座水星、そしてMCの土星を意識し、この双子座期を存在の力と存在の価値をつくる時期と心得え、前向きに過ごしてみるのはどうだろうか。
ヘルメスがその技術やアイデアでアポロンの右腕になったように、国/企業/個人も自分だけのアポロンの竪琴を手にしておきたい。それが未来をつくる力になるに違いない。
オリュンポス十二神の一人。神々の伝令使、とりわけゼウスの使いであり、旅人、商人などの守護神である[1]。能弁、境界、体育技能、発明、策略、夢と眠りの神、死出の旅路の案内者などとも言われ、多面的な性格を持つ神である。その聖鳥は朱鷺および雄鶏。幸運と富を司り、狡知に富み詐術に長けた計略の神、早足で駆ける者、牧畜、盗人、賭博、商人、交易、交通、道路、市場、競技、体育などの神であるとともに、雄弁と音楽の神であり、竪琴、笛、数、アルファベット、天文学、度量衡などを発明し、火の起こし方を発見した知恵者とされた。プロメーテウスと並んでギリシア神話のトリックスター的存在であり、文化英雄としての面を有する。
(中略)
ローマ神話におけるメルクリウス(マーキュリー)に相当する[1]。水星はギリシアではヘルメースの星といわれ、これはローマ人にも受け継がれた。現代ヨーロッパ諸語でメルクリウスに相当する語を水星に当てるのはこのためである。
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