あまりの忙しさで、ここ2回ほど更新ができなかったが、その間にも世界は目まぐるしく変化していた。世界はどこへ向かおうとしているのだろうか。
7/19(火)に行った勉強会では、冥王星と海王星が終わりの度数へと差し掛かっていることから、それぞれのテーマの総仕上げに入ったのではないかという話をした。
▲ダイジェスト動画では冥王星&海王星逆行、木星の影響についてご紹介(約17分)
2023年の3月、冥王星は一度水瓶座入りすることを考えると、ますます冥王星の影響が強く出るだろうか。これまで未解決になっている山羊座的諸問題——変わりゆく国の在り方、権威に対する不信感、年金、医療などの社会構造や制度の不備、安全保障、物不足、物価高の問題など——がいよいよ明らかになり、人々の不安や不満が噴出してくると考えられるだろう。
しかし、思惑通りに物事が運ばない、思ってもみなかった方向へと運ばれていくというのが、冥王星や海王星の特徴、それがトランスサタニアンのエネルギーなのだ。それは、個人/企業/国家、あらゆる次元で体験することになる。たとえばプーチン大統領の、ゼレンスキー大統領の、岸田首相の思い通りに運ぶことはないということ。穀物輸出再開に向けた合意文書に署名した直後にロシアは攻撃を再開し、国内では「国葬反対」の声は大きくなるばかり。それぞれの思惑や正義がぶつかり合い、お互い、進みたい方へと進めないジレンマを抱えている。
これは国家の問題だけではなく、企業や個人にも言えることだ。
歩みが進まない、自分の力が及ばない、今、そんな印象を持っている個人も企業も多いのではないだろうか。コロナ感染拡大といった外的要因もあるだろうが、先が見えない中で進んでいくことの不安、自信のなさというのも大いにありそうだ。個人/企業/国家それぞれがそれぞれに、もっともふさわしい在り方、自分たちにとっての正解を模索している。
この時期に勝つのは、やはり思いの強さだったりするのだろうか。目的の明確さが必要になるだろうか。どこへ向かって進もうとしているのか、進む先を曖昧なままにしていると、時代に、人に翻弄されるばかり、消耗するばかりで、不安ばかりが募るだろう。
だから、どんな時代になろうが進む方向だけははっきりしておくこと。それがとても小さく、ささやかなものであっても、きっと不安は少なく、歩みは確かになるだろう。
コロナウイルスだけではなくサル痘、噴火や山火事といった予測不能な出来事は、これからも次々に押し寄せてくるだろう。しかし実際は、人知を超えた力のあるところに学びや進化がある。次から次へを押し寄せる見える敵、見えざる敵に対して知恵をどう働かせるか、サバイバルのためのチャレンジはこれからも続いていくのだ。
▲ 2022年獅子座期のイングレスチャート
夏至図も、そして獅子座期のイングレスチャートもASC(アセンダント)は火のエレメントである。それが前述の「どんな時代になろうが進む方向だけははっきりしておくこと。それがとても小さく、ささやかなものであっても、自分の意思が反映された道なら、きっと不安は少なく、歩みは確かになるだろう」につながっている。
そうなると反発は当然だ。なぜなら、自分の意思を明らかにすれば、自分の意思に反したものとは敵対しやすくなる。しかし、そこから進んでいくしかないのではないか。まずは一旦、決断する。その後、また検討するなり、変更するなりすればいい。
その際、注意すべきは「情緒」である。
福沢諭吉はこのように言っている。
他人と他人との附合には情実を用ゆ可らず、必ず規則約束なる者を作り、互いに之を守て厘毛の差を争ひ、双方共に却て圓く治るものにて、此即ち国法の起りし由縁なり
家族であっても国家であっても、それぞれは他人同士の関係なのだから、情実=情緒などを持ち出し相手に迫るのではなく、規則や約束を用い、お互いに主張をぶつけてこそ、最終的にお互い丸く収めることができる、そういった価値観に基づいて国法をつくるべきだということだ。
世界のリーダーから、このような人物を探す方が今は難しいが、それぞれが感情的になったら、よい国/企業/個人といった関係性は生まれないだろう。だからこそ、これから時間をかけて––占星術的な構造で考えれば火→地→風→水といった順番で––物事を組み立てていけばいい。それが夏至図の牡羊座木星、火星のテーマにつながっていたのだろう。
そして、夏至図読みの勉強会ではこんな話もした。
本日の結論ですが、日本経済を「水瓶座土星の間に立て直す」ことです。ここで尻つぼみ保守的な守りに入ってしまい設備投資をないがしろにしていけば、今後30年がまた失われ、さらに失われた30年がやってきてしまいます。内向き思考・保守的で立ち直れないままではなく、「未来に向けての投資」が重要です。本日のチャートでわかる通り、そこ(未来への投資)をせずして何をするのかと考えます。安定志向とは、自分自身・国・会社の能力というのを制限してしまいます。
▲土星のサイクルを元に、日本経済の失われた30年の敗因を考察(約20分)
夏至図で表されている5ハウスのテーマ、また獅子座イングレスチャートのASCのテーマを考えても、未来への投資はやはり生き抜く力になっていくと考えることができそうだ。
ビジネスカウンセリングの相談でも、最近は設備投資、人材への投資のための資金調達といったことが話題になることが圧倒的に多い。
また、ビジネスだけでなく個人の人生相談でも、「では、私はいったい何に賭けるか」という悩みが語られている。限られたリソースを使って何をするか何をしないか、何ができるかできないか、そのように制限を設け、明確な輪郭を描き、自己像をクリアにしたい、そんな話題が頻繁に挙がっている。
それには、前回「今月の言葉」で紹介した作家の西村賢太の言葉が参考になるだろう。
小説としては、本来かなり致命的な制約を受けた中でひたすらに足元のみを掘り下げると云う、まことチンケな小世界の探究も、しかし一切の逃げ場がないぶん、小説の作法としては案外にスリリングな実験と冒険の実践と云った面もないではない。
決意、決断し、あえて逃げ場のない制約を設けることによって、自分の力を試す面白さを味わえるのだということだ。
コロナも円安物価高もそう簡単には改善されることはない。冥王星のラストスパート、主権争いのための駆け引きはヒートアップするかもしれない。各々の正義がぶつかり合い、ここからもっと「何が正解かわからない」そんな流れが世界にあふれることだろう。未来によい材料がないからこそ、自分なりの進むべき道、小さいながらも自分なりの決心をし、その未来に賭けてみる。
何か決断しなければならないときも自分にこう問いかけてみるといいだろう。
この選択は、自分の未来を豊かにしてくれるものなのだろうか。
人はこの選択に魅力や価値を感じてくれるだろうか。
また、人/企業/国への評価もこのように考えることもできるかもしれない。
この選択は、私たちの未来にどのような影響を与えるものなのだろうか。
この選択は、私たちにどんなわくわくした気持ちを与えてくれるだろうか。
何はともあれ、手探りで模索しながらも自分の小さい一歩を踏み、自分にとって大切な価値を見つける。牡羊座木星、牡牛座の火星とともに、火→地をまずはやってみる。
それが今期の獅子座期のふるまいに必要なことではないだろうか。