今、「時期読みパーフェクトマスター講座」という、私にとっても受講生にとってもチャレンジングな講座を開催している。タレントのタモリではないけれど、うっかり「新しい戦前」と口にしたくなる空気に世界中が覆われているような時代に、占星術はどんな象徴を提示できるのだろうか、そんなことを大真面目に考える講座だ。
6ヶ月間にわたる第一部が終わり、先月から始まった第二部では、いよいよ月相、四季図、天体の運行を読み解きながら「時代をとらえる」という、おそらくもっとも難易度が高く(私にとっては)、そして占星術を学ぶ以上避けては通れない学びへと歩を進めた。
新月・上弦・満月・下弦という月と太陽の運行の切っても切り離せない仕組みの理解、そして、その流れをまずは私ごととして実感し、表現していく練習を重ね、先週行われたクラスでは、太陽水瓶座から魚座の流れとその背景で形成されている月の運行と共に織りなす物語を考える練習をした。
そこで私が強調して伝えたのは、土星が水瓶座から魚座へと動く、その大きな節目を前に、最後の不動サインの月と太陽が放つ光、それらが伝えようとしているメッセージとは何か? そこを見逃さないようにし、次の土星・魚座期のテーマについて考えてみるのはどうか、ということだった。
実際、追いかけてみるとよくわかる。月が不動サインを移動しながら、水瓶座の太陽、土星とトランスレーション(移動し、その光を交換し合う)しながら進み、時代の課題を認識し、新しい意識をつくり出そうとしている。そこで見えてきたテーマはどのようなものだろうか。そんなことを講座で話し合った。
土星がひとつのサインを運行中に太陽とコンジャンクションというコンタクトを取るのは、現に数えるほどしかない。水瓶座期は2021年1月24日、2022年2月5日、2023年2月17日の3回、土星・魚座期は2024年2月29日、2025年3月12日のたった2回である。このタイミングでそれぞれのサインに必要な課題を認識し、検討し、解決へと向かう流れを作っていくことが大事になる。
では、土星・水瓶座期の最後の一ヶ月、私たちはどのような課題を意識する必要があったのだろうか。それが未解決な場合、魚座にどんなテーマを託せばいいのだろうか。
日本としては大きく二つの不動サイン的課題——主に力と価値の限界——が見えてきたのではないかということ。
一つ目は、今起こっているあらゆる事象——ウクライナ侵攻、トルコ・シリア地震、米中問題、日本の軍事費増税、五輪問題等——は、おしなべて一つ前の不動サイン・蠍座的なテーマが未解決であることに起因しているのではないか。軍事力、経済力による格差と覇権争いの問題、価値観の違いを乗り越えられないままに進められていく政策、話し合いではなく力で圧倒しようという支配的な姿勢、身内の利益を尊重し、考慮すべき価値が失われてしまった事実、こういった諸々は水瓶座期の中で浮き彫りになった不動サイン・蠍座のテーマであるように思われる。
大竹弘二が「公開性の根源」で書いている
いかに絶対的な権力者といえども、所詮は一個の有限な人間存在にすぎないことから来る限界である。絶対君主であっても、否むしろ絶対的君主ほど、自らに与えられた根源と自らの人間能力の限界との齟齬に悩まされる
これは、まさに今のプーチン政権の限界、もしかしたら故安倍首相の限界ともいえそうだ。が、このようにして「力」または支配による「関係性」の限界があらわになったことで、ようやく水瓶座的価値——NATOに加盟するのか、GDP2%の防衛費なのか、同等の力を得るために他の選択肢はないのか、そもそも対等な協力関係とは何ぞや…といった議論へと向かうのだろう。
二つ目は、日本という国の価値そのものの見直しに迫られたこと。これは、不動サイン・牡牛座―獅子座のテーマになるだろうか。
これまで価値だと信じていた/信じたかったものが、実はすでに失われていたという事実。過去最大の貿易赤字、デジタル赤字4.7兆円(海外のIT企業への支払金額)にみられる技術サービスの圧倒的な国際競争力の低下などはもちろん、ジェンダーギャップ指数は先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となった(荒木首相秘書官の差別発言は、諸外国からもバッシングされたのは記憶に新しい。これも水瓶座期で起こった出来事である)。
2025年問題を抱え、あらゆるものをアウトソースしないと暮らしそのものを賄えない国はこれからどこへ向かおうとしているのだろうか。未来の競争力、抑止力を育てるためにも、日本という国の価値を生み出していく努力、新たな価値の創出、そのための努力はこれからも必須となるに違いない。まさに次の柔軟サイン・魚座にバトンを渡すことになるだろう。
これらは、もちろん企業や個人にとっても重要なテーマとなる。
価値観の違う者同士とどのように世界を共にしていくのか。その関係性はパワーバランスが取れているだろうか。自ら価値を貶め、理不尽な関係にとどまっていないだろうか。また逆に自分の価値を守ろうとするあまり、他者を拒絶してしまってはいないだろうか。
自分の価値、魅力に失望することはあっただろうか。人生100年時代、未来の価値の創出はできているだろうか。稼ぐ力はどうか、貯めたものを必要に応じて循環させることはできているか。アウトソースばかりで、自分の資源の目減りを感じることはないだろうか。マスコミやSNS、周囲の人々の情報に振り回されることなく、自分自身のサイズに合った生活はできているだろうか。
不動サイン的な課題が明確になったら、それを魚座土星へと持ち込み、ここから新たにそれを見直す必要があるかもしれない。
昨日3月7日、土星は魚座入りした。ここから、2026年2月13日まで土星は魚座を運行する。この魚座土星の話こそ、3/21の月イチ勉強会、4/1の時期読みパーフェクトマスター講座でじっくり解説したい。土星・魚座期における成長のステップ、特にファーストステップについてお伝えする、物事は最初が肝心なのだ。
冒頭の時期読みパーフェクトマスター講座では、様々なサイン、天体の象意の見直しをしているが、魚座・木星・海王星・12ハウスほど書き換えが進んだものはない。
まず天体が魚座に入ったとき、多くの物事が自分の理想通りに進んでいないことに失望を感じることになるだろう。プーチンにはプーチンの、ゼレンスキーにはゼレンスキーの‘当初、描いていた思惑や理想があり、けれど現 実にはそううまくはいかず、3日で侵攻は終わらず、NATOにも加盟できず、いまだ攻防は続いている。
理想の描き方が間違っていたのかもしれない。自分の力を見誤ったか、相手を理想化しすぎたのか、もう一度、ここで不都合な真実を見つめ直すこと、それがいわゆる「内省的」と言われる柔軟サイン・魚座=海王星における最初の振る舞いになるだろう(柔軟サインとは、学びや知恵、自己の成長という意味がある)。
内省とは、「自分の考えや言動、行動、感情について深く省みる」ということ。英語ではこれをreflection、自分の姿を鏡に映し出し、その姿を再確認、再考、熟考することだが、これは決して後ろ向きの作業ではない。むしろ、より発展的な未来のために一度立ち止まり、機能していない理想を手放し、「今ここ」の現実を冷静に捉え直す。その結果、自分にふさわしい未来に向けて、新しい一歩を踏み出すことになる。
ロケット打ち上げ失敗も日韓関係も、国/企業/個人それぞれの次元でも、この先同じ轍を踏まないためにも、この作業にどれだけ真摯に向き合えるのかが大事になるだろう。
それらがこのイングレスチャートにも示されている。
魚座・海王星・12ハウスの強調、そして1ハウス・牡羊座のインターセプトは、早急な行動ではなく、じっくりと策を練ることを要求しているように見えるではないか。
また、「内省」と似た振る舞いとして、「総括」という作業も魚座期らしいものかもしれない。Webio辞典によると、総括とは「物事をひとつにひっくるめること。ばらばらになっているものを一つの全体の中に収めること。全体をとりまとめること。行ってきた活動や取り組みを評価し、その成果や反省点を振り返ること。活動全体の締めくくりなどに行われる」という意味になる。まさに今時期にふさわしい活動であり、12サイン最後の魚座にふさわしい振る舞いだろう。
国や企業だけではなく、私たち個人もばらばらになっている物事を、一旦一つの全体の中に収めてみることをやってみるといいだろう。
今やっていることの成果、そして反省点を丁寧に振り返り、その在り方や意味を考えてみる。
この仕事は~
この活動は~
この関係は~
それを考える中で自分の輪郭と進むべき未来がクリアになってくる。
内省、総括ができたら、魚座土星イングレス、太陽魚座期のステップとして、そこから自分なりの「教訓」というのを引き出しておくといいだろう。
「教訓」とは、柔軟サインの最後の魚座にもっともふさわしい言葉である。私たち人間は愚かな生き物なので過去からしか学べないことがあるのだ。
ウクライナ侵攻からまる1年…
五輪談合事件、電通など6社と7人を提訴…
東日本大震災から12年…
新聞各紙には、こんな記載がある。
侵略戦争がおきたとき、力の論理だけではない抑止をどう働かせるか。中ロと米欧の間にある国々の協力を得なければ、戦争は止められない。1年経っても終わりが見えない侵略の重い教訓だ。
2023/2/24 朝日新聞 朝刊
事件は、民間に依存した野放策の帰結といえる。眼をそむけたくなるような「負のレガシー」を直視し、くみ取った教訓を次に生かすこと。それこそが、五輪事件の意義だろう。
2023/3/1 産経新聞 朝刊
また、震災に限っては、「震災の記憶と教訓を未来へつなぐ」「震災の教訓を次世代に」という言葉が並ぶ。
「生きた知恵」から得る学びは、もっとも豊かでもっとも切実な学びになるが、それを受け取るためには、こちらも聞く耳を持たなければならない。トルコ地震の違法建築の横行も、原発再稼働も、教訓はそれを生かすも殺すも、私たち受け手次第なのだ。
牡羊座から始まった物語は、魚座で着地し、また魚座で新しい未来の息吹を吹き込むことになる。
今、皆さんはどのような内省を行い、どのような教訓を得ることができているだろうか。
これまでのことを踏まえて、私はこれから~していこう
今は、ひとまずこのような手ごたえを感じられるといい。
これから2026年2月13日まで(牡羊座との行ったり来たりになる)の約3年間、私たちは常に、期待通りに行かないという失望、そこからの内省、そして教訓を手に、また前へと進んでいくのを繰り返すことになるだろう。
では、そこから魚座はどのような成長のステップを踏んでいくのか。それはまたの機会にお話ししたいと思う。
お知らせ +:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+:-:+: -:
>>> 3/21(祝)開催 <<<
2023春分! 恒例の四季図読み
ネイタルチャートの月を考える(柔軟宮編)
第一部では、三ヶ月に一度の恒例「四季図リーディング」。
今回は春分図を読み解きます。
春分は、占星術のはじまりである牡羊座に太陽が入り、あらたな一年の起点となるとき。
この勉強会の前後には、土星、冥王星といった大きな天体の移動もありますね。
気になる2023年以降の動きについて、参加者の皆さんとともにあらためて考えてみたいと思います。
通常は、受講生のみ参加できる勉強会の内容ですが、三ヶ月に一度の季節図読み会では、受講生以外の方の参加も可能です(ただし、お顔出し&ライブ参加可能な方のみとなります)
第二部は、ここ数ヶ月続いている参加者の月の成長物語の検証。
長らくお待たせしてしまった、「柔軟宮の月」を取り上げます。
nicoの心理占星術では、太陽と月は人生を通してのモチベーションと捉えていること、「月」に示される心の原風景が職業や生き方の選択に影響を及ぼしていることを確認しています。
個人天体と呼ばれる5天体の中でのバランス、アスペクトなどから、その人の月がどのような成長の過程をたどってきたのか。
最近、講座に参加し初めた方はもちろん、ベテランさんにも
「わかったつもりで伝えていること」を捉え直すよい機会にしていきたいと思います。
日 時: 3/21(火)10:00~12:00
参加費: 3,300円
ライブ受講、録画受講をお選びください。
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2023年春分!
牡羊座のスタートと共に
生きた占星術を学んでみませんか
生きた「占星術」を学ぶ講座
nicoの心理占星術講座には、何らかのかたちで占星術を学ばれてきた経験者の方が多く参加しています。
ですが、「占星術の知識がぜんぜん使えるようにならなくて…」との声が多く聞かれるのは、なぜなのでしょうか。
nico の「生きた心理占星術」とは、現場第一主義。リアルな人生の悩みや葛藤に触れないままでは、占星術で扱う象徴の意味や理解の広がりには至りません。
そのため、すべての講座に共通して、個人が抱えやすい生きにくさ、人生の葛藤、乗り越えた喜びなど、ホロスコープを通じて、多くの人生を垣間見るテーマを数多く取り上げます。今を生きるわたしたちと象徴を結び付ける練習を繰り返し行うことで、はじめて「使える」道具としての占星術が実現するのです。
ホロスコープを「知り」「使える」道具にすることは、自分の人生を新しくはじめることにつながります。
2023年こそ、心理占星術を学んでみませんか。