第4回:家族の力学、月冥王星~依存からの脱出と自立への挑戦(前編)

いまを生きる子ども達と、それに関わる大人たち。

正解のない時代の子育てに、心理占星術を役立てみようというニコラボ 子育て研究会。

 

これまでは主に、お子さんの成長過程において家族がどのように関与できるのか、について考えてきました。

そこから見えてきたのは、具体的な手助けやアクションの前に、まずは子どもの見ている風景に理解を示すこと。その見えない風景を可視化するのには、ホロスコープが手掛かりとなり、とても有用なツールであるということ。

 

そこで、今回は少し目線を変えたテーマに挑みます。

既に独立し家庭を持たれた成人男性のケースを取り上げ、自立のための挑戦と親子間での葛藤をホロスコープで検証しました。

 

貴重な事例を提供くださったのは、「子育てに失敗したと思っていたし、コンプレックスでしかなかった」という和佳さん。

一般的な占星術で「依存」「毒親」の象徴とも言われる月冥王星のアスペクトを家族全員がお持ちです。親と子は、それぞれの立場でどのように克服していけたらよいのでしょうか。

 

月冥王星、依存からの脱出

nico: 今回は、既に独立された33歳の息子さんと両親、ご家族三人のホロスコープを検証してみます。

息子さんは仕事でも成果をあげ、ご結婚もされている立派な成人男性です。しかし、母親である和佳さんは、長年にわたり息子さんと相入れることがなく、ご自身の子育てについてはずっとコンプレックスを抱いていたそうです。ある時、息子さんに「わたしは子育てに失敗した」と伝えたところ「それは俺に失礼だろ!」と言われたという、なかなかなエピソードをお持ちです。

家族間でどのような葛藤があったのか、また自立となる転機やきっかけはどのようにあらわされるのかを見ていきましょう。

まず、ご主人は月と冥王星のコンジャンクションがありますね。

続いて、息子さんは軸上に月と冥王星のコンジャンクション、オポジションで太陽・木星・水星がありますね。

そして、和佳さんも太陽・冥王星・水星のコンジャンクションに、月がオポジションしています。

 

配置も似ています。家族とはいえ、ここまでホロスコープが似ていなくてもよいのでは? というくらい、全員が月と冥王星をテーマにお持ちです。

 

冥王星と依存の関係は別途見ていきますが......ご夫婦がお互いに依存しあっている配置です。

 

こうしたややこしい依存関係にある夫婦の間でーーお母さんを前にして言葉が悪いのですがーー息子さんはある意味すごく勇気がありますね。

 

息子さんは月・冥王星のコンジャンクションがあるにも関わらず自立された。そうした力を持っていたのはありがたいと思ったほうがよいですね。

 

 

和佳さん: わたし自身はこれまで自分らしさを持てなくて、ずっと苦しかったなという感じはあります。夫の家族といろいろあったとき、「私が変わればすべてよくなるんだから」とずっと夫に言われ続けていたんです。だけど私は、「ありのままの私じゃいけないのか」そんな悩みを持ちながら、子育てをしてきました。

 

nico: その「ありのままの私」を分かってもらえない、という気持ちは息子さんも同じですよね。

 

和佳さん: そうですよね......。ホロスコープを見るまで、全然、気が付きませんでしたし、考えたこともなかったです。(夫の家族が)関わってくるのが当たり前でしたから、自分の中に不満はたくさんありましたけど、疑問には思いませんでした。違う世界があるとは見えなかったです。

nico: 大体、占星術では、冥王星が太陽や月と絡んでいると、親の問題と言われていますが、息子さんが月・冥王星を持っていると分かったとき、どう思いましたか。

和佳さん: 強烈でウザイ感じの母親が近くにいるのかなと思いました。そのときは、あまりピンときませんでしたが、友達が私たち家族のホロスコープをはじめて見たときに、「あなたたち、みんな月と冥王星が絡んでいてかわいそうだね、大変だね」と言われたのを覚えています。

 

nico: 「かわいそうだね」というだけでは厳しい感じですね。むしろ、月・冥王星を克服できる可能性や扱い方を考えていかないといけません。月・冥王星の捉え方を書き換え、使い方を変えていくしかありませんが、ご自身は今どんな段階にいますか。

 

和佳さん: 今は、自分からは関与しません。息子から求められたら対応していけばいいのかなと思っています。これまでは、全部自分がやらなければならないと思っていて、自分から指示を出したり、余計なことまでしていたのですが......。今は、息子から言われたときに、自分に出来ることだったら対応すればいいのかな、と捉えるようになってきました。

 

nico: 冥王星について簡単に復習しておきましょう。冥王星は、誰かの強い価値観や思い――大体の場合、強い母親――によって、自分自身がコントロールされていくような感覚がある。
自分の思い通りにならないという体験が原点としてあるのではないか。それが、月・冥王星のひとつの考え方です。

これ以外にも、過干渉や構われすぎにより「(自分より)価値や力がある相手からコントロールされる」=「自分は無力で価値のない人間なんだ」という無力感を感じやすいのです。

 

このように、ホロスコープで冥王星の影響が強くある人は、まずは火星の復活しかありません。

先ほどの「お前が変われば~」というご主人のエピソード=自分は変わらずに人が変わればいいというのは、依存の極みのような話に他なりません。でも、だいぶ時間がかかりましたが、和佳さんは、昨日やっと、ご主人に「自分のことは自分でやってください」と言えるようになったそうですね。

 

和佳さん: はい(笑)

 

nico: もう息子さんは独立されていますし勝手にやるでしょうから、和佳さん自身が勇気を持って自立していく姿を見せることが、家族のパワーバランスを変えていけるでしょう。それぞれが自立・独立し、自分のことは自分でできるように。それが、家族3人の大いなる目標になると思います。

 

月冥王星の自立への挑戦、他者との交流

nico: では、家族の力学が確認できたところで、息子さんの自立を見ていきましょう。

息子さんのチャートは、ASC-DSC軸にエネルギーが強く働いています。息子さんが自立したきっかけは何かありますか。

 

 

和佳さん: 33歳ですが、まだ自立しているようで、していないところもあるかもしれません。夫からは私がいろいろ口出ししすぎるとか、甘やかしすぎるとかすごく言われます。自立の

きっかけは、「大学を辞める」と言い出したあたりからでしょうか。

 

nico: 冥王星・月を持っている人にとっての自立・独立とは、先ず火星になる(=独立独歩)というのが第一歩となります。息子さんは、親から離れ、自分のお金で自分の生活をマネージすることができ、自分の人生をきちんと確立できている。しかし、それだけでは未完成であり、次の段階に進めなくてはなりません。

 

月・冥王星を持っていると、自分の信頼している人、親しい人しか受け入れないところがありがちです。つまり、他者との断絶があるのです。ご主人や息子さんの場合は交友関係が狭いような感じがしますがどうでしょうか。

他者が入ってきて、自分の中にいろいろな価値観が入ってくるのが嫌なんです。だから、これ以上、自分を乱すような価値観を入れないように、他人と断絶しやすい。

息子さんの次なる目標は、奥さんとふたりの蜜月の関係から他者を交えた関係に発展していくこと。そうしないと、月・冥王星は完成していきません。

 

そこが成長のプロセスで一番難しいところです。ご主人も同様ですが、家族ではなく他者を頼り、新しい価値観を受け入れること。

 

月・冥王星をもつ人は、他者を交えることを一番苦手とする時代が長く続いてしまいがちですが、その克服が息子さんやご主人の本当の意味での自立かと思います。他人を頼れないと自立になりません。自分で孤独に生きるのと、他者と生きるのとでは全然、成熟が違いますから。

 

和佳さん: 息子は「子供もいらない」と言っています。そうした意味では、自分と違う人と一緒にいる経験をしようとしていません。仕事などで(そうした体験を)出来るといいのかもしれませんが、嫌だったら付き合わなくていいじゃないですか。だから、本来は子供がいたほうがいいのかな、という感じはありますね。

 

nico: 8ハウスは、出産・子供、異物です。自分とは違う他者を受け入れるという意味において、出産・子供を持つというのは息子さんにとって、とても大きなテーマにもなるかもしれません。

それは、ご主人も他者に頼ることを学ばなければならないということ。和佳さんは今、お母さんの介護をするために離れて暮らしているわけですから、ご主人も自分のことは自分でやるだけではなく、他者とともに生きる訓練もしていく。それを家族三人が共有でき、それぞれが豊かになっていくとよいですね。

 

今のままだと閉じた家族の世界の中で、お互いが牽制しあっているようなところがあります。そして、奥さんとの関係がお母さんとの蜜月と同じようになっているのは、息子さんにとって、あまり良くないかもしれません。息子さんは子供を持つことも含めて、もう少し、他者に意識を向けられるとよいですね。

 

パートナーシップに見る自立のきっかけ

nico: ここからは、少し息子さんのパートナーシップを見ながら、自立のきっかけを探ってみましょう。

奥さんは水瓶座なんですね。牡牛座の強い感じもあり、お話を聞いたときに、息子さんにぴったりだなと思いました。

 

自立が早く、自分で稼ぐ力もあり、社会的に生きる力を持っている。息子さんとしては、自分を生きるとはどういうことかを目の当たりにしたようで、すごく憧れたのではないでしょうか。

 

 

和佳さん: 彼女も月と冥王星を持っていますね。

 

nico: そうなんです。ただ、トラインですよね。

息子さんの火星は水瓶座です。奥さんの水瓶座の感性が、息子さんの火星を刺激した印象です。奥さんが生きてきた過程は、和佳さんには破天荒に見えるかもしれませんが、自分の価値観を持って自立する力を持っているところに刺激を受けた感じがします。火星の刺激としては、すごく充実していると思います。

 

長く続くかどうかは別として、息子さんが自立するときに必要な人だったことは間違いない気がします。自分で自活していく生活力もあるなら、なおのこと、息子さんとしては憧れの対象だったでしょう。成長のプロセスの中で必要な人だったというのが、息子さんの火星のテーマかと思います。

 

月・冥王星は、なかなか自立・独立が難しい。そこに刺激が入って、自立する決心がついた。

しかし、 自立・独立の刺激だけに終わらず、もう一歩超えた関係性ーー子供を持つなり社会的に他者とともに生きていく訓練ーーが出来ると、息子さんが大人として成熟したといえるでしょう。

 

和佳さん: 彼女は、結婚してからずっと働いてないんです。アルバイトはしたかもしれませんが。

 

nico: それは、なおのこといいのではないでしょうか。息子さんの火星力がだいぶ鍛えられる感じがします。

 

和佳さん: そうですね。彼女が息子のことを「がんばってくれてます」と言ってくれました。息子の仕事は営業なのですが、やればやっただけ評価されて、お金を得るというのが、息子にとっては大事らしくて。

不動サインが多くて営業なんてできない、続かないのでは、と思っていたのですが、自分がやらなくてはいけない環境にいるのかもしれないですね。

 

nico: いいじゃないですか! 自立・独立をすごく刺激されていますね。やはり、息子さんにとって必要なきっかけだったのかもしれません。

 

もうひとつ気になっているのは、太陽と木星がアセンダント上にあるところです。今回、話が及びませんでしたが、アセンダント上にあるということは、両親、お母さんの期待が大きいということ。息子さんにとっては、だいぶプレッシャーだったのではないかと思います。

太陽・木星のコンジャンクションは、王様のように育てられている印象があります。今上天皇は太陽がアセンダントにありますし、王様のように大事、大事に育てられて、足の裏に泥がつかないように抱っこされている子供のような。

この王様コンプレックスから脱出するのは、息子さんにとって、とても大変だっただろうなと。よく、いまのような暮らしを選んだな、と思います。

 

和佳さん: 本当ですよ!! だからこそ、こちらは納得できなかったところでもあるのですが(笑)

 

nico: 本来なら、王様になるくらい立派な息子さん。そうした人が、自分で出来る範囲のところに行くのは、よっぽど、自我が強いなという感じがします。こうなったら、お母さんは手を放すしかないですね。

 

息子さんは、克服しながら生きている。すべてを自分の問題として引き受けて、解決しようと努力してきた。

親子の関係だけを考えたら、息子さんが出来る範囲で戦い抜いた感じがします。親の期待にそぐわなくても、自分で独立して自分の世界を作り上げたところまででも、100点満点ですが、どうでしょうか。

 

和佳さん: 私の期待が大きくて、うまくいかなくて、私が勝手悩んで、問題を大きくしていて。母親として、息子そのものを見ることが全然出来ていなかったのだろうな、というのは最近よくわかるようになりました。

 

nico: パッと見は、不動サインと陰サインの感じですが(☉♉☽♏)、本質的には風の(♊♂♒)感じがあるので、水瓶座の奥さんは、距離感として楽ですね。構われすぎず、風通しが良くなったのかもしれません。息子さんが求めている本質がここにあるので(♊♂♒)、水瓶座の奥さんで良かったなと思います。

 

息子さんは、だいぶ上出来な感じがします。お母さんは、「よくやったね」と言って、息子さんを手放していくのはどうでしょうか。

 

(後編へ続きます)

 

月と冥王星については、特に関係性のテーマで書かれた情報がとても多く出回っており関心の高さが伺えます。しかし、そのほとんどはネガティブな話に終始するばかりで、解決の糸口に触れられていない印象でした。今回のホロスコープ分析では、火星=個の発揮、が関係性を変えるきっかけになるのではないか、という新たな提案を行いました。

また、心理占星術的な冥王星の解釈である「相手の力に飲み込まれるように見える、思ってしまう」。そうした心理的状態が親子関係に持ち込まれたとき、子どもとしては、親のプレッシャーに屈してしまうことは容易に想像できます。しかし、今回の息子さんはずっとご自身の意思を貫くために親御さんに屈せず挑戦し続けてきた。その力の源泉となったのは、個人の出発点である1ハウス=火星的な力だったのかもしれません。

ここでは詳しいエピソードはご紹介できませんでしたが、そのお話の端々からは、確固たる自分を確立したいという姿が見え、ひとりの男性として見たときには、とても魅力的ではないか! そんな印象をもったほどでした(笑)

 

この後、息子さんの転機、自立のタイミングがどのようにホロスコープに現わされているかを検証しました。

続きは次回、後編でお伝えします。

ホロスコープ分析のご感想

息子に期待するのではなく、自分の幸せは自分の手で作るしかない
親の介護の問題など、「こんな状況から逃げ出したい」気持ちがあったりすると、悲劇のヒロインを演じ「私は不幸だ」と思ってしまう癖が湧き上がってくるのですが、最近は「これをやっていたらいままでと同じ繰り返しだ」というのもわかってきました。家族の協力が得られないのであれば、何かを利用する方法を選ぶこともできるのかなと、とりあえず私も自立しなければ、という思いが強くなってきました。

小さい時からずーっと不幸感があったので、自分については(冥王星の)無力感というのはよくわかります。だから、自己肯定感もホントになくて、そういう自分の無力さを息子でカバーしようとしていたと思います。
息子に期待し、息子が立派になれば、私も幸せになれると思っていたけど、自分の幸せは自分の手にあるもので作るしかない、とやっとわかりました。
(60代・和佳さん)

 

 

第6回目となる次回は、7/2(金)です。

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