第5回:心理占星術で 子どもに寄り添う ~ 距離を近づけるのではなく、子どもの見ている風景を知ってみる

「子どもたちが、次の時代を生き抜いていくための能力や資質を心理占星術で発見できないか」

そんなアプロ―チからスタートした、ニコラボ心理占星術 子育て研究会。

 

しかし、この半年、さまざまなお子さんのチャート分析から見えてきたものは、「個性を伸ばそう」「能力開花しよう」というのは、大人のエゴなのではないか? ということ。
当事者である子どもの声を置き去りにし、大人の目線で考える「これが幸せな人生」と決めつけてしまっていないか。

 

そこで、今回はネガティブな部分や親子の関係性には注目せずに、ただただ純粋に、お子さんが見ている世界に寄り添ってみる、ということを試みます。

ここでの「寄り添う」というのは、実際に子どもに近づく=距離感をべったり密にする、縮めるのではなく「風景の見え方を知ってみよう」ということです。

 

子どもの目線になった時には、いったいどういう世界が見えているのか。どんな風景なのでしょうか。

きっと年齢によって、その目線がどんどん高く広くなる、または閉じこもっていくこともあるでしょう。

 

今回は、思春期のお子さんのチャートを取り上げ、いま彼の目に見えている風景を見ていきたいと思います。

 

子どもに寄り添うとは、どういうこと?

 

Kさん: 先日、受講している講座の中で、息子のネイタルチャートを取り上げてもらいました。

金星と火星の支配星がトランスサタニアン(冥王星と海王星)なので、ここにある世界よりも、もっと大きな世界に所属を感じる子だろうと、nicoさんから言われました。

 

 

実際、とても本を読むーーたくさんのジャンルの本を読む子どもなんですけど、家や学校、どこにいても自信がなさそうで、所属の不安をすごく感じる子でした。

 

だから、nicoさんにチャートを読んでもらったときに、「あ、ここ(現実世界)に所属を得られない子なんだな」ということが妙に納得できました。

物語に触れているときに、すごく安心感を感じる子なんだと思ったら、確かに! とても腑に落ちました。

 

nico: 個人天体の中でも、特に金星・火星は、その人の本質=その人の中にあるリアルな感覚を現わしています。

その一方、太陽や月はリアルではなく「作り上げたい理想=こうなったら素晴らしい、こんなふうに生きていきたい」という方向を示します。

 

太陽と月は、光を持ちます。その光を作り出していきたいという思いの奥にあるのが、水星・金星・火星。中でも、リアルに自分自身の実感を伴っている部分が金星と火星であり、その子の心象風景になっていると考えられます。

ここは、お子さんが大事にしている領域なはずですので、大切に扱ってあげたいところです。

 

この息子さんの場合は、本質の部分(金星・火星)が、蠍座と魚座で水のサイン。
太陽や水星が天秤座なので、最終的にはその方向を目指していくのかもしれませんが、内側にある心象の本質的な部分は、とても水の要素が強いと言えます。

 

水のエレメントというと、とても人間にべったりという印象かもしれませんが、トランスサタニアンは人間を示すものではありません。

トランスサタニアンはすごく遠いものなので、物語やゲームのように、ここではないものに親近感を覚え、身近なところに視点が合いにくい。

自分の世界の中で物語やドラマを作り続けていくので、内向的であったとしても、それは放っておいてあげる方がいいでしょう。

 

Kさん: 親としては、外交的になってほしいとサッカーをやらせていたのですが、本人からは「やりたくなかった」と後からカミングアウトされました。

 

nico: 外交的、明るく活動的というのは、息子さんの本質ではないですね。彼の心の風景としては、ここにはないドラマの中に引きこもりながら、自分の中の内面を豊かな物語の中でいきいきと生かしていく。

外との接触があまり頻繁ではなくても、内側はすごく豊かなので、そこがしっかり土台になれば、少しづつ太陽と月(自己実現)に向かっていけるでしょう。

高校3年生ということですから、そのような物語を踏まえながら、これから人生を生きていくのではないかと思います。

親御さんとしては、外交的に活発に明るく振舞ってほしいという願いがあるかもしれませんが、本質と違うことをすると、それはお子さんにとってストレスになりますよね。

 

天秤座の誤解と心のふれあい

 

nico: ここでもう一つ、皆さんがもっている天秤座のイメージ

・人間が好き
・人と関わるのが好き
・関係性とバランスをとるのが好き

これらを忘れ去ってほしいと思います。

息子さんのように、本質にこういうもの(金星・蠍、火星・魚は両方陰サイン)を持っている人が、社交の方向に行くとは思えません。そもそも、風のエレメントは社交が目標ではありません。

 

例えば、最近のニュースでテニスプレイヤーの大坂なおみさん(天秤座)は、本当は人前でしゃべるのが苦手だと言っていました。

人前に駆り出され、スポットライトが当たることを良しとしていない。天秤座を持つお子さんを社交的にしようとしたら、まず失敗するだろうなと感じます。

 

風のエレメントは、素数(3、7、11)で刺激が強いことが特徴です。みんなと仲良くなることよりも、みんなをあっと言わせるようなエネルギーを強く持ち、理想的な社会のために、自分の知的な財産を使い、少しでも周囲に刺激を与えていくことが目標です。

 

息子さんも、内側にあるドラマ(金星・蠍、火星・魚)を使って、社会に知的な刺激を与えていきたい。

このチャートを見る限り、そんなに社交的になる印象もなく、むしろ自分の内面にある能力を素晴らしいものに洗練させ、金星的な美しいものを仕上げていくことに集中した方がよさそうですが、どうでしょうか。

 

Kさん: そうですね...。これまで、息子の心配ばかりしてしまい、息子の心象風景―ーその子が見ている世界が、どんなものなんだろう、と考えたことはありませんでした。

本はたくさん読む子ですが、高校生で思春期だから親とも距離を置いていて、一緒に書店に行っても「近くに来ないで」と言われてしまう。だから、どんな本を読んでいるのか気になっていても聞けなくて。

 

でも、「何かいい本あったら紹介して」と言ってみたら、ヘルマン・ヘッセの『デミアン』『車輪の下』とか何冊か貸してくれて。

「わぁ、こんなの読んでいたのか!」とびっくりしたんです(笑)。

普段は表情とか読み取りにくい子どもなんですけど、部屋から本を持ってくるとき、イヤそうではなくちょっと嬉しそうな感じだったんです。

 

「思春期だから、ちょっと距離をおかないと」というのは、わたしの思い込みで、もっと早く息子の世界に触れてあげれば良かった。

これから、息子の世界を知るためにも、自分の勉強にもなるので、読書を通して触れ合っていきたいと思っています。

 

nico: 素敵! 今の流れは、息子さんの喜びポイントですね。

自分が大事にしている世界観がある。でも実際、それを外に出していくにはすごく勇気がいる、わかってもらえない怖さがある。だから、自分の内に閉じている。

でも、興味をもってくれた相手に対しては、刺激をしたい気持ちはいつでもある。それを、お母さんを通して、先ず出来たということは、息子さんにとっても少し刺激になったのではないでしょうか。

 

個人天体の喜びは、自分の世界にあるものが、自分の世界として出来上がること。

実際は、母親と行うものではなく、自分が独自で得たものが喜びになっていくわけです。「自分で得た」という感覚は、子どもにとってすごく大事なのはもちろん、それを誰かとシェアできることは大きな喜びになるでしょう。

 

これから、どこまで親子の関係でやれるのかはわからないですが、息子さんが好きそうな自然な流れで、とてもいい感じでお互いの刺激があったのではないでしょうか。

 

* * *

 

今回は、心象といっても、大げさな話ではなく、心の奥にあるものを少し覗いてみようという試みでした。

心象風景、心に寄り添うというのは、距離感としての寄り添いではなく、どんな風景が見えているのか、そこを覗いてみる。

そうしたホロスコープの使い方が、ひとつの良さになるのではないか、という発見がありました。

 

そして、子どもの「いま」のリアルな風景を読んでいけるようにするには、市販の占星術の本に描かれている内容ではまったく追いつかないという話もありました。

子どもたちはいま、そして新しい時代を生きていくわけですから、10年、20年前の古い象徴の読み方だけでは補えない。

昔の象徴があてはまるわけがないのだから、新しい情報も学び、書き換えながら、子どもたちに合った象徴を新しく考えていける研究会にしていこう。

そんな提言で終了となりました。

 

息子さんとの心が通い合う素敵なエピソードをご紹介いただいたKさん、ありがとうございました。

ホロスコープ分析のご感想

 

この日の気づき、そして息子さんとの交流について、note に後日談を綴ってくださいました!

とても丁寧に大切なものとして語ってくださっています、ぜひご覧ください。

 

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