2016 山羊座の言葉 村上春樹

心理占星術家nicoが選んだ今月の言葉は…

201612_nico

エルサレム賞授賞式にて

 

私が小説を書く目的はただ一つです。

個々の精神が持つ威厳さを表出し、それに光を当てることです。

小説を書く目的は、「システム」の網の目に私たちの魂がからめ捕られ、傷つけられることを防ぐために、「システム」に対する警戒警報を鳴らし、注意を向けさせることです。

今月の言葉

村上春樹

1949年1月12日生まれ。日本を代表する小説家。山羊座に太陽と木星を持つ。

牡羊座から蟹座までで個人の育成を、獅子座から蠍座までで内なる他者を育てた後、最初の社会サイン・射手座で高い精神性や道徳観を身につけることができた。その後、10番目のサイン山羊座で社会における個人の成長の完成を目指すことになる(10とはひとつのサイクルの完成を意味する)。

では、社会における個人の成長の完成とはいったい何なのだろうか。

補完関係にある向かい側のサイン蟹座は、個人の営み、所属、心の結びつきを育て守るサインである。

「私」の世界はいつだって、心地よく維持されなくてはならない。そうでなければ、個人は一向に幸福になれないじゃないか。
これが蟹座の求める世界だ。

蟹座と手を組んだ山羊座の視点の向こうには個々人の幸福が、それぞれの営みが広がっている。だからこそ山羊座は我慢強さを持って社会全体の一部として存在し、蟹座的世界を守ろうと努力をするわけだ。

しかし、ホロスコープの一番高い場所、MC=10ハウス=土星という全体を見渡す視点を手に入れた山羊座意識は、ここで縦社会、既存の社会の壁=システムと対峙し、大きなフラストレーションを感じることになる。

山羊座は、決して社会システムに従順なサインではない。
むしろ、射手座までに育てた他者性と社会の理想を踏まえたことで、既存のシステムの中にある違和感を浮き彫りにするサインなのである。
それが地エレメント最後の感覚的作用だ。

山羊座は個人の感覚を通して、社会の違和感と向き合う。
そうでないと、誰が個人の幸せを守るというのだ?
誰が「システム」の網の目に私たちの魂がからめ捕られ、傷つけられることを防いでくれるというのだろう。

※エルサレム賞とは、人間の自由、社会、政治といったテーマを扱った著作を書いている作家が対象となる。過去にシモーヌ・ド・ボーヴォワールやミラン・クンデラらが受賞している。