2018 蟹座の言葉 河合隼雄

心理占星術家・nicoが選んだ今月の言葉は….



「人間の心のエネルギーは、多くの「鉱脈」のなかに埋もれていて、新しい鉱脈を掘り当てると、これまでとは異なるエネルギーが供給されてくるようである。このような新しい鉱脈を掘り当てることなく、「手持ち」のエネルギーだけに頼ろうとするときには、確かに、それを何かに使用すると、その分だけどこかで節約しなければならない、という感じになるようである。

自分の中の新しい鉱脈を掘り当てていくと、人よりは相当に多く動いても、それほど疲れるものではない。それに、心のエネルギーはうまく流れると効率のいいものである。他人に対しても、心のエネルギーを節約しようとするよりも、むしろ、上手に流してゆこうとする方が、効率もよいし、そのことを通じて新しい鉱脈の発見に至ることもある。心のエネルギーの出し惜しみは、結果的に損につながることが多いものである。」

— 「こころの処方箋」河合隼雄・著より

 

今月の言葉

河合 隼雄

1928年6月23日兵庫県出身。太陽、水星、冥王星を蟹座に持つ。日本人として初めてユング研究所にてユング派分析家の資格を取得し、日本における分析心理学の普及・実践に貢献した。また、箱庭療法を日本へ初めて導入した。臨床心理学・分析心理学の立場から1988年に日本臨床心理士資格認定協会を設立し、臨床心理士の資格整備にも貢献した。

 

4番目のサイン・蟹座において、私たちは初めて“こころ”に触れることになる。水エレメントは、ユングでいうところの感情タイプ。心の動きを通し、感情的に世界を体験していくサインである。

双子座で知的に世界を体験し、外部の世界との接触により「私」を知ることになったあと、蟹座の段階では、外部から受けたこころの刺激を通して、「私」の中に「私」を見つける作業をすることになる。「こんなふうに悲しい私とは何者なのだろう」「こんなことを喜ぶ私とはいったい誰なのか」、そうやって心の動きとともに、自己の確認を進め、世界をみずみずしく、豊かに体験していくことになる。

しかし、大人になると心が刺激を受けなくなってくる。いや、時々は心が動いたとしても、それは自分を知るための、確かめるための作業としてではなく、逆に自分の本心を知ることを恐れるあまり、イライラや不安を人や物事のせいにして自分の心を置き去りにしてしまっていることも多い。

心は「私」を支える土台であり、「私」を突き動かす原動力である。しかし、心のエネルギーが枯渇してしまうと、「私」の何を、どちらの、どんな方向に向けて動かしたらいいのかわからない。それだけではなく、「私」であることに自信が持てなくなり、力を失い、何かをするたびに疲れを感じてしまう。

今、「私」を動かすものはなんなのだろう。惰性ではなく、喜びとして、心が豊かに動く原動力と何だろう。

もしも、思い当たらないのだとしたら、今「私」を見失っているのかもしれない。

心を動かし、「私」を発見しよう。

心の鉱脈を見つけ、「私」を生きよう。

日々の暮らしの中で自分がコミットできる活動に心を注ぐことができれば、「私」はもっと元気になれるにちがいない。