
アポロンの竪琴
2025 山羊座~三木清
鳥の歌うがごとく
おのづから外に現れて
他の人を幸福にするのが
真の幸福である。
著名人の言葉から12の太陽サインの生き方を考えてきた「今月の言葉」がリニューアル!
自分の理想=太陽を生きるためには、何が必要なのだろう。
水星神ヘルメスが発明した太陽神アポロンの竪琴の神話をご存じですか。太陽の理想や意図は、水星という竪琴=言葉があるからこそ美しい音色を奏でることができるもの。太陽の言葉=アポロンの竪琴のメッセージに耳を澄ませてみてください。
あなたの生き方、働き方のヒントを受け取ることができるかもしれません。
心理占星術家nicoが選んだ今月の竪琴
山羊座・太陽の言葉は…

幸福は人格である。彼の幸福は彼の生命と同じように彼自身と一つのものである。この幸福をもって彼はあらゆる困難と闘うのである。幸福を武器として闘うもののみが斃(たお)れてもなお幸福である。
著書『人生論ノート』より
機嫌がよいこと、丁寧なこと、親切なこと、寛大なこと、等々、幸福はつねに外に現れる。歌わぬ詩人というものは真の詩人でないごとく、単に内面的であるというような幸福は真の幸福ではないであろう。幸福は表現的なものである。鳥の歌うがごとくおのづから外に現れて他の人を幸福にするのが真の幸福である。
山羊座の言葉
三木 清(みき・きよし)
1897年1月5日、兵庫県生まれ。太陽を山羊座に持つ。
哲学者、評論家。
西田幾多郎、ハイデガーに師事。ドイツ留学中にパスカルを研究、帰国後『パスカルに於ける人間の研究』を刊行。戦時中に治安維持法違反で保釈逃走中の知人を支援したことで逮捕拘禁され獄死。1941年刊行の著書『人生論ノート』はロングセラーになった。
山羊座=土星は、昔から「糞真面目で堅物な」、また「陰気で憂鬱な」といった意味づけをされてきた。伝統占星術では、土星(サターン)は凶星であり、病気や災い、試練や苦痛をもたらすものと考えられてきた。
季節で考えてみると、太陽が山羊座入りするタイミングは冬至であり、冬至は一年でもっとも日が短く、ここから本格的な冬の到来となると考えると、山羊座に与えられた「陰気で憂鬱な」という象徴はあながち間違いではないのかもしれない。ここから長い冬を耐え忍ばなければならないのだ。そうそう不真面目になどやっていられない。
が、しかし本当にそうなのだろうか。冬至を起点に、ここから日は一日一日と伸びていく。冬の寒さはひとしおだが、同時に春への期待も日に日に募っていく。
わたしは「火星サイクル」を中心に、天体のサイクルを暮らしの中で活用していく研究をしているが、天体が、特に火星が山羊座に入ると、やはり終わりと始まりの切り替わりがあり、山羊座の期間は「わたしってやっぱりこういう人間なんだな」といった自己認識の深まりもあり、また小さいながらも達成感や充実感もあり、なるほどこれがアレサ・フランクリンが映画『アメイジング・グレイス』で
私の家路は岩だらけの道 それが山の上まで続く
私は家に向かって険しい山道を登る
家に帰るために 私は高き山を登る
と歌っていた意味、また山羊座がMC=10ハウスに対応している意味、またはタロットカードの小アルカナ10の4枚のカードのそれぞれの意味に合点がいった。
ここまでの道のりは決して楽なものではなかったが、山を登り切ってみると多かれ少なかれ「人生は捨てたものではないぞ」といった喜びが胸に広がるものである。

その時、「わたしという人間はやはり〇〇が好きで、〇〇が得意で~」といった「わたし」と出会い直すタイミングが必ずやって来る。
この幸福をもって彼はあらゆる困難と闘うのである。幸福を武器として闘うもののみが斃(たお)れてもなお幸福である。
といった言葉などは、まさに小アルカナに描かれたドラマそのものではないか。
もしも、山羊座=土星に「義務」や「責任」という象徴をあてがうのであれば、それは「個人として幸福となる責任がある」「個人として幸福となる義務がある」と考えるべきなのではないだろうか?
そして、それをMC=役割として「鳥の歌うがごとくおのづから外に現れて他の人を幸福にする」必要があるのではないか。
三木清は、こうも書いている。
成功するということが人々の主な問題になるようになったとき、幸福というものはもはや人々の深い関心でなくなった。
著書『人生論ノート』より
幸福は各人のもの、人格的な、性質的なものであるが、成功は一般的なもの、量的に考えら得るものである。
我々の時代は、人々に幸福について考える気力をさえ失わせてしまったほど不幸なのではあるまいか。
幸福の要求が今日の良心として復権されねばならぬ。人がヒューマニストであるかどうかは、主としてこの点にかかっている。
まさに! 山羊座がMCの到達点として、土星が可視光の到達点として君臨しているのだとしたら、誰もが目指し得る「成功」ではなく、自分にしか到達できない各人にふさわしい「幸福」を要求し続けていかなければならないのではないか。 それが本来のMC、つまり職業であるべきなのではないだろうか。
太陽が水瓶座入りする2026年1月20日まで、また火星が山羊座を通過する1月22日まで、また土星が牡羊座に入る2月14日まで、自分自身の権利として、人格的な「幸福」に出会い直し、うまくいけば、「鳥の歌うがごとくおのづから外に現れて他の人を幸福にする」ことを目指してみたいと思う。








