星宙百景 2023 射手座 ~「できるかどうか」ではなく「これをやらなきゃ始まらない」という切実さを原動力に歩みを進める

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

2023年射手座期は、ASC獅子座がテーマ。弱い日本、安い日本とのキーワードが飛びかう今、わたしたちはどのような明るい未来のイメージを描き、どんな工夫ができるのだろうか。

カバー画像:ジョルジュ・ブラック「夕暮れ時、鳥 XVI」1958年(Georges Braque/ At Sunset, Bird XVI)

 最近、クマ出没、クマ被害のニュースをよく耳にする。人間が安全に暮らすためには駆除という選択しかないのだろうが、ニュースを聞く度にやるせない気分になる。市街地周辺に出没するクマのことを「アーバン・ベア」と呼ぶらしい。クマ被害の原因について、「異常気象により餌場が少なくなった」説や「地方が過疎化し、環境が荒廃しているから」説などがあるそうだが、そうなると「アーバン・ベア」はこれからもっと増えそうだ。

 あっちもこっちも人材不足。過疎化した村に手を加える余裕などなさそうだし、そうやってどんどん環境がすさんでいくと人の暮らしもすさんでいきそうだ。ここまで人手不足だと地方再生、地方創生という言葉もどこか現実味がない感じもするし。

 でも、そうやって嘆いてばかりいても明るい未来はやってこない。弱い日本、安い日本から、どのような明るい未来のイメージを描けるだろうか。どんな工夫ができるのだろうか。それが射手座期のイングレスチャートのASC獅子座のテーマとなっている。

 確かに、大阪万博の「空飛ぶクルマ」も「大屋根」も無駄遣いの温床と言われればそうなのだろう。建設費も当初の倍に膨れ上がっているというし、海外館の着工も手つかずだというが、今さら「やめた」と言うわけにいかないのなら、ここからできる最高の成果をあげてほしいという期待もなくはない。

 23日付の日経新聞の記事によると、大林組の役員を代表幹事に迎え、万博成功に向けて経済界の総力をあげるという。資材高、人手不足問題は今後も続くだろうが、各業界が日本の明るい未来を描けるような協力をしてくれることを期待したい。

2023年太陽射手座イングレスチャート

 と能天気なことを書いてはみたものの、岸田政権に後がないのは間違いない。このイングレスチャートの天体配置を見ると、なかなか不穏な印象を受ける。一番高いところにある天王星、または7ハウスカスプ上にある土星を見たとき、一瞬、「解散か?」「内閣不信任案か?」という考えが頭をよぎった。土星と天王星のセットは、構造改革という意味にもとれるからだ。

 支持率21%とは、2011年の民主党の菅直人政権末期以来の低水準だというのだから、なにはともあれ背水の陣であることは間違いない。最後の花道は来春の日米首脳会談になるだろうか。国賓待遇での招待は2015年4月の安倍首相以来ということだから、最後の舞台にふさわしいと言えそうだが、それまでもってくれるのだろうか。 

 こちらは蠍座期のイングレスチャートだが、MCの支配星は金星、乙女座金星のエッセンシャルディグニティがフォール(-4)となっているので、文字通り、内閣支持率が落ちたというように読むことができる(ちなみにMCは現内閣の象徴と読む)。

2023年太陽蠍座イングレスチャート

 射手座期のイングレスチャートは、MCが牡牛座なので、その支配星を見ると天秤座の金星。エッセンシャルディグニティがもっとも高い+5となっている。今のところ支持率が上がる要素が見当たらないので悩ましいところだが、低め安定ということなのだろう。

 4ハウスの強調を考えると、まずは党内での支持率の回復、交代劇で歯抜けになった内閣を安定させ、足場をしっかり固め牽引力を高めていく必要があるのだと思われる。

 企業も個人も同様に今いる場所、自分の置かれている立場をどう安定させ、自分が把握できる状況をつくりあげていくか。4ハウス、8ハウスといった水エレメントのハウスの強調からも、協力者との結びつきの強化は生き残りのために重要なファクターとなるだろう。

 岸田総理が池田大作の死を受けて、創価学会本部を自民党総裁として弔問したことで批判が相次いだ。公明票への影響はマイナス200万票と言われるほどだから、選挙を考えれば、何はおいても必要な行動だったに違いない。選挙に行くかどうかもわからない浮動票を狙うよりも、手堅い200万票を取りに行ったということだ。こういったのも4ハウスー8ハウス的と言えばそうなのだろう。一緒に沈むのも覚悟の上ということか。

 7ハウス上の土星は外交上の課題、8ハウスは負の遺産と読むこともできる。ここから、慰安婦判決に対する韓国政府への抗議や日韓外交に対する障害の表れとして解釈することもできるだろう。
 
 こういったことを踏まえると、この時期は関係性の調整は必須な時期になるのかもしれない。北朝鮮や中国の脅威を前に、日米韓関係は維持しておきたいところだ。


 また、岸田政権が半導体製造を手がける新興会社「ラピダス」に対する3,300億の補助金支出を決めたというのも、ASC獅子座の象徴と考えてもいいかもしれない。「国産半導体産業を復活させる最後のチャンスだ」と色めき立っていると言うが、果たして政府の思惑通りにいくのかどうか。

 ただ、日経新聞による全国792市と東京23区の2022年度の決算の調査によると、55%の自治体で税収が最大となり、大都市に加えて半導体企業のお膝元である岩手県北上市や滋賀県野洲市などが上位に挙げられている。海外の生産拠点を日本国内に切り替える企業も増加していることから、貿易赤字の解消なども期待できる。
 
 国内拠点は4ハウス、税収は8ハウスのテーマでもあり、地方創生、賃上げにプラスになる動きが生まれることを期待できるかもしれない。


 やはり射手座期は視線を高いところに向けていきたい。
 
 今の時期、夜空では射手座の支配星である木星が堂々たる輝きを見せている。理想ばかり追うこともないが、どこに向いて進んでいくか、どんな未来を描こうとしているのか、そういった青写真くらいはあってもいい。

 そこで前回の蠍座期のところで書いたASC乙女座的なテーマを思い出してほしい。蠍座の期間である程度、自分の動かせる資金なり、時間なり、人材なりを確認できただろうか。仕事やプライベートでも、お互いの持ち物を把握し合い、実現可能な範囲を把握し合うことはできただろうか。
 
 それができたところで、射手座期はひとつ前のサイン、獅子座へと戻り、「できるかどうか」ではなく「これをやらなきゃ始まらない」という切実さというか、必死さというかを感じられる活動(大阪万博なのか減税なのか)、未来への期待も込みの、その活動へと歩みを進めていく。
 
 そのためには、またもう一つ前へと戻るイメージで、4ハウス(蟹座)の居場所の確保を行う。仕事やプライベートでも、安定した関係性づくり、快適な状況を整えておく。ここにほころびがあったら、岸田内閣のようにまた足止めを食らうので、周到にやっておこう。

 この辺の手順がしっかりできれば、射手座期は言うことなし。
 あとは、道に迷わないように、時々視線を高いところに向けて、進む方向を確認しながら進むこと。

 射手座期が終わるころ、明るい未来が少しでも描けるよう、ネガティブな芽は少しでも摘んでおきたいところだ。