テーマと構成を意識する ろくむらさんの添削教室 #2

「講座でレポートがうまく書けない」、「ブログやSNSで星について発信したいけど、納得いく言葉が出てこない」。

心理占星術を学ぶ皆さんから常に耳にする「書くこと」についてのお悩み。でも、その裏にある「もっと書けるようになりたい」という気持ちもひしひしと伝わってきます。

そんな思いに応えて、プロの添削講師であるろくむらさんをお迎えし、あなたの「書く」が変化する、ちょっとしたヒントをお伝えします。

第2回
時期読み占星術

プロならではの視点で
みんなのレポートを添削!

今回取り上げる時期読み占星術(トランジット占星術)は、「占星術の技法の中でも、マクロコスモス(大宇宙=社会)とミクロコスモス(小宇宙=個人)のつながりをもっとも体感できる(nico談)」と言われる占術です。

「今」どのようなことが世界や社会で起こっているのか。
そして、それは個人にどのような影響を与えるのか。

移りゆく時、天体の流れを理解し、言葉にし、人に伝えていくことは簡単なことではなさそうですが、いったいどのような視点が必要なのでしょうか。

そこで、今回は赤ペン12サイン占いも担当しているTELESAさんのレポートを取り上げます。この講座に参加した当初は、政治経済はもちろん社会の時事ネタにはまったく関心がなかったそうですが、スタートから一年半、今ではこれからの時代に欠かせないマインドを提案できるようになったそうです。

どんな言葉で語ってくれるのか、さっそく見ていきましょう!

👀TELESAさんのレポート拝見!

時期読み占星術のレポートは、対人鑑定のように特定の相手に向けたものではありません。だからこそ、書き手の立ち位置やテーマがあやふやだと、「どういうこと?」になりやすい文章とも言えます。

今回は、TELESAさんの文章をお借りして、テーマと構成について書いてみたいと思います。

以下は、レポートの抜粋部分です。読んでみてどんな印象を抱いたでしょうか? わたしは、テーマがはっきり伝わってくる文章で、構成も素晴らしいなと感じました。読む人によっては、難しい話かな…とか、時事に関する単語が目に飛び込んできたかもしれません。でもそんな人にこそ今回は読んでほしい!

まず、黄色でマーカーした部分に注目してください。ここが文章全体を貫くテーマになっています。

TELESAさんが設定したテーマは「自立」。最初と最後で、言葉を変えて同じことを伝えています。最初に読み手にテーマを知らせて、なぜそうなのかという理由を説明したのちに、もう一度同じテーマを伝える。まったくブレていません。こうすることで、文章に初めて触れる読み手は、書き手がいちばん伝えたいこと(テーマ)をつかみやすくなります。最後に、「おお、そうだったそうだった」とテーマに戻って来られるわけです。

その一方で、文を追うごとに、扱っているものをどんどんサイズダウンさせています。最初に読んだとき、気づきましたか?

天体→国→社会→そして個人。いつの間にか、わたし自身にも「自立」が必要なんだ、と読み手個人が説得される流れなのです。「大きなものに従っていれば守られる時代は終盤」で「各々が 自分で身を守り、責任を担っていかなければ立ち行かなくなる」のは遠い世界の話ではなく、わたしたち一人ひとりにも言えることで、全部がつながっている話だ、とはTELESAさんははっきり言葉にしていません。

でも、文章の大きな流れをコントロールして組み立てる構成によって、読み手に気づきをもたらす納得感を与えています。TELESAさんの職人技! ですね。


👀ろくむら’s EYE
書き手にとっての構成

構成が読み手にとって説得力になり、はっきりテーマが伝わるという話をしてきましたが、書き手にとっては、構成を意識することはそれ以上にメリットがあります。

✅構成がしっかりあると、迷いの森を回避できる
テーマと、根拠や理由の骨組みが明確にあれば、書きながら「何が言いたかったんだっけ」「結局、何が大切なんだ…?」という視界不良の森に迷い込みません。たとえ迷い込んでも、「このテーマを伝えたいわけだから」や、「この文はテーマを補強できているかな」というコンパスが、書くべき方向を指し示してくれます。

✅文章の長さを自由自在に
伝えたいことと、その理由。この軸と対応がしっかり意識されていれば、文章全体の長さはある程度自由が効きます。もっと長めに説明したい場所があるけど、長くするとなんだか言いたいことがはっきりしなくなったような…という悩みはよく聞きます。逆もしかり。そんなときは、伝えたいテーマと理由がきちんと対応したセットになっているか確認してみましょう。二つの整合性が保たれていれば、テーマや理由を詳しく書いてみたり、逆に詳細はバッサリ落とすことで文章の長さは調節できるのです。

さて後半では、「自立」ってどうすればいいの?「 個としての存在を明らかにする」って? という読み手の疑問に先回りして、「個人商店街のような形態から始める」ことが提案されています。

「個人商店街」とは、テーマの真ん中を射抜くアイデア! イメージが鮮やかに立ち現れますね。

これだけでも十分ですが、TELESAさんの想定する「個人商店」について、もう少し掘り下げてみてもいいかもしれません。

たとえば青のマーカー、「その狭間にはまってしまう人」は「個人商店」的なやり方や態度とどう異なるのか。または、「自分のアイデンティティーを看板にする」ことは「個人商店」のどういう側面や機能と結び付くものなのか。

TELESAさんの考える「自立」と「個人商店」を、少し近づけるような種をまいておくと、「なるほど、だから個人商店ね!」という納得感が十二分に伝わると思います。


ということで、今回はテーマを設定することと、読み手に納得感をもたらす構成を取り上げました。もちろん、これは書き方のひとつの例です。「こうでなければならないもの」ではありません。

ただ、書いていくうちに「何を書いていたんだっけ…」の森に迷いがちな場合は、ひとつの方法として頭の片隅に置いておくと役立ちます。伝えたいテーマをはっきりさせて、なぜそうなの? という疑問を順に丁寧にほぐしていく。文章に実際そうは書かないとしても、文章の骨組みの部分(構成)でちょっと意識してみると、伝えたいことをより伝えられるようになりますよ。

💬TELESAさんのご感想
第2回目の添削に取り上げていただきありがとうございました。
こんなつたないものが、ポイントをしっかり押さえていただきながら優しく、良いところを見つけていただき、なおかつ良くするポイントも教えていただき感謝しかありません。

昔から文章は苦手で、だからこそ避けて通ってきたものでした。
基礎も何もない中、nicoさんの愛ある宿題により書かざるをえなく、今があります。

でも、占星術はじめ何をやっていくにも言語力、文章力は必須でしかないのですよね。
このスパルタ(すいません)がなければ、ただの占星術を勉強した、だけに終わっていたのではないかと思います。今、鑑定を少しながら始められたのもこの経緯のおかげだと思います。

まだまだ先は長いですが、一歩一歩頑張っていきたいと思います。
ありがとうございました。

ろくむら
学生に向けて文章添削の仕事をしています。ここではちょっとくだけた添削屋として活動中。
受講講座は「心理占星術 基礎講座」と「ホロスコープ実践講座」。

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時期読み(トランジット)占星術

占星術の醍醐味である「マクロコスモス(大宇宙=社会)とミクロコスモス(小宇宙=個人)のつながり」をもっとも体感できるのが、時期読み占星術(トランジット占星術)です。

心理学者・河合隼雄氏の言葉にあるように、
『個人が受けた傷は、まったく個人的なものでありながら、それは同時代を生きる人々に共通であることがわかる。個人のそれぞれの傷は、文化の傷、社会の傷、時代とつながっている。ある個人が、なぜ自分はこのような不幸や苦しみにあうのだろうと嘆いていたり、不可解に思ったりしている時、それは文化や時代の傷を引き受けているのだ。』

まさに、時期読み占星術が目指すことが表されています。個人が今、体験しているこの出来事は、他の誰かの身にも起こっているかもしれない。もしかしたら企業も、そして国も同じような混乱を、同じような課題を、または同じような希望や明るさを体験しているかもしれない。そして、それは今、運行中の天体に示された象徴と深く結びついているではないか。

時期読み占星術講座は、占星術の一番すぐれた技術――天空の動きを読むという素晴らしい知恵です。ぜひ、皆さんのご参加をお待ちしています。