星宙百景 おさらい編 ~2024 蟹座・わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を考える

心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

おさらい編では、先の未来を読み解いた星宙百景の記事をセルフレビュー。

先月お伝えしたチャート読みの内容と、実際に起こった出来事を nico の視点で振り返るショート・レポートです。

 今回の夏至図は柔軟サインのハウスの配置(ケーデントハウス)になっていた。6ハウスの月、9ハウスの土星、海王星、そして12ハウスの太陽、金星、水星だ。解釈はいろいろあれど、柔軟サインのハウスは、新しい動きを仕掛けていく前の準備のときと考えることができる。10天体中6天体がケーデントハウス、そしてホロスコープの最も高い場所(MC)に柔軟サインの代表的な天体である海王星が位置しており、これまた代表的な天体である木星、そして水星がMCにコンタクトをしている。

 ということで、この時期は柔軟サイン的な要素を総動員し、この時期を生き切っていく必要がありそうだ、そんなふうに読むことができたかもしれない。

2024年夏至図

 では、柔軟サイン的要素とはどのようなものだろうか。柔軟サインの始まりであり、木星がイングレスした双子座的な要素の必要、つまり「差異」という考え方だ。これは繰り返し星宙百景・双子座期でも以下のように書いてきた。しつこいが、再度ここに載せておく。

双子座らしい目的意識と生産性、その力を身につけることで、未来が明るく発展的になる予感がする。では、双子座期にはどのようなことを意識したらいいのだろうか。

双子座は、よく競争原理のサインと言われる。これはどういうことか。

牡羊座、牡牛座と続き、3番目のサイン双子座で初めて外界に触れる。自分だけでは自分が何者かはわからない。だから、外のものと積極的に触れることで自己を認識することになる。その時、他者を自分の分身のように感じるかもしれない。近親憎悪のような、「関係やコミュニティが共通点を共有すればするほど、人々は、お互いに知覚される小さな違いに過敏になる」だろう。だからこそ、自分の違いをより強く意識しようと、時には好戦的になることもあるだろうし、自分の個性や差異が自覚できない時は、自分が何者かよくわからない不安がでてくるかもしれない。

(中略)

これからの可能性を創造するため、太陽双子座期、木星双子座期は、人との差異をどう生み出していくかが重要になると考えることができる。似た者たちに埋もれながら、「彼らとは違うのだ」という差異で境界線を作っていくということが。 

人との差異をどう生み出すか、似た者たちに埋もれながら「彼らと違うのだ」という境界線を作る ~星宙百景 2024 双子座

 朝日新聞7月2日号では、「早稲田大学マニフェスト研究所が、候補9人の公約を検証したウェブサイト「#くらべてえらぶ」を公開した」と取り上げ、同研究所の中村健事務局長の総評を載せている。

政策で選択する際に差別化を図るのが非常に難しい状況。知名度頼みで政策は二の次にされている感は否めない。厳しい言い方をすれば候補者は主権者を馬鹿にしているとさえみえる。

 「差別化を図るのが非常に難しい」
 これは誰にとっても夏至の期間の、または双子座木星の期間のチャレンジになるのかもしれない。

 私自身、今回、まったく候補者を選ぶことができなかったという苦い経験をした。他の方も、何か選択をしようとした際、誰が、何が自分にとってふさわしいのか、本当にその決断で合っているのか、間違っているのか、それをうまく図ることができないという体験をした人もいたのではないだろうか。 

 また自分自身の政策=マニフェストを必死に訴えても、他者との差別化をうまく図れている気がしない。実際、自分が何を目指しているのかがよくわかっていないのではないか。そのような体験をすることもあるだろう。

 結局、この強い総評にあるように、大事なのは「政策を二の次にしないこと」かもしれない。つまり、票を獲得するとか、たとえばYouTubeの再生回数を伸ばすとか、集客を増やすといった社会的報酬やビジネス戦略を目標に据えるのではなく、もっと土台となるもの、核となるものをつくり上げ、そこから続く未来が見えるような、そのようなマニフェストを育てることが大事になるのではないだろうか。

 または、6ハウスの入り口にある射手座の月と、9ハウスにある魚座の土星の90度の配置を考えてみると、理想的なマニフェストなど存在しないのだという気がしてくる。この月と土星は様々な読み方ができるかもしれないが、しかし絶対的弱者である月=国民と、絶対的支配者である土星=国などと大げさに読む必要はない。もはや、そこまで土星に力などない。

 7/7に行われたフランス国民議会選挙でフランス国民は極右政党にNOを突き付けたが、政治評論家のアラン・デュアメルは「もはや圧倒的な政党は存在しない。フランスは政治勢力の解体期にあり、そしておそらく今、再構築の時期を迎えている」と言っている。これは日本も同じであろう。

 ということは、今、月がNOを突き付けるものとは何なのだろう。バイデン大統領は7/21、選挙戦から撤退すると表明した。党内での撤退圧力が強まっていたことが影響しているだろう。日本では、防衛省の相次ぐ不祥事や、旧優生保護法下での不妊手術の強制は憲法違反だとして国の賠償責任を認める初の統一判断を示したというニュースがこの象意にあたるだろうか。

 月土星とは、不必要な枠組み、不自然な仕組みが揺らぐ体験になるのかもしれない。今、心がざわつき、痛みや気持ちの悪さを感じているとしたら、それは直ちにNOを突き付ける必要があると言えるだろう。