nicoの星宙予報2020 射手座

 2020年も終わりに近づいてきた。柔軟サインである射手座期は、次の季節に移るための準備をする期間だが、今期は、その準備もひときわ重要になるかもしれない。20171220日から山羊座入りした土星は、約年の時を経て、来月1217日に水瓶座へと移動する。この年の成果を振り返るとともに、次のステップに進むためにやるべきことを整理しておきたい。

 

 ある記事によると、リモートワークが進んだことで、日本は先進国11カ国中、最も労働時間が短縮、生産性が低下したというデータが浮き彫りになっているという。世界的に見ると、およそ人に人が労働時間は増え、生産性も上がったという傾向が明らかになっているにもかかわらずだ。記事では、「リモート環境を確保できない」という理由を挙げているが、実際はどうなのだろう。むしろ、自律性や目的意識といった主体的に仕事に取り組む姿勢の低さが問題になっているようにも思われる。これまで、「人の目」という管理下に置かれることによって、なんとかやる気や使命感が引き出されていたということもあるだろう。私たちは、管理されることに十分すぎるくらい慣れてしまっていたのかもしれない。

 しかし、そうは言っていられない状況が差し迫っている。コロナがあろうがなかろうが、これからの時代を生き抜くためには、どのような状況であっても自律的に生産性を上げられるような、そういうマインドセットが必要になるはずだ。次の季節への移行、または地から風エレメントへの移行を前に、その点から初めてみるのが大事になると考えられるだろう。

 

 ここで、射手座期の太陽イングレスチャートを見てみよう。
 太陽が入っているハウスは1ハウスだが、今回は山羊座土星の総仕上げということで、チャート内で最も強調されているハウス=山羊座から始まっている3ハウスに注目したい。

 

 

 これからは風の時代だといわれているが、その風エレメントの土台になるのが、双子座の部屋といわれる3ハウスである。そこで、射手座期に3ハウスのテーマにしっかり取り組むことは、次の時代へ移行する準備として、とてもふさわしいことになる。

 3番目の双子座、7番目の天秤座、11番目の水瓶座と、これら風エレメントのサインは素数で形成されているのが一つの特徴である。つまり、風の時代というのは、これまでのやり方では通用しない、全く新しい発想の転換が必要になり、3ハウス=双子座的アプローチ——よりよい未来を創るために必要な学び、創意工夫、アイデア出しの力が必須になると考えることができるだろう。

 つまり、この射手座期は、国でも企業でも、また個人でも、先ずは固定観念をかなぐり捨てる必要があるし、また文句を言っている暇もない。日々、変化に迫られているわけだから、正しいか正しくないかではなく、アイデアをどれくらい出せるか、それを試してみては、次の作戦、試してみては次の戦略を練り直していくことが求められているのだ。

 日本人の間違いを恐れ、出る杭を徹底的に打つような傾向は、国も企業も、また個人も、新しい発想やユニークなアイデアを気軽に試すことを難しくしているようだが、そのマインド自体を変える必要がある。

 

 新しいアイデアは、いつか新しい価値へとつながる。アイデアを生み、活発に議論し、イノベーションを起こす。これが双子座から天秤座へと続き、最後は水瓶座で完成する風エレメントの一連の流れ、成長のプロセスとなる。

 新しい価値の創造は一日にしてならず。水瓶座の木星、土星のイングレスを前に、双子座的な自由で身軽なアイデア出しができるかどうか。

 風向きがコロコロ変わってしまう時代に、正解を求めるのはムリな話だ。今なら、Go Toキャンペーンへの文句を言う前に、どうすれば観光業、飲食業を救えるのか、それに代わる提案をする。それを試してダメならまた次。その繰り返しだ。

 

 ここで、もう二つ見てもらいたいチャートがある。

 一枚目が202022日、土星が最初に水瓶座にイングレスしたときのチャート、そして、二枚目が20201217日、来月、最終的に水瓶座に土星がイングレスするときのチャートである。二つのチャートは、ともに土星が水瓶座の度になっているのがわかるだろう。

 土星とは、これからの時代を生きるために国/企業/個人が解決すべき課題とは何か、また、それにふさわしい仕組みとはいかなるものか、を意味する天体である。

 上記のチャート、今年の322日とは、コロナのテーマが大きく取沙汰された時である。まさにその時に、ハウスのテーマ——生活様式、労働環境の見直しが課題としてやってきたことを示している。そして、MCの上には、これまた働き方改革というテーマが示唆されているように見える。

 

▲土星が最初に水瓶座にイングレスしたときのチャート

▲土星が来月水瓶座にイングレスするときのチャート

 

 そして、これから迎える水瓶座土星のイングレスチャートでも、ふたたびMC上で強調が起こっている。これは、生活様式というよりは、社会全体のシステム変更を余儀なくされているような、そういった迫力のあるチャートである。政治、経済の在り方、様々な機関、組織の運営方法、これまでの常識やルールといった既存の社会感覚そのものが課題となること、それらの速やかな書き換えに迫られていることが予測できるだろう。個人を考えた場合には、社会的立場、働き方、活動の仕方に不安がある場合、解決に向けた努力を求められるということだ。

 心理占星術的には、課題として存在していることが意識的にでも無意識にでもわかっているのだとしたら、それは必要なものとし、きっちり現象化してくると考えてもらえるといい。「これをなんとかしなくちゃ」「これは問題だ」と心のどこかで思っていたなら、どんな形であれ、解決を迫られる出来事が現象化するということだ。

 さて、いま皆さんの深層心理はどのようなテーマを持っているのだろうか。もし、思い当たることがあるなら、ただちに手をつけておくといい。

 

 また、占星術の構造から、ハウス(地エレメント・乙女座)、10ハウス(地エレメント・山羊座)ときたら、そこに欠けている地エレメント=ハウス(地エレメント・牡牛座)を補うべきテーマと考えてもよいだろう。2ハウス・牡牛座的テーマとは、自分の持っているリソース(能力、財力、身体、時間等)をどう扱うか、リソースの活用の仕方を考えることが必要であることを教えてくれている。

 

 いずれにしても、射手座期は自分の未来をイメージしたとき、その理想に一番ふさわしい知識を身につける時期。その知識がお金になるか、仕事になるか、人にわかってもらえるかではなく、自分の未来を明るく彩ってくれるもの、自分を高めてくれる学びを深めること、それが射手座期のふるまいの一つである。難しいことは考えず、ぜひ、今の自分をもっと素敵に、もっと美しく、もっと勇敢に、もっと誇れるようにしてくれる学びに向かってもらいたい。

 人生とは、時に暗く時に明るく、また思いもよらない躓き(つまづき)方、拓き(ひらき)方をする。社会全体が動くときは知識の光の及ぶ範囲に限りがあり、不可抗力的に生じる出来事への不安もある。それなら、他所の出来事に気を取られず、自分の理想に近づく努力をしたほうが爽やかではないだろうか?

 それが、9番目のサイン射手座にふさわしい、同じ番目のタロットカード「隠者」的な姿勢である。周囲は仄暗く、隠者の持つ手の光はただ行く先の足元だけを照らす。周りにとらわれず、自分の進むべき道だけを見る。

 社会でどのような動きが起ころうと、射手座期は、まずこの姿勢から始めてみるといいかもしれない。ぜひ、過ごし方のヒントにしてもらいたい。