
心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。
おさらい編では、先の未来を読み解いた星宙百景の記事をセルフレビュー。
先月お伝えしたチャート読みの内容と、実際に起こった出来事を nico の視点で振り返るショート・レポートです。
2025年2月28日、世界中に衝撃が走った。トランプ大統領とゼレンスキー大統領の生々しい口論のニュースが飛び込んできたのだ。
「あなたはカードを持っていない」
「私はカードで遊んでいるわけではない。私はとても真剣だ。私は戦時下の大統領だ」
二人のやり取りを固唾をのんで見守っていた世界各国のリーダーたちは、おそらくそれぞれに「我々の国にはカードがあるのか」と考えたのではないだろうか。
その後、欧州各国の首脳らは次々とゼレンスキー大統領を支持。そのゼレンスキー大統領は、スターマー英首相が主催する首脳会談に出席するため、前日にロンドン入りした。天空上では、牡羊座金星がその瞬間、まさに逆行を開始したときだった。
ゼレンスキー大統領のふるまいは賛否を呼んだが、誰しも「我々の国にはカードがあるのか」を考えるのに重要な機会になったことは間違いない。
もちろん、我が国も例外ではない。アメリカは、気に入らないことがあるといきなり梯子を外すこともあるのだ。我々も覚悟を持ってカードを持たないとまずいぞ。そのような危機感を突き付けられることになったのは、悪くはない。
上なるものは下なるもののごとし――というのは、まさにこういうこと。天体の動きに準じるように、象徴的な出来事が起こるものなのだ。
この象徴は、企業や個人の次元にも働きかけてきている。
牡羊座金星は逆行しながら、このように訴えかけてくることだろう。「わたしにはカードはあるのだろうか」「そのカードは、いざという時、生きのびるための切り札になってくれるのだろうか」
これから、3/27に金星は魚座へと逆戻りし、4/16に再び牡羊座に戻ってくる。
この流れはとても面白い。なぜなら金星は魚座でイグザルテーション(+4点)し、牡羊座でデトリメント(-5点)になる。この解釈としては、たとえば金星は魚座で、「わたし、けっこうイケてるんじゃない?」「けっこうやれるんじゃない?」といった根拠なき自信に満ちあふれ、意気揚々とするものの、牡羊座で厳しい現実を突きつけられて、「あれ? わたし、ぜんぜんダメじゃん」となるイメージだ。
この落差がけっこうキツイ。夢心地な夢想の世界から、生き残りをかけた厳しい現実へ。でも、この落差を体験し、しっかり凹んでおくと、この次の牡牛座金星で、「こんなもんかな」「このくらいで良しとしよう」といういい感じの等身大の自己像に落ち着くのだ。
理想を描き、現実にの厳しさに突き落とされ、それ相応のところで満足する。この流れは結構大事だ。
会談で孤立主義のトランプ政権の厳しさを知ったゼレンスキー大統領も、「ロシアとウクライナの戦争を一日で終わらせる」と豪語していたトランプ大統領も、それなりにデトリメント金星体験をしているはずだ。
けれど、捨てる神あれば拾う神あり、「ある」ことのありがたさもわかるということだ。皆が言うように、今回の事件は、欧州の危機感を目覚めさせ、団結の意志を呼び覚ました。物事と言うのは、人間万事塞翁が馬なのだ。日本だってそうだ。唯一の同盟国であるアメリカとの安全保障以外の在り方をどのように捉え直すことができるのか。日本も真剣に議論するべき時がきたのかもしれない。
ここから魚座期のチャートを見てみよう。2ハウスに天秤座月、2ハウスのカスプは天秤座なので、金星の象徴がピックアップされている。これは先程から出てきている「わたし/わたしたちにはどのようなカードがあるのか」というテーマが重要であるということ。また、6ハウスも強調されていることから、「現状把握」ということがテーマになっているのがわかる。

2/25に開催した月イチ勉強会では、「デューデリジェンス」と「モデル化」の話をした。
デューデリジェンス(Due Diligence)とは、当然行われるべき(Due)注意・努力(Diligence)のこと。企業がM&Aを行う際、買収側が売却対象である企業や事業等に対する実態を事前に把握し、価格や取引について適切な判断をするための調査のこと。
ここから金星逆行が開始することを考えると、自分がする側であっても、される側であっても、何事においても、「実態を把握する」ということはとても重要な作業になるということだ。
モデル化というのもそうだ。モデル化とは、物事の本質を見極め、解釈し、獲得すること、また状況を構造的に、図的にとらえるという思考態度のことを言う。
このような作業を通して、「わたしには、または周囲のものごとには、どんなカードがあるのだろう」かということが立体的にイメージできるようになる。そこまでが今回のチャートから読み取れたところだったが、皆さんはどうだっただろうか。自分/周囲の手持ちの札の現状把握はできただろうか。
日本での魚座期は、主に新年度予算案についての調整、修正、特に高額療養費制度や高校授業料無償化の議論等が2ハウス、6ハウスの象徴に当たるだろうか。それに伴い自民党と維新の会が急接近するわけだが、チャートを見ると、確かに7ハウス強調の象徴と考えてもいいかもしれない。予算案の修正をめぐり、石破首相は維新の前原共同代表に歩み寄りを見せ、立憲民主の野田代表とは距離を置いた。こういった関係性が、今後の国会の運営、政策の成立にどう影響するのだろうか。
そういえば、石丸伸二氏の立ち上げた地域政党「再生の道」の党員の面接が着々と進んでいるという。世論調査では自民党に続き、国民民主とれいわが支持率を伸ばしている。6月の都議会選、そして7月の参院選に対する、われわれのデューデリは始まっている。
この点は、また春分の時期に見直したい。
いまだ参議院で審議が続いている。新年度予算案、年度内の成立は望めるのかどうか。
少数与党で年度内に成立すれば憲政史上初めてのこと、そのくらい難しいことだと言う。自民党内からは、「政治資金の問題や商品券の問題などで予算案の成立を遅らせたくない」という声があがっているが、そうもいかない。原発事故の除染で出た「汚染土」も行き先が見えないまま、復興支援の先行きも不透明だという。
牡羊座に進んだように見えた金星、そして水星はこの後魚座へと戻る。未解決の問題を抱えたまま進むことは、もう許されないかもしれない。
さて、2025年の春分図からはどのようなメッセージが聞こえてくるだろうか。
心理占星術 月イチ勉強会は、毎月第4火曜日開催!
さまざまな話題を心理占星術的視点で取り上げながら、象徴の考え方やリーディング力の向上はもちろん、心理カウンセリングへの理解を深めています。
今月は、一年の流れが現わされるという「春分図」のリーディング。今回の記事でご紹介した、牡羊座から魚座への逆行のほか、3/30には魚座の支配星である海王星が14年ぶりに移動します。
世界や社会の動きを予想することは難しいかもしれませんが、何が起ころうとも、わたしたちが心得ておきたいマインドについて考えてみたいと思います。
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