土星が魚座から牡羊座へ、迫られる土星二周分の清算とリスタート ~2025 牡牛座期のおさらい編

心理占星術家nicoによる「星宙百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。

おさらい編では、先の未来を読み解いた星宙百景の記事をセルフレビュー。

先月お伝えしたチャート読みの内容と、実際に起こった出来事を nico の視点で振り返るショート・レポートです。

 牡牛座の季節は、気候があまりに心地よく、また青々とした木々の下を歩くのが本当に気持ちよく、「トランプな世界」をすっかり忘れ、何時間も森の中で過ごすことがよくあった。そして我に返ってネットをチェックしようものなら、裏切ることなくトップニュースはおおむねトランプ、またはコメ問題だった。

 が、間違いなく、次のステージへと進まなくてはいけないような、そんな“うながし”を否応でも感じた。これが木星、土星の移り変わりなのだろうか、それとも不動サインのTスクエアの影響だったのか。

 そんな個人的な印象も追いかけながら、牡牛座期のふりかえりをしてみたい。

 前回の「星宙百景 牡牛座期」でも書いたように、とにかく、2025年の牡牛座イングレスチャートは、12ハウスの強調が目立っていた。一ヶ月を経た今、この12ハウスは、一体、どのような社会的現象に結びついているのだろうか。

 やはり、長らく議論になっているコメ問題から考えてみる必要があるだろう。

12ハウスは、こんな考え方もできる。12ハウス=魚座=海王星とは、これまで身につけた知識(双子座)、技術(乙女座)、専門性(射手座)を新たな視点で見直してみること。そして、そこからまだ試したことのないアイデアに着手してみること。新たにインフラを整備することで、環境に柔軟に適応していくこと。それが魚座=海王星=12ハウスの目標だと。

ということで、今期の牡牛座期は「今」を受動的に受け止めるのではなく、次の一手を打つ、その準備を始めることだ。最近、よく耳にする話題だが、「トランプ関税は日本の改革の好機になるだろう」というのは、まさにそういうことだ。ピンチは、トランプ関税だけではない。停滞した状況に対して、どのようにメスを入れていくか、それこそ12ハウス=魚座=海王星の出番なのだ。

トランプがどう出てくるかわからない不確実な未来を前に、環境への適応力を高めることが今後の持続的な成長の鍵となる。国/企業/個人はサプライチェーン、市場、製品、組織運営のあらゆる面で、迅速な変革を進めていく。

そのための12ハウス強調の時期の目標であり、そして双子座木星、魚座土星の総仕上げの時期でもあるのだ。

世界は刻々と変化している、これまでの視点を捨て状況を主体的に物事を動かす力をもつ ~星宙百景 2025 牡牛座

 うーん、今読んでもその通りなのだけど、コメ問題含め、石破内閣は「次の打ち手」にたどり着くことができただろうか。それは12ハウス的に考えてみるとどうなのか。

 もしかしたら、12ハウスをこんなふうに考えることもできたかもしれない。12ハウスの象徴のひとつに「カルマ」という意味が与えられている。なぜかというと、魚座・12ハウスは、最後のサイン、最後のハウスである。つまり、ここでこれまでのふるまいを「清算」しなければいけないのだ。身近な例で言えば、「借金を清算し、裸一貫やり直す」「こじれた人間関係を「清算し、それぞれに新しい道を歩む」「トラブルを清算し、ゼロから人生をやり直す」とか。とにかく目の前にある問題は、ここまでの自分の行いの当然の結果であり、当然の報いなのだ。結局、すべてが自業自得なのだ。

 では、コメ問題とは何か?

 それは1969年から試験的に始まり2018年に廃止された減反政策の清算を、今、まさに突きつけられていると考えることができるのではないか。減反廃止後の自由化、コロナ禍による業務用米の需要減少、価格下落、高齢化と問題は山積みであったにもかかわらず、これまでうやむやにされてきた。それがここにきて、清算を迫られたわけだ。

 1969年ということは、ちょうど魚座から牡羊座に土星が移動するタイミングである。つまり、今から約60年前、土星が二周したということになる。

 これから、いよいよ土星が魚座から牡羊座へと移る。つまり、今こそ日本のコメ政策は60年分の清算と、本気の構造転換を迫られているのではないか。

 またJA(農業協同組合)の存在も「清算」の対象となるかもしれない。JAは、長年にわたり日本の農業、特に米流通において強大な市場支配力を振りかざしてきた。これもいよいよ「清算」と「リスタート」のときではないだろうか。

 これはコメ問題だけではないだろう。しばらく前から言われていた2025年問題*を受けて、106万円の壁の撤廃などを盛り込んだ年金制度改革関連法案が5/20、衆議院本会議で審議入りした。

*2025年問題: 団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が後期高齢者となることで、日本の人口の5人に1人が75歳以上という超高齢化社会に突入し、社会保障費の増大や労働力不足、医療・介護サービスの逼迫など、様々な社会問題が深刻化する問題

 この法案から削除された基礎年金(国民年金)の底上げ策について、石破総理は「2029年の財政検証の結果を踏まえ、適切に検討し、必要な措置を講じる」と表明。大幅に先送りすることになるという。こちらの清算は、まだ当分かかりそうか。

 また、清算に迫られている企業もある。2024年の冬至ごろから注目している日産が5月13日に、いよいよ「2万人削減と7工場閉鎖」の大リストラを行うと発表した。遅すぎるような気もするが、しかし、今回のチャートを見れば、または最後の魚座土星の運行を考えれば、今が「そのとき」なのかもしれない。こちらのほうは、次回の「星宙百景 双子座期」でも扱ってみたい。

 前回の記事では、最後にこのような提案をした。

 今期のイングレスチャートは、西半球協調の春分図と打って変わって、東半球が強調しており、火星が中心のチャートとなっていることから、主体的な力を取り戻すチャートのように見える。牡羊座期は散々、6&7ハウス的な他者/他国に振り回されたから、今期は他者から離れ、自己の力を回復するといったように。

 個人も次のことを自分の活動に置き換えてみるといいだろう。

① わき上がってくる恐れ、不安、期待、願望に耳を澄ますこと
② ものの見方を変え、柔軟な思考を手に入れること
③ 環境への適応能力を高めるべく、サプライチェーン、市場、商品、運営法などの改革を進めること
④ 相手次第ではなく、自分主体で打ち出すべきものを考える

世界は刻々と変化している、これまでの視点を捨て状況を主体的に物事を動かす力をもつ ~星宙百景 2025 牡牛座

 そして今回、もっともテーマになっていたのは③かもしれない。

 トランプ関税にしろ、コメ問題にしろ、また日産再建のシナリオにしろ、今の時代の流れにあった環境を整え、「サプライチェーン、市場、商品、運営法などの改革を進めること」は本当に大事なことだと思われる。

 日本には資源がない。今の日本は生産力もない。そして、つくっても売れない。日産などは、工場の稼働率が46%というから驚きだ。残念ながら、GDPは0.7%落ち込んだ。
 
 双子座期を前に、最後にわたしたちが考えるべきことは、やはり国/企業/個人にとっての清算とリスタートだ。

 大国と勝負するためには、もう少し主体的、自主的な力は必要に決まっているし、選挙を見据えた場合、相手の出方や相手の打ち出す政策に振り回される前に、やはり自分たちが掲げるべき公約を見直す時期になるのではないか。

 何をどう清算すれば、新しいスタートを切れるのか。たとえ太陽が双子座に入ったとしても、うまく清算ができていないのだとしたら、このテーマを引き続き考えることは必須かもしれない。

 

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さまざまな話題を心理占星術的視点で取り上げながら、象徴の考え方やリーディング力の向上と心理カウンセリングへの理解を深めています。

今月は、「赤ちゃんの鑑定事例から家族の力学を考える」をテーマに取り上げます。

生後間もない赤ちゃんの子育てをどうするべきか。そんなお悩みが持ち込まれたとき、どのように対応したらよいのでしょうか。

生まれた子の特性を知りたい、子育てで気を付けるべきことは何か――こうした質問に対して、赤ちゃんの資質である5天体をお伝えするより、もっと大事なことは、家族の関係性を見ていくことかもしれません。

我が子に対するお母さんの期待が膨らむ中、相手が望む答えではなく、チャートに現わされたことを伝えていくための難しさと注意点などを一緒に考えていきましょう。

「全ての悩みは人間関係にある」nico が繰り返し引用するアドラーの言葉ですが、その人にとっての他者とは何か。もしかすると、それは自分の中にある「他者性」なのではないか。今回は、そうした視点も併せて考えながら、家族の力学をとらえ直してみたいと思います。

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