
心理占星術家nicoによる「時期読み百景」。毎月、太陽がサイン移動した瞬間のホロスコープ(イングレスチャート)を分析し、わたしたちの暮らしと天体の運行から「今」を読み解きます。
出来事の当たる・当たらないではなく、占星術で時期をよむことの面白さ―――人、国、時代に起こった出来事を私事にするための道具―――をお伝えした一遍です。
5/20のブログにこんな記事を載せた。
火星獅子座期も中盤戦!サイクルを生きるとは自分のトリセツをつくること。太陽サイクルは1カ月をかけて「今の自分の理想の人生とは」を理解し、それに合わせて日々デザインする では火星は?
となると、太陽双子座期が作成すべきトリセツは、自分の理想を確認しつつ、「双子座的方向性」で日々を自分なりにデザインしてみる、となるだろう。
例えば、自分の理想が「いつかカフェをやりたい」だとしたら、双子座期は自分の好きなカフェに出向き、カフェオーナーにインタビューしたり、メニューや内装のイメージをコラージュしてみたりする。そのイメージを人に話して、感想を聞き、フィードバックを持ち帰り、またあれこれ思索する。そんな日々を送ってみるという感じになるだろうか。
講座の中で「太陽をやっている人は忙しくて、他の人にかまっていられない」と解説するが、まさにそうなのだ。
また「双子座的方向性」も解像度を上げていけば、「こんな活動もわたしの理想に必要だ!」「なるほど!これも双子座の領域なのかもしれない」とサインの理解も深まったりして、学習者としては一石二鳥だし、なにせ自分のトリセツがうまく作れれば、生きるのが多少でも楽しくなってくる。
なんてことを思っていたら、江藤農水大臣が間抜けな発言で炎上し、辞職に追いやられた。世襲議員のもっとも愚かな部分が露呈した今回の騒動。こんな無神経な発言をする人物が農水大臣とは。江藤農水大臣には、ぜひ「双子座的方向性」を意識し、自分の発言に責任を持てるような人生をデザインしてもらいたい。
参院選直前ということで、すでに各党から消費税減税案や選択的夫婦別姓案が提出されているが、ここから今期の双子座期は、さらなる言論の攻防戦が繰り広げられることになるだろう(単なる泥仕合に終わるかもしれないが)。
個人も企業も、各党も国も、各々の理想の取扱説明書をデザインすることに集中すべき時であり、双子座期ということは、正しく現状認識し、そこから自分なりの「理想」を描き、言語化していくのにふさわしい時期となる。では、ここから各党どのような理想が飛び出してくるだろうか。
一見、荒唐無稽なアイデアであっても、未来に向けてどんな理想を描き、何を行いたいと思っている党なのか、そこは聞いてみたい。前回の衆院選で国民民主党が要求した「103万円の壁」の見直しなどは、「実行可能か」ではなく明確な問題提起こそが多くの国民にとって魅力的に見えたわけで、情報科学者・安宅和人のベストセラー「イシューからはじめよ」ではないが、アイデアやビジョンは、イシュー*からしか出てこないのは至極当然で、耳なじみのいい夢物語ではなく、イシュー=問題提起が的確であればあるほど、理想の政権運営に、ひいては国家運営に近づくのではないか。そのように思うところだ。
*イシューとは…
あなたが問題だと思っていることのほとんどが、「いま、この局面でケリをつけるべき問題=イシュー」ではない。イシューとは、「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の両方の条件を満たすもの。本当に価値のある仕事をしたいなら、本当に世の中に変化を興したいなら、この「イシュー」を見極めることが最初のステップになる。
「イシューからはじめよ」より
ということで、2025年の双子座期は、まずはイシューを見極めることからはじめてみたい。個人/企業/国も、それぞれに問題は山積みだろう。なぜならば、双子座の木星がゴール直前なのだ。一年をかけて、今書いたような筋力――イシューを見つけ、本当に解決すべきイシューを見つけ、本当に本当に解決すべきイシューを見つける力――を身につけられたかどうか。その確認を太陽の運行と共にやっていくのだ。
木星が蟹座に入る6月10日までに、本当に本当に解決すべきイシューを見つけること。そして、そこに徹底的に向き合うこと。そこから始めていくのはどうだろうか。

それと同時に、こちらはいよいよ目前だが、いや逆にむしろ今期のイングレスチャートに示されているように、12ハウスのカスプ上に土星、海王星が配置されているときだからこそ、魚座土星の清算をしておくべきではないかと思っている。
「星宙百景 牡牛座期おさらい編」には、このように書いた。
12ハウスの象徴のひとつに「カルマ」という意味が与えられている。なぜかというと、魚座・12ハウスは、最後のサイン、最後のハウスである。つまり、ここでこれまでのふるまいを「清算」しなければいけないのだ。身近な例で言えば、「借金を清算し、裸一貫やり直す」「こじれた人間関係を「清算し、それぞれに新しい道を歩む」「トラブルを清算し、ゼロから人生をやり直す」とか。とにかく目の前にある問題は、ここまでの自分の行いの当然の結果であり、当然の報いなのだ。結局、すべてが自業自得なのだ。
土星が魚座から牡羊座へ、迫られる土星二周分の清算とリスタート ~2025 牡牛座期のおさらい編
ということで、双子座期のやるべきことは以下のふたつ。
① 取り組むべき本当のイシューを見つける
② 清算すべきことに向き合う
そしてもう一つ、今期の双子座期に意識してほしいことは、金星のテーマだ。
こちらも以前の記事から引用してみよう。
3/27に金星は魚座へと逆戻りし、4/16に再び牡羊座に戻ってくる。この流れはとても面白い。なぜなら金星は魚座でイグザルテーション(+4点)し、牡羊座でデトリメント(-5点)になる。この解釈としては、たとえば金星は魚座で、「わたし、けっこうイケてるんじゃない?」「けっこうやれるんじゃない?」といった根拠なき自信に満ちあふれ、意気揚々とするものの、牡羊座で厳しい現実を突きつけられて、「あれ? わたし、ぜんぜんダメじゃん」となるイメージだ。
2025 魚座期のおさらい編 ~牡羊座の金星逆行「わたしにはカードがあるのか」夢想の世界から、生き残りをかけた厳しい現実へ
この落差がけっこうキツイ。夢心地な夢想の世界から、生き残りをかけた厳しい現実へ。でも、この落差を体験し、しっかり凹んでおくと、この次の牡牛座金星で、「こんなもんかな」「このくらいで良しとしよう」といういい感じの等身大の自己像に落ち着くのだ。
双子座期のチャートをもう一度見てほしい。ASC牡牛座であり、その支配星は牡羊座金星。この後、金星は牡牛座へと向かう。「あれ? わたし、ぜんぜんダメじゃん」となった後、「このくらいで良し」といういい感じの等身大の自己像に落ち着く。そこを目指すことになるのだ。
ここで、2024年の冬至図から注目していた日産自動車の現状を見ながら、わたしたちがやるべきことを整理しておきたい。
日産自動車の新CEOは5月13日、2025年3月期の純損益6708億円の赤字を発表した。
エスピノーサ社長は「26年度までに黒字化する」との目標を示しているがどうだろう。国内外で17ある完成車の工場を10に減らし、2万人をリストラするなどして固定費等を五千億円削るという。エスピノーサ社長は「痛みを伴うが、いま手を打たなければ悪化するだけだ」と話している。内田前社長が最後まで手をつけられなかった再建計画に、ようやく着手することになったということだろうか。
この辺は、「星宙予報 牡牛座期おさらい編」でも書いたとおりだが、ここから決算内容の内訳について考えてみたい。
2025年3月決算の事前予想では、800億円の赤字だったはずなのだが、蓋を開けてみれば6,708億円ということになっている。なぜか。売り上げを確保するために販売価格を下げ、在庫処分に走ったことで利益率が大幅に下落したと言われている。しかし、それだけではない。リストラ費用に600億円ほどかかるのもそうだが、5,000億円以上の減損損失を計上しているということだ。
減損損失とは、たとえば工場や機械などの生産施設をはじめ企業が保有する固定資産の価値が低下し、その価値が回収できないと判断された場合に計上される損失である。
これらは通常、資産として決算書に記載されているものだが、「果たして、本当に資産価値がそれほどあるのか」という視点で資産を見直した時、同業他社に比べて稼働率がかなり低い今の日産の生産施設には、それほど価値がないのではないかという判断を下し、資産価値を下げる処理をすること、それを減損損失という。
このように前倒しで損失を処理することで来期以降の決算の数字が間違いなく上がる。間違いなくV字回復するという仕組みなわけだ。
600億円のリストラ費用、海外の施設閉鎖費用や減損損失を計上するなど、大幅なマイナスを最初に打ち出すことで、すべての赤字の責任を内田社長に押しつけることができるという、カルロスゴーン的手口なわけだけれど、資産価値の見直しという「清算=膿だし」はある程度しっかり行われたということになる。来期は、そういった不採算費用はなくなるという算段だ。
実際に、この発表後から日産の株価は連日上昇している。
16年ぶりのフルモデルチェンジの新型エルグランド、バッテリーEVの先駆けであるリーフ、新型マーチと日産はここから新車の発表ラッシュと言われている。GTーRやフェアレディZといった「かつての栄光をもう一度」という日産オタクの共同幻想に惑わされず、足を引っ張られず、新生日産に生まれ変わる必要があるかもしれない。
と、今期の天体の動きを日産の復活への道のりとともに書いてみたが、どうだろう。これを個人の物語に落とし込んだらどうなるだろうか。
または、日本経済もそろそろ本気で安倍政権≒アベノミクスを総括し、本気で脱却するときではないだろうか。最近、ようやくアベノミクスの反省の声も大きくなってきたが、まだまだ経済政策に対する及び腰感は否めない。
アベノミクスは意図的に円安を誘導することで、株価上昇・企業業績改善を狙ったわけだが、それが国民の生活や中小企業の大きな負担となり「二極化」が進行した。円安はグローバル企業などの一部に恩恵をもたらしたが、全体には不均衡な成長をもたらした。「良い円安」から「悪い円安」へと転じた結果、あらゆるものの価格が上昇し、実質賃金は低下、家計への打撃が深刻となった。
国民はすでに十分痛みを感じている。日本の経済政策の本当に本当に解決すべきイシューを見つけること。そして根こそぎ「清算」すること。妙な共同幻想は手放し、マイナスの評価を恐れず、真摯にありのままの資産価値を考えること。
そうすることで、日産のように来期以降にプラスに転じ、フットワークの良い状態で新しい施策に打って出ることができるかもしれない。
太陽が双子座の時期、そして木星が双子座から蟹座、土星が魚座から牡羊座へと移動する柔軟サインでの最後のコンタクトの時期に思考をめぐらせ、抽象と具体の世界を行ったり来たりし、イシュー=組織やチーム、個人が取り組むべき焦点や解決対象となる課題や問題にどれだけしっかり向き合えるか、それが2025年双子座期に目指すことではないだろうか。
心理占星術 月イチ勉強会、毎月第4火曜日開催
今月の開催は、5/27(火)です!
今月は久しぶりに心理占星術らしいテーマで開催。
家族の力学を取り上げます。
家族の力学から考える、赤ちゃんの子育ての方向性
その人の中にある他者とは何か、「他者性」を考える
生後間もない赤ちゃんの子育てをどうするべきか。そんなお悩みが持ち込まれたとき、どのように対応したらよいのでしょうか。
生まれた子の特性を知りたい、子育てで気を付けるべきことは何か。
こうした質問に対して、赤ちゃんの5天体をお伝えするより大事なことは、家族の関係性を見ていくことかもしれません。
お母さんの期待が膨らむ中、相手が望む答えではなく、チャートに現わされたことを伝えていくための難しさと注意点などを一緒に考えていきましょう。
「全ての悩みは人間関係にある」nico が繰り返し引用するアドラーの言葉ですが、その人にとっての他者とは何か。もしかすると、それは自分の中にある「他者性」なのではないか。今回は、そうした視点も併せて考えながら、家族の力学をとらえ直してみたいと思います。
人間関係でのお悩みがあるという方、もしよかったら一緒に検証してみませんか。持ち込みチャート歓迎です。。
どなたでもご参加できます!