nicoの星宙予報2019 魚座

 天王星が新しいサイクルに入ったのは8年前のこと。2011年3月12日。東日本大震災の翌日、福島第一原発がメルトダウンした日だった。命の尊さと儚さ、また絶対安全・安心な場所などどこにもないという安全神話の崩壊。荒野に放り出された私たちは、「これからどう生きるのか?」を自らに問いかけた。そして、勇気をだして立ち上がり、歩き始めた。私たちは生き抜く覚悟を決めたはずだ。

このテキストは、先日もブログで紹介した、ふみさんがライティング講座の課題として提出してくれたものである。
 
 あの日のインパクトを忘れた人はいないだろう。あの日を境に生き方を変えた、そんな人も多くいるはずだ。

 天王星・牡羊座は、ふみさんも書いているように、まず生きることに真摯に向き合う体験をつくり、自らの力で生き抜いていくために意識を変えていくこと、変えざるを得ない体験をさせることからのスタートとなった。

 人によって、「どう生きるか?」の課題は様々だっただろう。けれど、その人それぞれのレベルにおいて、何かしらの「生きる力」を刺激される体験をし、時代の流れと向き合わざるを得ない体験をすることになったかもしれない。

 

 生きる不安を感じたとき、どのような意識が自分を生かしてきたのだろうか。
 「それでも生きていこう」と決めたとき、何が、どんな力がその支えとなったのだろうか。

 

 この問いかけに多少でも答えが見つかっているのだとしたら、次の天王星・牡牛座期は、その問いの答えを、時間をかけ大切に育てていけばいい。

 生きる力の種を見つけたのだ。今度はその種をどう価値にしていくのか、どう自分の資源として守っていくのか、それがテーマになってくるだろう。

 牡羊座期がそうだったように、牡牛座期も人の生き様、生きる姿勢に刺激をされ、自信をなくしたり、不安に駆られることは多々あるかもしれない。人の評価にさらされ、手放してしまいそうなこともあるはずだ。そんなときは、こう問いかけ続けていくしかない。
 
 待てよ。私は牡羊座期を生き延びてきたではないか?
 生き延びてきたのだったら、生き延びてこられた理由があるはずだ。

 そう何度も何度も問いかけ、その答えを明確にしておく必要がある。
 これからの厳しい時代を生きるため、その答えを持っていない人は、さらなる行き詰まりを感じることになるかもしれない。
 
 人の評価や比較に耐えうる価値づくり。
 それが天王星のテーマでもある。

 たとえば、天王星が水瓶座を通過していたころは、1996年から2003年はいわゆるITバブル、IT景気といわれた時代であったわけだが、この流れを生き残ったもの(アメリカではシリコンバレーを中心とした起業支援ファンドは縮小や廃止を余儀なくされた。Google、Amazonなど一部のベンチャー企業のみが生き残った)が時代によってえらばれたもの、新しい時代を生きるために必要な価値として認識されていくことになる。

 次の2003年末から始まった天王星・魚座期は、まさに心を扱う時代、メンタルヘルス、心理療法、セラピー、カウンセリングブームの時代であった。企業でも学校でも家庭でも、私たちは心のケアが必要な時代を生きることになった。この時代、どれだけのセラピーが生まれては消えていったことだろう。

 

 このようにして天王星は、その時代に必要な意識を引き出し、そして新たな価値観を構築していく。

 それ以前の時代、誰がこれほどITを必要とすると想像しただろうか。誰が学校に心を扱う専門家が必要だと考えただろうか。

 

 天王星・牡羊座時代に入ってから耳にするようになった「個人として生きる能力」「21世紀型能力(今後求められるのは、めまぐるしく変化していく複雑な現代社会に生き抜くための、未知の問題を発見・解決していく実践的な生きる力)」。

 それをさらに鍛えるためには、実践的価値を増やしていくことが大事だと言われている。

 考え、決断をし、そして実際に踏み出して経験を積む。常識によるのではなく、自分の物差しで意思決定をして生きていく。

 この不確実な社会を生きていくためには、現場に出て、自分の体験や実感が伴った価値づくりをしていくこと。「生きた経験」こそが価値になっていく。まず、そこを意識しながら、次なる7年間をスタートさせていきたい。

 つまり、牡牛座期は個人の揺るぎない価値、切り札となり得るものをつくり上げていくということになる。
  

 そして、そのうえで2018年の春分から続いていた天秤座的テーマをもう一度思い出してほしい。つまり、牡牛座期に切り札が実感できていないと、関係性や外交の中で、今以上に自己の存在を守ることができなくなるということになる。

 以下は、3/6に迎える牡羊座イングレスチャートである。

 5ハウスから8ハウスの関係性の領域、特に天秤座=7ハウスが強調されているのがわかるだろう。
 

 先日、牡牛座火星イングレスの際にも獅子座=5ハウス、蠍座=8ハウスの重要性について話をしたのだが、牡牛座火星期(2/14~3/30)はこれからの時代を生きるための意識づくり、自分の力試しにぴったりの時期だと考えられる。    

 人に対し働きかけることのできる価値はどのくらいあるのか。
 切り札は何か。
 どんな魅力があれば、人と対等に渡り合っていけるのか。

 牡牛座火星は3/30まで続くが、天王星がイングレスする直前の魚座期こそ、自分のスキルや価値を洗練されるのにふさわしい時期になるだろう。

 外交問題も山場を迎えている。
 2018年の春分から続いた「日本の価値をどう示していくのか」。
 私たち個人も今こそ、自分の価値を少しでも示していくときが来たと言える。

 

 そんな今こそ、魚座の力——遠い未来に思いをはせ、または真実の声に耳を澄ませ、今、あるべき姿へと向かっていくことが必要になるのではないだろうか。

 

 そして、新しい季節をスタートさせるためにも「終わり良ければ総てよし」、このサイクルを気持ちよく終わらせるために、または牡牛座イングレスを気持ちよく迎えるために、自分の中の心のわだかまりと丁寧に向き合っておくこと。

 魚座期は、カルマの解消。
 未消化の問題は、ここでなるべく解決しておく。

 言うべきことは言う。
 やるべき処置はする。
 片づけるべきものは片づける。
 払うべきもの払う。

 そして、自分の力ではどうしようもない問題、過ぎ去った過去は、すべて水に流す。
 ぐずぐずわだかまらず、すべてを受け止め、手放していく。
 そうすれば、未来の扉は必ず開かれる。

 

 参考記事:

 天王星・牡羊座最後の2年は「どれだけ体験を積めるか」